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桃太郎はなぜ、一人で鬼退治の旅に出たの?

「この中から将来、
小説家になる人や、漫画家になる人、脚本家になる人
がいるかもしれないから」

そう言って紹介するのが、ストーリー・マップです。
小さな頃に枕元で聞いた桃太郎、浦島太郎、シンデレラ、赤ずきん…
絵本の世界には物語のパターンが活きています。

こちらはみんなが知ってる(?)『桃太郎』キャラクターマップです。
ストーリーマップの付属品ですが、
優秀なフォーマットなので、読解でもよく使います。
中心人物」「支援者」「敵対者」「中心人物の願い」をまとめていくと、
ただの羅列の「登場人物」の立ち位置がハッキリします。
物語の基本は、登場人物の願いを叶えることです。
それを軸に考えると、中高生の読む文学的文章も
この形で整理できます
そうしてまとめると、素朴な疑問が出てきます。

「桃太郎はなぜ、一人で鬼退治の旅に出たの?」

鬼は、徒党を組んでいて、周囲の村を困らせるほど強大なのに、
桃太郎はなぜ、一人で鬼退治の旅に出たのかという疑問です。
そこでようやく、ストーリーマップの出番です。

物語の展開を
「欠如」→「難題」→「解決」→「補充」
というパターンで捉えています。
『桃太郎』のお話の「欠如」は、
おじいさんとおばあさんに子どもがいない
というのが、まず思いつくことですが、
桃太郎は友達がいないんじゃないか
という欠如が見えて来ます。
どうして桃太郎に友達がいないの?
と問いかけると、
桃から生まれたから
動物と喋ってるから
など、先程のキャラクターマップで、
さりげなくまとめたことを理由に挙げる子どもが現れます。
すると、
困っているみんなを見かねて旅に出た、偉い人」
から、
みんなに認められたくて旅に出た、いじめられっ子
という新しい桃太郎の姿が見えて来ます。
物語の起伏として設定する「難題」と「解決」をおさえ、
エンディングでの「補充」を確認すると、
最後に
村が平和になる
を付け足す子どももいれば、
桃太郎が英雄になって、人々から慕われる
と付け足す子どもも出てきます。

このような『桃太郎』の読み取りを通して、
ストーリーマップを説明したら、
創作のために真っ新なストーリーマップを与えて、
物語を作ってもらいます

中学校では、
大人気の『星の花が降る頃に』があります。
その続きを書くという活動は、
よく実施されるのですが、
ストーリーマップを与えて創作をさせると、
原稿用紙の前で頭を悩ませていた子どもが、
自分のアイデアを書き込み始めます。

ストーリーマップ
には、機能カードという、
物語を動かす機能を持ったカードが付属していて、
展開に悩んだときに、
ランダムでそのカードを引き、
それを使って物語を動かしたりします。
たとえば、
カチカチ山の「策略」や、
ピノキオの「違反」など、
止まってしまった物語を動かす、
みんなが知っている物語の仕掛けが提示されて、
思考が動き出します

「『自由に創りなさい』という無責任な先生が多い。」

以前、谷川俊太郎さんが講演の中で、
詩の創作の授業についておっしゃっていたことです。
例示したり、約束事を与えたりしなければ創れない、
というのです。

物語においての約束事、条件は、
ストーリーマップ以外にもある方が良いでしょうが、
ストーリーマップがあれば、
目の前に物語のパターンのフレームが現れるので、
苦手な子も考えることができるようになります。

ストーリーマップは、
『桃太郎』でやったように、
構成を掴む読解でも使えます
その後、描写に焦点を当てて深めていくと、
より主題に迫れます。

今回紹介したストーリーマップは、

山本茂喜さんの、
魔法のストーリーマップで国語の授業づくり
という本で詳しく紹介されています。

https://honto.jp/netstore/pd-book_26110483.html

絶版でしばらく買えなかったのですが、
最近少し出回るようになり、
購入できるようになりました。
興味を持った方は是非、
読んでみてください。

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