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公民館事業展開計画研究~宇都宮市生涯学習センターを起点として~

こんにちはこんばんは、花札師のこーへいです。


この記事を、実は3月末には出そうと思っていたのですが、忙しくてなかなか手がつけられませんでして今になってしまいました。
ご存じの方も一定数いらっしゃるかと思いますが、私は花札師であると同時に、民間企業の新卒社員であります(むしろそちらが本業なのですが)。なのでこの何ヶ月か、平日は仕事に慣れるのと、休日はその疲れを取るので必死でした。
そんなわけで、新型コロナウイルスや後遺症等々で休養していた今、やっとこさこれを載せることができるわけです。

大学生時代以来のまあまあな長文になりますので、駄文になるとは思いますが、今後の花札師の指針として私が考えていることを全てこちらに記しますので、最後まで読んでいってください。





「公民館事業展開計画研究~宇都宮市生涯学習センターを起点として~」


はじめに

花札にはそれを楽しむ"場"が必要だ、と感じたのが高校2年生のときです。

私の高校は特殊で、中高一貫校でありながら、内部進学生と外部進学生が同じクラスで肩を並べて勉強していました。
しかし、私と親友は同中学校からの外部進学生で、どこか内部進学生に壁を感じていました。

とある日、私は親友と花札をしていました。特に意味があったわけではないのですが、私がやりたくなって、学校に持ってきて遊んでいました。
そうしたら、周囲で見ていた内部進学生の学友たちも興味を持ち始めました。彼らは花札をすごく楽しんでくれました。
結局、卒業するまで、昼休みに彼らとは花札をし続けました。

こんなに楽しくて、こんなにも継続して面白さを感じられる花札を、彼らは知らず、知っていたとしてもそれに挑戦する"場"はなかったと思います。これは彼らだけではありません。現在花札を知らない皆様がそうでしょう。

「花札をする"場"があれば、花札を楽しむ人は増える。
なぜならば、花札は2回やればルールがわかり、5回やれば楽しさがわかるから」
花札師が花札の"場"をつくることを仕事とするのはこうした発想からくるし、主軸となった花札の「コミュニティ」という考え方も、その根底にはこのような経験がありました。


花札業界の現状分析

先ほどの内部進学生の学友と先日ひさしぶりに連絡をとりました。
そのうちの一人に言われた言葉がこちら。

「たかの(私のことです)って就職するの? 花札業界? 」

…花札業界に就職先なんてありません笑 (正確にはありますが、意味は次節で説明しますね)

業界研究は(就職活動時代の定番で)、大抵ハード面とソフト面でみていきます。

ハード面として、花札には現行の製作メーカーが4社あります。
(株)任天堂、(株)大石天狗堂、エンゼルトランプ(株)、(株)田村将軍堂です。
こちらは、本当に物質としての花札を製作しています。
また、SNSで花札のエゴサーチをしている限り、現代においてはスマートフォンなどを使用し、デジタル界で花札を楽しむ人の方が多い印象です。
こちらは、(株)任天堂が出しているアソビ大全のほか、(株)空色の花札Online、(株)セガが出したサクラ大戦、新サクラ大戦などを知っている方も多いのではないでしょうか。

ソフト面として、花札は各家庭で遊ばれてきました。(私にとってですが)意外な人が花札をやっていて驚くことはよくあります。ローカルルールやその家庭独自のルールもあり、初めての人と花札をするときにはルールのすり合わせが必要なんてこともありますね。
また、SNSを見ていると、ボードゲームカフェや福祉施設で遊ばれている例もときどき見かけます。
しかし、残念ながら現状では、これといった統一的な大会や遊べる場所はないのが現状です。
類似のゲームとして、(百人一首含む)かるた、麻雀、ボードゲーム等は、どれも(一社)全日本かるた協会、(一社)日本プロ麻雀連盟、(一社)最高位戦日本プロ麻雀協会、(一社)日本プロ麻雀協会、(一社)麻将連合、(特非)日本ボードゲーム協会などの連盟・協会が存在します。
しかし、花札には協会・連盟のようなものは存在しません。
一般的に、伝統文化に関する法人は株式会社ではなく、一般社団法人をはじめとした法人格で存在します。国・都道府県公式公益法人行政総合情報サイトにある公益法人information( 国・都道府県公式公益法人行政総合情報サイト 公益法人information (koeki-info.go.jp) )にて、花札に関する法人を検索すると、2022年10月5日現在のヒット数は0件です。2017年までは、ニコニコ闘会議で花札の大会を開催するなど、任天堂がその役割を担っていましたが、現在はそれもなくなってしまいました。

