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2016年の週刊文春

いやはや、すごい本だった。

2016年の週刊文春である。

もともとノンフィクションが好きでよく読んでいるのだが、これは間違いなく近年稀に見る素晴らしい本だと思う。今年の一位といっても過言ではない。


僕はビジネス書というのは、今目の前にある課題に対して即効性を求めて読むものだと思っており、読むタイミングを選ぶ。今じゃないと自分が思えば今じゃないことが多い。

他方で、このようなノンフィクションはいつでも読めて、遅効性で効いてくる。読書の真髄はこの「遅効性の効き」であると個人的には思っている。
だからノンフィクションや小説は好きだ。
(そもそも読書に「効き」を求めるのもどうかという話もあるが)


この2016年の週刊文春には、遅効性のビジネスマインドが紛れもなく宿っている。人間同士の付き合い方、仕事との向き合い方、漢としての生き様、そしてジャーナリズムとはなんなのか。
それをひとつの会社、否、雑誌に関わる人間模様から掬い取れるのだ。

コンテンツを作る場所にはストーリーがある。
つまり、良いコンテンツは良いコンテンツを作る。それをまざまざと見せつけられた。
基本的にこの本は筆者である柳澤健氏の視点から描かれつつも、その時々に花田編集長や新谷編集長などメンバーたちのコメントが散りばめられ、臨場感がすごい。


僕は「人が誰かを褒めるのを見ること」がとても好きだ。
特に、プロがプロを褒める時、それはプロフェッショナルならではのフィルターを通して言葉になる。そのフィルターを通した「褒め」が、僕はコンテンツとして成り立つと思うし、すごい可能性を秘めているのではないかと思う。

例えば、レッチリのフリーがジョンのギターを褒める時、それはフリーのフィルターを通して伝えられる。フリーじゃないと見れない領域があるからこそ、それは素晴らしいコンテンツになるのだ。


この本は、まさにそういう形式だった。今年の終わりに出会えて良かった本である。

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