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丸くなるとは幸せを見つけること

気づけば30歳。上にも周囲にも突っ張っていた20代の頃の自分はもういない。

東日本大震災に見舞われた就職活動は、もう8年も前の出来事。
新卒で入ったコンサルファームの最終面接が予定されていた数日前に、日本は未曾有の事態となった。

地震からしばらく経つと東京圏は通常の経済活動が動き出し、無事最終面接を受けることができた。

面接の中で僕は「いずれ会社を辞めて、自分で事業を立ち上げる」と挑戦的な発言をしたものの、幸い寛大な面接官だったため、無事内定を得ることができた。

入社して2年ほど経つと仕事にも慣れ、プライベートの時間を使って何かをしたくなった僕は、仲間を集めてセミナーを開いたり、他社の新規事業制度に応募したり色々なことをしていた。

当時は22時頃までは毎日働き、終電やタクシー帰りも当たり前の環境であったが、刺激ある業務外の活動が楽しくて仕方なく、会社や大学の同期からはちょっとした「やり手」キャラになっていたと思う。

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その後、いよいよ自分で事業をやりたくなったため、入社4年目のタイミングでコンサルファームを退職。渋谷のとあるベンチャー企業へ入社した。
新規事業部門の一員として売上ほぼゼロの複数事業に携わり、数ヶ月後からはリードとしてメンバーマネジメントという未知の世界も経験するようになった。

そして事業経験を通じてテクノロジーへの可能性を感じた僕は、一念発起してベンチャーを退職。
巷で有名なプログラミングスクールに入学した。

そんな時、妻の妊娠が判明したのだ。

テクノロジーの理解を深めて、これからはスタートアップで挑戦しようと思っていたが、無職期間が長く貯金も減り続けていたため、進路を変更して再びコンサルの世界へ(新卒で入った会社とは異なる別会社)。

今ではいわゆる戦略コンサルタントとして就活生が羨む仕事をしているのかもしれないが、仕事が面白いかと言われると正直そうでもない。

ベンチャー時代に感じていた事業を作る興奮に勝るものはなく、ワークライフバランスと高い給与が保証された環境で日々を過ごしている。

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前置きが長くなったが、ようやく本題。

今も昔も僕は仕事をWHY・WHATで選ぶ人間で、その基準でいうと今の自分は適した仕事をしていないと思う。

ただ子どもが生まれたことで、家族と過ごす時間が、ただ一緒に過ごすだけでこれだけ幸せを感じるのかと思っている。

妻と息子が触れ合っている姿を見つめている時間が、ずっと続けばいいと思ってしまう自分がいる。

この変化に驚いたのは紛れもなく自分自身。
家庭環境から家族というものに対してポジティブなイメージがなかったからこそ、その「幸せ」の存在に30歳の今、初めて気付いた。

元々「企業」「出世」などしか目指すことしか見えない狭い視野に、違う光が見つかって価値観のパラダイムシフトが起きたのだと思う。

なりたくないと思っていた「丸くなった大人」は、実はただ別の形の幸せを見つけただけなのかもしれない。

違った種類の幸せを感じとる強さを持ったのかもしれない。

そして、新たな幸せの形を見つけたからこそ、数年前とまた違う考え方をもって事業作りと向き合いたい。

丸くなった大人の強さを、社会に広めていきたいと思う。

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