その他、花札をやったことはないのだけれども花札を知っている方の多くが、細田守原作『サマーウォーズ』を入り口にしていることがあります。少し花札業界という話からは外れるかもしれませんが、当業界において重要な役割を担っていることは確かです。


花札師について

花札師という概念は私が作ったものだという自負がありました。
しかし、どうやら『うたわれるもの』というゲームにでてくるマツリ、サナチタというキャラクターの方が花札師という概念としては早かったようです。
今では「うたわれるもの ロストフラグ」というゲームの一キャラとして確立しているほか、ミニゲームコーナーの花札の管理者的位置にいますね。私も、たまにこのゲームで遊びますよ。

とはいえ、現実で花札師として活動しようとしているのは、どちらにしろ私が初めてではないかと思います。
花札師の根幹は私のnoteの自己紹介にもあるとおり、次のとおりです。

①賭け事やアウトサイダーで培われた花札の負のイメージを払拭する、花札は老若男女誰もが楽しめるクリーンな遊びであるイメージを活動を通して培う
②花札の多様な楽しみ方を全世界に広げる、かつ、改めて日本の伝統文化であることを活動を通して認識していく
③ ①②の活動を広げることで、趣味世界(趣味コミュニティ)内での多世代のコミュニケーションをはかり、生涯学習、特に社会教育に貢献する

<引用:こーへい/花札師、「初投稿です、安定の自己紹介」https://note.com/kohei_hanafuda/n/n3b82e6860098 
(最終閲覧日: 2022年9月8日)>

花札師について聞かれたとき、これを全部言うわけにはいかないので
「花札の"場"をつくる仕事です」
と答えるようにしています。この、"場"をつくるのが、他でもない花札師の特徴であると思っています。
というのも、現在、知られるだけでも花札打ちとしてplayerのプロは既に存在しているし、花札系Vtuberも既に存在しています。しかし、彼らによって広められた花札を、実際にやってみたいと思った人に対しての門戸は開かれているでしょうか。

答えは否、です。前述のとおり花札には、麻雀などとは違い、協会・連盟のようなものは存在しません。
よって、一から花札をやってみたい花札未経験者の周囲には、ほとんど花札ができる人がいない、花札未経験者の受け皿がない、というのが現状です。そういった現状より、花札の"場"をつくることにより、花札のplayer、花札に興味のある未経験者、そして花札を知らない市民さえも包括していくのが、私が名乗り始めた花札師なのであると考えています。

ところで、前節で「…花札業界に就職先なんてありません笑」と書いたのも、この考え方が表れています。
すなわち、ハード面に限れば花札業界というのは存在するのだけれども、私に対していう花札業界はソフト面の花札業界ってことはご存じだよね?ということです。
IT業界でコーダーの人に、PCのハードウェアの業界に就職したの?と聞いているのと同じという感じです。


宇都宮市生涯学習センターおよび人材かがやきセンターについて

ご存じの方も多いと思いますが、私は現在、宇都宮に住んでいます。
私は花札師の活動を、市民活動として公民館で行なっていきたいと考えています。
そこで、宇都宮市で活動するには、どのような施設が利用でき、同時にどのような学習サポートが利用できるのか調べてみました。

宇都宮市には18の生涯学習センター(註1)が存在します。中央・東・西・南・北を中心とし、その他地区ごとに配置されています。ここでは、市民が学習活動をするために、施設を借りたり、図書コーナーを利用したり、相談や情報を集めたりすることができます。調理実習室や工作実習室を設けている施設もあり、花札で使うであろう和室は全施設に設けられています。

