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#86 トップレベルの人はやっている。職場という社会的共通資本への預け入れについて考える(2024/05/20)

社会的共通資本(Social Common Capital)とは、経済学者・宇沢弘文(1928-2014年)の提唱した概念で、「ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような社会的装置」のことである

宇沢弘文『社会的共通資本』岩波書店

こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。
最近、社会的共通資本への預け入れについて考えています。

キッカケは木下斉さんのVoicyで度々触れられていること、能登・七尾市の一本杉川嶋さんのインタビューなどです。

社会的共通資本について学ぶべく本を読み始めたのですが、内容が難しく進捗が非常に悪いので、ひとまず社会的共通資本についての現在の考えを残しておきます。


〇社会的共通資本への預け入れがなぜ重要なのか

コロナ禍を経て、現在の競争原理や経済最優先の考え方は、自然環境の破壊などにつながり、持続可能な社会を実現しにくいということが浮き彫りになり、ゆたかな社会を守るためのポスト資本主義としての社会的共通資本が注目されています。

この社会的共通資本は引き出すだけではいずれ枯渇してしまうため、我々一人一人が預け入れることも考え、行動していくことが重要ということです。

マクロな視点に立つと社会的共通資本への預け入れが大切ということは理解できますし、ジブン株式会社を経営においても考慮したい気持ちもあります。
しかし、社会的共通資本の考えもまだインストール出来ておらず、自分が出来る社会的共通資本への預け入れとはなんなのかもよくわからないという状態でした。

〇職場という社会的共通資本への預け入れについて考える

「ゆたかな社会」とは、自然環境が維持され、教育や医療などの文化的環境が用意されているなど、幸福と安定に満ちた社会のことである。

という宇沢氏の考えに則して、自分の職場を一つの社会的共通資本として考えてみました。
すると、トップレベルに活躍し大きな評価を得ている社員は皆、職場への預け入れをしているのだと腑に落ちました。

社会的共通資本には、大気、海洋、森林、河川、水、土壌などの「自然環境」、道路、交通機関、上下水道、電力・ガスなどの「社会的インフラストラクチャー」、教育、医療、司法、金融、文化などの「制度資本」という3つのカテゴリーが含まれます。
これらを職場に置き換えるとこういうことでしょうか。

「自然環境」:職場の雰囲気、風土、オフィスの立地など??
「社会的インフラストラクチャー」:オフィス環境、slackなどのコミュニケーションツール、サーバーなどのシステム環境、便利ツールなど
「制度資本」:教育、評価、採用、福利厚生、支援制度、社風など

活躍している社員は、一緒に働く社員が楽しく安定的に仕事に関われる環境を作ることに貢献するアクションを起こしています。
身近な「社会的共通資本への預け入れ」です。

〇職場という社会的共通資本への預け入れの例

私の職場での社会的共通資本への預け入れのひとつを紹介します。

毎日やる必要がある勤怠時間の入力ですが、手間がかかりみんなやりたくないと思っています。そこで、ある社員が入力の手間を軽減する勤怠チェックbotを作成してくれました。
slackのコメントに「出勤」、「退勤」というスタンプを押下することで、勤怠時刻を記録してくれるのです。入力した時刻を勤怠管理システムに転記する必要があるのですが、ボタン一つで転記出来るツールも作成してくれています。

勤怠チェックbot

このような便利ツールの整備はインフラストラクチャーへの預け入れと言えます。

ツールの作成だけでなく、社員のコミュニケーションを促進するイベント企画や採用活動への協力など様々な形での預け入れがあります。
私自身も10年ほど前に技術部の教育チームの立ち上げに参画しましたが、この活動は制度資本への預け入れといって良さそうです。

職場という社会的共通資本への預け入れによって社員の幸せに寄与する活動に溢れ、その活動が正しく評価される状態が維持されている環境は、ゆたかな環境といえるのではないでしょうか。


ということで、今回は社会的共通資本への預け入れについて身近な職場に置き換えて考えてみました。
現在私も、職場をよりゆたかな環境にしようと色々な活動に取り組んでいますが、その活動についてはどこかで紹介できればと思います。

また、社会的共通資本を読みおわえることが出来たら、その時にアップグレードされた考えをアウトプットしてみたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。


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