【大阪のみ】女性画家たちの大阪 見に行きました!
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「決定版!女性画家たちの大阪」
@大阪中之島美術館 に行きました!
前半はInstagramに投稿した内容を元に再編集。後半は新たに追記します!
↓長いので目次からお好きなページに飛んでください!
開催概要
どんな美術展?
島成園(しませいえん)を中心に、女四人の会(島成園、岡本更園、木谷千種、松本華羊)、生田花朝など、「大阪の日本画」展でも展示されていた有名画家はもちろん、最後の第5章では大阪に関する女性画家達の絵が大量に展示されており、総勢50名超の女性画家たちの作品を見ることが出来ました。(第5章は撮影も可能)
まさに「決定版」の名にふさわしい展示でした!
展示構成
感想
めちゃくちゃ楽しみにしていました!
2023年1月に開催された「大阪の日本画」展の際にも告知がされていて、島成園や生田花朝などの絵は展示されていたものの、北野恒富や菅楯彦がメインでしたので、「女四人の会」などはさらっと触れられるだけでした。
今回は"大阪で活躍した女性画家のみ"の展示で第1章は島成園ワールド。僕の好きな「無題」もしっかり展示されていました!
大阪の日本画展の時は後期のみで、「無題」単体で展示されていたので、他の絵と比べると、こんなに小さかったっけ?と再発見。
第2章は女四人の会の、島成園以外の3人の絵を中心に展示(岡本更園、木谷千種、松本華羊)
第4章は「大阪の日本画」展でも紹介されていた生田花朝の大阪や四天王寺の風景画が多く
第5章は前後期合わせて60枚くらい30人超の女性画家の絵が展示されていました。島成園の自画像以外はそれまでに紹介されていなかった人達だから驚きです!
女四人の会も「小娘が集まって」と批判されたそうですが、今から100年前、第二次世界大戦前の事を考えると、その環境下で自分の芯を持って創作活動に当たった女性達は素晴らしいです。(絵を描く余裕のあるお嬢様生まれだったとは思いますが)
東京や京都と違い、塾に通うお金さえあれば男女関係なく絵を学びやすかった大阪の土壌が、100年前の女性達の"描きたい"を実現させていたと思うと寛容な文化だなと思いました。
なんか見たことある絵があるなぁと思っていたら2023年10月に行った「昭和のキャバレー王 福富太郎のコレクション」作品が数点ありました。やはりキャバレー王のセンスが光っていました!
1/2だからか空いていて見やすくて良かったです!(梅田は激混みやったのにな)
結構、展示替えがされるらしいので後期も見に行きます!
後期展示感想
※2024.1.28追記
昨日(27日土曜日)に後期展示を見に行ってきました!(後期展示1/23-2/25)
↑写真でも分かるようにめちゃくちゃ寒かったのですが(手前の木が寒そうだね。室内は暖かかったよ!)、前期後期で約4割が入れ替わるという事で、後期も楽しみに観に行きました!
大阪中之島美術館の営業テクニックなのか分かりませんが、前期後期で約半分入れ替えるみたいな事をよくやるので、大体その罠にハマってます。笑
第1章の島成園コーナーも約半分ずつ入れ替わっていて楽しめました!楽しみにしていた「影絵之図」(うさぎの影を作っている美人画)も見れてよかったです!
今回の展示は入ってすぐに「祭りのよそおい」の絵がバーンとお出迎えしているのですが、後期ももれなく、光を放つ如く鎮座していました。ディズニーランド入園後のミッキーの顔をした花壇のようです。
僕の大好きな「おんな」「無題」もしっかり見納めしてきました!
後期展示で1番楽しみにしていたのが第5章にある、三露千鈴の「殉教者の娘」です。
「大阪の日本画」展にも展示されていたのですが、着物でありながらロザリオを持っていたり、背景が教会ぽかったり、そのちぐはぐな感じがすごく好きです。
赤と黒の配色と着物の柄がすごく良いです。残念ながらこの良さは写真じゃ分かりづらいので、ぜひ実物を見ていただきたいです!
(好きな絵を写真に収めることが出来る喜び♡)
後期展示は2/25(日)までです。
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開催前のワクワクを書いています↓
ここまではInstagramの投稿とほぼ同内容ですが、この先はもうちょっと詳しく書いていきます!
公式図録
全243ページ
大阪中之島美術館の小川知子さんが企画・構成執筆のメインを行われています。
表紙は島成園「桜花美人」木原文庫が飾り、表紙をめくった1番最初に「女四人の会」の写真がデカデカときているのに痺れる作りになっています!
公式図録には大阪中之島美術館以外の開催が書かれていないので「大阪の日本画」展のように巡回の予定は無いようです。
公式図録は売り切れました※3/3追記
※3/3追記
なんと会期最終日の前日に公式図録が売り切れたと公式のXでポストされました!