写真1 宇都宮市中央学習センター内 人材かがやきセンター (撮影者:髙野)

また、宇都宮市教育委員会生涯学習課には「人材かがやきセンター」という部署が存在します。
生涯学習、特に社会教育の基本は自主的な学習です。図書館や博物館を利用して、生涯の自己実現に向けた学習をしていきます。
その中で、同じ目的をもつ者同士でグループをつくって学びたいという人や、自分が学習したことを生かして他の人にも教えてみたいという人も出てくるでしょう。そうした市民をマッチングし、講座やイベントを催すことで実現していくのが人材かがやきセンターです。
人材かがやきセンターを利用するには、宇都宮市生涯学習情報提供システム「マナビス」への登録が必須となります。登録することで、生涯学習登録団体に入会できるほか、学んだことを生かして講師として地域貢献したりすることができます。

註1:上田(2017)によれば、「文科省の調査対象の『公民館』は、市区町村教育委員会が所管し、社会教育法第21条の規定に基づいているものである。また、それが条例に定められていることが設置の根拠」だといいます。宇都宮市には、現在公民館条例は存在しませんが、生涯学習センター条例を基に生涯学習センターを社会教育施設として設置していることから、ここでは、町内会で運営されている公民館ではなく、生涯学習センターを公民館事業における公民館と位置づけます。


実践編

以上のことを踏まえて、公民館事業の実践の仕方について考えていきたいと思います。

前述したように、宇都宮市生涯学習センターおよび人材かがやきセンターを利用するには、宇都宮市生涯学習情報提供システム「マナビス」への登録が必須となります。したがって、まずこの「マナビス」への登録を詳しく考えていきたいと思います。

登録できるものは以下の通りです。登録用紙から、生涯学習の関わり方がすぐにわかります。

登録用紙ダウンロード
・講師・指導者用
・講座・イベント用
・団体用
・施設用

<参照:宇都宮市人材かがやきセンター、「登録情報募集中」マナビス MANAVIS -宇都宮市生涯学習情報提供システム (manavis-utsunomiya.jp) (最終閲覧日:2022年3月22日)>

このうち「施設用」は、現在私が花札を行なう施設を所有していないので省きます。
よって、花札師の生涯学習への関わり方は、
①講師・指導者としてマナビスに登録し、花札に興味を持った人から連絡を受けたら教えに出向く。
②花札の講座(イベント)を実施し、花札初心者向けに普及活動をする。
③花札の活動をする団体を結成し、生涯学習団体として登録する。
があります。

これらの関わり方を一つずつ検討していきます。

①について、講師・指導者として出向くにはそもそもある程度の知名度が必要です。
普段の生活をしていて、グループで「花札がしたい」と感じる瞬間が出ることはあるでしょうか。おそらくそんなことはないと思います。もしあるとすれば、花札を周囲でやっている人がいて一緒にやってみたいと思うか、講師・指導者が有名なので受けてみたいと思うかのどちらかでしょう。したがって、講師・指導者として出向くことは優先すべきことではありません。

②について、講座(イベント)は一日、ともすれば半日で終わります。半日一日であれば、初心者でも出席しやすく、また遠方からでも来やすいでしょう。たとえばアプリでしか花札をやったことがない人や、サマーウォーズで花札を知っているが、周りにできる人がいなくてやったことがない人なども、気軽に出席することができます。
したがって、花札の講座(イベント)を開催するのは、公民館活動の導入として適しているといえます。

③について、宇都宮市生涯学習センターでは、生涯学習団体の登録に以下のような要件を必要としています。

登録できる主な要件は?
・団体の意思を表明する代表者があり、組織が確立していること。
・構成員の半数以上が市内に住所を有し、勤務し、または通学しているものであること。
・団体の構成員が5名以上であること。
・15歳以下のものが3分の2以上を占める団体は、成人の指導者等がいること。
・新規会員の入会ができること。
・生涯学習情報提供システム(マナビス)に団体情報を掲載し、活動内容を公開すること。

