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週刊牛乳屋新聞#91(良いモノを作るためには時間がかかる)

こんにちは、牛乳屋です。今回の記事は、副業をやってみたい!自分の事業をやってみたい!起業してみたい!起業している!という方にオススメの記事です。


1.タイムマシン経営とスタートアップ

最近、『逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知』を読みました。タイムマシン経営とは、海外で成功したビジネスモデルやサービスを日本でいち早く展開する経営手法のことを指します。ソフトバンク創業者の孫正義氏が命名したと言われています。実際、孫社長は1990年代から米国のIT企業と接点を持ち、日本国内でYahooの立ち上げ、英国の携帯電話会社買収、iPhone導入等で大きな成果を残していることは皆さんもご存じのことでしょう。

逆・タイムマシンとは、未来ではなく10年前から50年前の過去のブームを振り返り、現在のブームと重ね合わせて本当にそのブームが不可逆的なのか?を考察します。ブロードバンド革命の熱狂、ERPパッケージの登場と20年前のインターネット黎明期だけでなく、1960年代の日本国内のモータリゼーションがどのように熱狂し、冷めていったのかを見ていきます。

2.隣の中国は凄い!?

筆者は「飛び道具」「激動期」「遠近歪曲」の概念を挙げています。この中で特筆したいのが遠近歪曲です。遠近歪曲は、言い換えると隣の芝は青く見えることです。

深圳は中国のシリコンバレーと言われ、スタートアップ投資が盛り上がらない日本やGAFAのような超巨大ハイテク企業が生まれない日本が見習う先端都市として考えられています。

紙やハンコが蔓延る旧態依然の日本と対照的に、中国は自動運転技術が実用化に近づき、最先端のハイテク企業が次々と生まれ、高性能のロボットが様々な場面で活用され、中国共産党の強権の元にビックデータが構築されAIを活用した社会インフラが実装されています!!!!!!!

中国は一党独裁のもとで米国に対峙しうるハイテク国家になったのです!!

3.多産多死は日本人のメンタリティーに合わないかも

・・・とは言いましたが、中国在住の読者の方には怒られそうですね笑。実態は、ロボットと言えども配膳場所を間違えたり動かなかったり、自動運転と言えどもマナーが無く行動パターンが読めない運転をする運転手が蔓延る公道、AIと言いつつも大量の出稼ぎ労働者の人海戦術で支えられたサービス等、実態は言われているほど華やかでなく、恥ずかしい場合があるのも事実です。

また、中国スタートアップの特徴は多産多死ということでしょうか。この分野は伸びそうだ!と起業家や投資家がそろばんをはじいた瞬間、天文学的な数字の投資が集まったり、同業他社がこれでもかというほど参入してきます。そして、上手くいかなかったり、時代が変わったと判断したら、事業や人を切り捨てて次の事業へと焦点を合わせていくのです。

ただ、私は中国人や中国企業のように事業や人を切り捨ててどんどん新しいことに取り組むのは日本社会にはあまり向いていないんじゃないかなと感じています。というのも、中国や米国と異なり、起業する人やスタートアップ投資で一攫千金を目指すファンドの母数が圧倒的に少なく、規模も雀の涙ほどです。竹やりを渡されるのと一個師団の装備と複数の輸送機を渡されるのでは達成できることも変わってきます。

元本が目減りする可能性があるけれども、どんどん投資して金を回していこうと考えるメンタリティーよりも、利息が付かないけど銀行に預けるメンタリティーが受け入れられているので企業をたくさん産んで、たくさん死なせて、その中で1社超巨大企業が生まれたらいいやという考えは、裏の屍に目が付くので受け入れられないことでしょう。

4.続けていくことで活路は生まれる

多産多死を前提としたスタートアップ論が全てだと思っていません。

一回終わったと思われた中国のシェア自転車業界も継続している人がおり、そこで何とか市場を創り上げているような動きもあります。

かように、中国のサービスは最初期に「野蛮な成長」を続け、その後「もうだめだ」とか「こんなの最初から無理があった」とぶっ叩かれ、さらになんやかんやしているうちにシレっと安定したサービスとして定着している、というようなことがよくあります。
そのため中国の流行については一発ヘコんだところで見限ってしまうのではなく、そこからも地道な観察を続けていくことが大事なのではないか、と思います。その嗅覚を持ち続けるのって難しいことですが、せっかく中国にいるので、注意深く見ていきたいです。

多産多死の中で「金色のウンコ」を売って上場ゴールを目指すよりも、コツコツと改善を重ね、時間がかかっても市場を丁寧に作っていくアプローチが今後の社会で重視されると考えています。

実際、米国最大手のベンチャー投資企業のセコイアキャピタルも10年を超えるファンドを組成しています。(基本的にベンチャー企業は10年で上場して、ファンドに投資分以上を「返す」必要があるのです)

金のウンコを売って上場するようなビジネスモデルは上場を達成する必殺技になり得ますが、今後はより「ホンモノ」を求められるような気がしています。その中で、多産多死を前提にしたやり方よりも、時間をかけながら事業やその周辺を育てていくアプローチの意義がより一層高まるんじゃないかなと感じています。

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