これは図録を発注された担当の方の目利きが素晴らしいですね!(何冊売ったのか分かりませんが、来年度に大阪中之島美術館が報告書で来場者数を公開すると思うので楽しみです)
実は僕、前期後期両方見に行ったので、実験も込めて前期に買った図録を読んで早々にフリマアプリに出品したのですが、結構早く、定価の+¥1,500くらいで売れました!
というのも、ちょっと調べたところ、大阪中之島美術館でしか開催されないのに、WEB上で販売されていない!これは勿体無いですよ!大阪中之島美術館のスタッフさん!(実際に買われた方で関西の方はいなかった)
もしかしたら、いろんな制約があると思うのですが、大阪中之島美術館は半分は私企業で運営されているはずなので、全国どこでも買えるようにすればもっと売れた様な気がします!
それにしても大阪中之島美術館限定開催で、図録がもう買えないとなると、ちょっとプレミア付くかもしれないですね(ちゃんと手元に1冊残しています。笑)
グッズ
今回、公式HPやXにも公式グッズが紹介されていないのですが
公式図録以外にもポストカードやクリアファイル、ノートなどお馴染みのグッズに加え
ポストカードをA4サイズぐらいに大きくした、プリントされた絵が珍しいなと思いました!(主要作が6種類くらいあったような)
他にもコンパクトミラーなどもあり、「今後グッズは追加されます」と書かれたキャプションもあったので、後期展示の際にまたチェックしてみようと思います!(1/28追記。実際にどれが追加されたのかは分かりませんが、¥1,000¥2,000前後のお手軽なバッグが追加されていたと思います!)
公式グッズ以外も、日本画や京都のお土産屋さんで売っていそうな、和風のグッズもたくさんありました。
「第1章 先駆者、島成園」より
島成園 (しませいえん)
第1章は島成園の作品のみ。撮影が出来ないのですが、「大阪の日本画」展の際に撮影出来たもの、公式HP・SNSから拝借して好きな絵を紹介します。(「自画像」のみ第5章にて展示されており、撮影可能)
祭りのよそおい
大正二年(1913)。
第七回文展における上位入賞の上村松園「蛍」などに続く褒状受賞作。
大阪の日本画展の感想でも熱く書いた、僕の好きな絵が会場に入ってすぐのところに架かげられていました。
大阪の日本画展でも、今展でもグッズ化されていたので、大阪中之島美術館のスタッフさんも好きな作品なのかな?
左の3人の少女のお祭りに行く衣装を、ちょっと離れた位置から羨ましそうに見る右の少女。下駄や草履、扇子や団扇の違いはあれど、右の子もあからさまに貧乏そうでは無いまでも、子供の時から格差を感じてしまっているのでしょうか?恥ずかしそうに団扇を後ろ手に隠してしまっていますね。
僕は島成園が描く、美しいものだけではない「リアル」な絵が好きです。
島成園自身も絵が描けるぐらいのお嬢様ではあったと思うのですが、さらなる上の階級に対するコンプレックスを感じていたのだろうと想像してしまいます。
無題
大正七年(1918)。
僕はこの絵が1番好きです。
島成園自身をモデルにしたこの絵の女性には、自身には無いアザを描きました。
女の武器である顔に大きなアザを描くことによって、一人の人間としてではなく、"女性画家"として扱われる違和感の感情を込めた絵に感じます。(島成園も「痣のある女の運命を呪ひ世を呪ふ心持を描いた」と発言しています。)
この背景のラフのように未完の絵と真っ黒な着物、無表情の組み合わせがたまらなく好きです。
自画像
今回初めて見たこの絵も強く惹かれました。自画像と言えば、ちょっとでも美化して「美女・イケメン」に描く事が多いと思うのですが、ありのまま、もしくはそれ以上やつれた姿で描いています。着物は着崩れ、目がうつろ、黒背景なのもいいですね。
スランプによる苦労を吐露するにしても、今のようにSNSで簡単に弁明できる時代でもなかっただろうに、誤解を恐れずに「こんなに辛いです。」というメッセージを世に示した成園の肝っ玉が素晴らしいですね。その後自殺せず、78歳まで生きたことを考えると、芯は相当強かったのだろうと想像させられました。
おんな(原題・黒髪の誇り)
大正六年(1917)。
上半身を露わにして艶めかしいのにも関わらず、般若やおたふくの能面の柄の着物と長ーい黒髪、伏目がちな目がなんとも嫌ーな雰囲気を漂わせています。エロスよりも霊的な恐怖が勝っていて、惹き込まれるのですが、幽霊画とか割と好きなので、結構お気に入りです。
というのも、「あれ?この絵どっかで見たことあるなぁ」と思って、出品目録を確認したところ、去年の10月に名古屋の松坂屋美術館で見た「コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画」の福富太郎コレクションでした!この展覧会、別の目的のついでに行ったのですが、結構内容が良い展示でして、キャバレー王の審美眼に唸った展示だったので、すごく印象に残っていました。(後述する「松本華羊 殉教(伴天連お春)」の絵も妙に艶めかしくてすごく覚えていました)