<引用:宇都宮市生涯学習センター、「生涯学習登録団体について」宇都宮市>

よって、生涯学習団体として登録できるためには、事前に市民を集め趣味団体として確立しておかなければならないでしょう。私は現在、まだ宇都宮市に引っ越してきてから半年ほどしか立っておらず、花札の仲間が"宇都宮に"いるわけではないため、これを公民館活動の導入として利用するにはかなり難しいと感じます。

したがって、公民館活動の手始めに一番適しているのは、花札の講座やイベントを開催するという方法でしょう。
そして、何回か講座やイベントを開催し、宇都宮市民を中心として支持が集まった暁には、定期的な活動を設定し、生涯学習団体として登録するという運びになります。
講師・指導者は、活動が徐々に市民に知れ渡っていけば、それに追随するものとして、花札師も呼ばれるようになるでしょう。


おわりに

2年前、就職活動(以下:就活)をしていたとき、学内の就職キャリア支援室をよく利用していました。そして、そこで面接練習をし、エントリーシートの書き方を教わりました。
当然、就活は人生で初めての経験だったので、こうしたアドバイザーの助言は積極的に取り入れました。

ただ、悔しく感じることもありました。
エントリーシートの趣味欄には花札と書くのを辞めた方がよいといわれたことです。就活など、社会人が他人からの評価を受ける際には、花札がマイナスに捉えられてしまう現実があると感じました。
もちろん、このようなアドバイスは受け入れず、自分の軸を通すという意味でも、趣味欄に花札と書いてもよかったのかもしれません。しかし、本当に花札が好きだからこそ、花札をわざわざ"マイナスの要素"として書く必要はなく、これによって、選考が不利になるのも遺憾であったため、結局私は書きませんでした。

花札は、家庭での遊びを中心に、日本の文化として今も根付いています。
一方で、賭け事やアウトサイダーの文化としての歴史を持っているのもまた事実です。
したがって公の場では、このように今も受け入れられない文化として残っています。
このような花札の印象を、私の身を以て覆したい。

できることは決して派手ではありません。
私はインフルエンサーではなく、お金の力でなんとかできるわけでもありません。
それでも、一つひとつできることをやっていきたい。
その想いから、今回の公民館事業展開計画研究を記しました。


これからこの事業展開計画をもとに、花札師の活動を前進させていきたいと思います。


今回の記事で、もし誤情報・ご意見・ご感想がありましたら、コメントやSNSで教えてください。
修正を加えたうえで、今後の活動の参考にいたします。
よろしくお願いいたします。


参考文献

上田幸夫、2017、『公民館を創る―地域に民主主義を紡ぐ学び』国土社。
宇都宮市教育委員会事務局 生涯学習課、『宇都宮市まなびの施設ガイドブック』宇都宮市。
宇都宮市生涯学習センター、「生涯学習登録団体について」宇都宮市。
宇都宮市人材かがやきセンター、「登録情報募集中」マナビス MANAVIS -宇都宮市生涯学習情報提供システム (manavis-utsunomiya.jp) (最終閲覧日:2022年3月22日)。
細田守 原作、2009、『サマーウォーズ』角川コミック・エース。

資料

株式会社 アクアプラス、2002、「うたわれるもの」 うたわれるもの|Leaf (aquaplus.jp) (最終閲覧日:2022年10月13日)。
株式会社 アクアプラス、2019、「うたわれるもの ロストフラグ」 うたわれるもの ロストフラグ 公式サイト|アクアプラス (utaware-lf.jp) (最終閲覧日:2022年10月13日)。
株式会社 セガ、1996(2019)、「サクラ大戦(新サクラ大戦)」 サクラ大戦.com | セガ公式ポータルサイト (sakura-taisen.com) (最終閲覧日:2022年10月13日)。
株式会社 任天堂、2020、「世界のアソビ大全51」 世界のアソビ大全51:収録ゲーム | Nintendo Switch | 任天堂 (最終閲覧日:2022年10月13日)。
そらいろ 株式会社、「花札Online」 https://www.sorairo.jp/images/stbar_appli.png (最終閲覧日:2022年10月13日)。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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