Mendelssohn Op.63 Nr.4 (#033)

また子音です。カタカナでの読み方を書いて頂く際に”s”と”t”はカタカナで書かないようにして頂いていますが、その件については以前説明させて頂いたので今回は大幅に割愛いたします。もしまだ読んでおられないようでしたら以前のものを下に貼り付けておくのでそちらを先に読んで頂けると今回の話が少し理解しやすいのではないかと思います。

今回のテーマは子音と子音の繋げ方についてです。これは日常の会話では全く問題になりません。と言うよりそんな事を考えて喋ってる人はいないと思います。しかし歌を歌う際には常にこの事を計算していかないといけません。その理由は”時間”です。音楽に乗っている歌詞は一定の時間内、決まった音価内でその言葉を喋らないといけません。もし音楽がゆっくりならばそれ程注意を払う必要は無いのですが、テンポが速い場合は可能な限り省略、割愛、合体させて音楽のテンポ内で喋り切る必要があります。それでは注意して頂きたい箇所のテキストを一気に書き出します。

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verhallet der
Wandelt sich
trauerndes Schweigen
Wandelt sich

Bald sind die
Bald sind die
Bald ist das
heimwärts ziehn!

verhallet der
Wandelt sich

Es ist das Sehnen

verhallet der
trauerndes Schweigen
Wandelt sich

基本的に前の単語と後の単語をつなげる方法について説明していきますが、何箇所かは勘違いし易い箇所も書き出してありますので気をつけて下さい。。

先ずは”verhallet der”です。これは“t+d“なので前の”t”が落ちます。そうするとカタカナで表記すると”フェァハレ　デァ”になるのですが、それでは唯単に舌っ足らずになってしまうので必ず”フェァハレ　ッデァ”という形で、落とした”t”の代わりにちっちゃな”ッ”を入れる事を忘れないで下さい。なかなか文章で説明するのは難しいのですが、イメージとして“t+d“ = ”ッd”って感じです。ご理解頂けますでしょうか？

2つ目は”Wandelt sich”で、これは”t+s”の形です。この際も前の”t”が落ちます。そうするとカタカナで表記すると”ヴァンデル　ズィッヒ”になりますが同様に舌っ足らずになってしまいます。先にイメージをお伝えしますと”t+s” = „(ッ)z“こんな感じです。カタカナに直すと”ヴァンデル　(ッ)ツィッヒ”みたいな感じです。

3つ目”trauerndes Schweigen”ですがこれは逆にくっ付けられない例です。パッとみたところ”s+s“なのでと思われるかもしれませんが、これは”s+sch”という形なので異なる子音でくっ付けられません。

4つ目は”Bald sind die”です。まず最初の”d+s”は”t+s”と同じだと思って下さい。次の”d+d”は最初にお伝えした“t+d“と同じだと思って下さい。そうすると”バルt　ズィンt　ディー”が”バル　(ッ)ツィン　ッディー”みたいな感じになります。

5つ目は”heimwärts ziehn!”ですが、この”ts+z”は残念ながらくっ付ける事が出来ません。

最後は”Es ist das Sehnen”です。最初”t+d”なのでこれはお分かりかと思います。その後ろの”s+s”ですが、こちらは同じ”s”なのですが、異なる子音扱いなのでくっ付ける事が出来ません。

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「ある一定の時間内で喋り切らないといけない為に」と冒頭でも書きましたが、本来の目的から若干逸れそうになってきているので、改めてここでお伝えしておきます。子音をくっ付ける事によって母音の時間を作る事が声楽的な目的になります。とは言え、口がもたつかない為にも可能な限り子音を割愛していく必要はあると思います。ここで取り上げたくっ付けられない物は、いい加減に発音すると直ぐにくっ付いてしまう危険性があるので、敢えてここで取り挙げておきました。

“t+d“　“d+d“    /    ”t+s”　”d+s”

今回はなかなか文章を書いて説明するのが難しい問題だったのですが、一度口に出して言い比べて頂ければ少しは違いを感じて頂けるのでは無いかと思います。

Kohei S.

子音”s”と”t”の説明
Mendelssohn Op.63 Nr.1 (#004)
https://note.com/kohei_euro/n/n263f8bede180

参考資料
Mendelssohn 6 Duets, Op.63
https://imslp.org/wiki/6_Duets%2C_Op.63_(Mendelssohn%2C_Felix)