「第2章 女四人の会〜」より
女四人の会
島成園 しませいえん
岡本更園 おかもとこうえん
木谷千種 きたにちぐさ
松本華羊 まつもとかよう
の4人で井原西鶴の「好色五人女」を研究し、大正五年にその成果を「女四人の会」展で発表。
岡本更園
秋のうた
失念してしまったのですが、確か会場のキャプションに「近年見つかった」と書いてあった気がするのですが…(図録を探しても見つからなかった)。確かに他の絵と比べて保存状態が悪く、色褪せて、表面が汚かったのですが、すごく印象に残っている絵です。
美術館やコレクターではなく、どこかの家や倉庫に眠っていたのかなーと勝手に想像してしまいました。
(1/28追記。後期展示で確認してきました。やはり「長く所在が不明だった…」と書いてありました。初公開らしく暫くぶりに皆さんにお披露目出来たみたいです。)
木谷千種
をんごく
大正七年(1918)。
この写真だと分かりやすいですが、屏風になっています。左の方に小さな男の子がこちらを覗く様子が愛らしくも、悲しげにも見えるように感じました。
1番下の弟が3歳で亡くなってしまった為、追悼の意を込めて、手前の女性を千種自身の分身として描いているようです。
逆に、絵全体は分かりにくいので大阪中之島美術館の「をんごく」のデータベースページを貼っておきます↓
(1/28追記。をんごくは前期のみの展示でした。後期は同じ箇所に木谷千種「浄瑠璃船」が飾られています。)
松本華羊
殉教(伴天連お春)
この絵も「コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画」で見て、強烈に印象に残っていたので、目にした時に「あ!あの絵だ!」と思い、ドキドキしました。
物憂げな表情と、ごわごわした髪の質感がすごく良くて、悲しげな雰囲気に対比する綺麗な桜の花がいいですね。
最期までキリスト教拒否しなかった強い意志があるのにも関わらず、こんなボーッとした表情なところに、一瞬違和感を感じたのですが、自分の信じていたものを棄てろと言われて、心身ともに疲れ果てた姿なのかなと、もう一歩先を想像してしまいました。
「第3章 伝統的な絵画-南画、花鳥画など」より
融紅鸞
熱帯魚
この章からは特に印象に残った一枚を紹介します。
すごく珍しい珊瑚礁の熱帯魚の絵です。担当者も好きなのか、図録の裏表紙の折り返しに選ばれていました。
融紅鸞さんを調べたところ、大阪市北区曽根崎に生まれ、太融寺住職の孫らしいですね。(曽根崎はザ・梅田。少し南東の太融寺があるエリアは今はラブホ街、飲み屋街で少しディープ)めちゃくちゃ大阪です。
画業の傍ら、人生相談回答者となりラジオ・テレビなどで活躍。(関西のご意見番やったんでしょうか?今でいう円広志さん、ハイヒールさん、海原やすよともこさん、ナジャグランディーバさん的な?)
ちなみに右に写っている「村岡小丘『人形ごっこ』 関和男氏所蔵」もなかなか奇抜でよかったですねー。
(1/28追記。「熱帯魚」は前期限定の展示でした。後期は同じ箇所に融紅鸞「草花図」が展示されています。ちなみに村岡小丘「人形ごっこ」は後期も展示されていました)
「第4章 生田花朝と郷土芸術」より
生田花朝
四天王寺聖霊会図(原題・四天王寺曼荼羅)
昭和二年。(1927)
僕も行ったことがあるのですが、四天王寺を北側から見た図になっています。(手前が北側)
生田花朝は菅楯彦に師事していたこともあり、四天王寺や天神祭など、大阪の風俗に関する絵が多いのは「大阪の日本画」展でも紹介されていました。
今回は四天王寺が所蔵する「うちわの原画」も展示されていて、お祭りの際のうちわの絵の仕事も請け負っていたんだなぁと思いました。橿原神宮の絵馬も展示されていました。
「第5章 新たな時代を拓く女性たち」より
第5章は今回の展示の中で、唯一撮影できる章で、第5章に関しては全て撮影可能でした。
僕の勉強不足もあるのですが、聞いたことがない女性画家達の絵がたくさんあって、それぞれお初ながらも個性があってよかったです。
その中でも良かったものだけ写真を撮ったので、題と作家名だけ紹介します。
おさらい
最後まで目を通して頂きありがとうございます!
もう一度この展示の開催概要をおさらいします!
後期は1/23からスタートです。
僕は2枚セット券をアソビュー(というサイト)で購入したので、後期も見に行きます!
後期限定展示で注目なのは三露千鈴の「殉教者の娘」。
「大阪の日本画」展でも展示されていて、すごく印象に残っています。
第五章に展示されて、おそらく写真撮影可能だと思うので(大阪の日本画展の時は不可でした)すごく楽しみです!
最後に大阪中之島美術館のHPを貼っておくので、気になる方はチェックしてみてください!
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