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半導体 2023年1月

2023年展望

2023年の半導体市場は縮小へ

2023年の半導体市場は冷え込みそうだ。
テレワークや巣ごもりで急拡大した半導体需要は一服。中国のロックダウンやロシアのウクライナ侵攻がサプライチェーンを混乱させたことで生じた在庫確保も収束。新型コロナが引き金となって続いた未曾有の活況は幕を閉じた。世界半導体市場統計(WSTS)が22年11月に発表した予測によると、23年の世界半導体市場は前年比4.1%減となる見込みだ。(5,566億ドル)
伸び率がマイナスとなるのは、半導体産業の景気循環が後退局面にあった2019年以来の4年ぶりである。

ちなみに22年は、22年6月時点での予測では前年比+16%だったのに対し、11月発表した予測では同+4.4%と大幅に下方修正されており、23年予測と同様に昨年夏以降に市場が急速に減る見立てをし始めたことがわかる。

自動車向けは成長続く

23年減速の商品別では、ICで前年比5.6%減の縮小を見込む。とりわけ、全体の24.6%を占めるメモリーICで17.0%減と大幅な落ち込みを予測した。また、先端ロジック半導体についても23年は勢いを失いそうだ。そんな中、自動車用途は23年も+9.7%の成長を続ける見込み。メモリーICや先端ロジックが調整局面を迎える中でも自動車に多く使われるアナログ半導体やパワー半導体は供給不足が続き、また、同用途向けの製造キャパは構造的に制限されているので、断続的に不足状況が続き、完成品の納車までの納期正常化には至らない見込みである。特徴的なのは、古い技術をそのまま使い続けている同用途向けに置いて、OEMの価格圧力が強い分、半導体メーカーとしても利益が取りにくく、更には耐久性や信頼性といった必達基準が厳しく、他用途向けを自動車用途に転用する判断は容易では無い。供給量が増えてこない理由としてこのような背景がある。自動車に搭載される高機能化システム、自動運転技術のためのデータ処理、電気自動車シフトによるパワー半導体は大量消費される見込みで、同用途に搭載される半導体は増加の一途を辿る。

設備投資の手は緩まない

好不況の波を繰り返しながらも、次の好況時にはさらに市場が拡大していくのが半導体市場。半導体関連メーカーの各社は次の山を見据えた拡大戦略を練っているとことであり、市況が落ちているタイミングにこそもっと高くなる山に向けた投資が世界中で活況を呈している。工場誘致合戦に関しては米国では自国企業のインテルに加えてTSMCとサムスンが先端の半導体工場を建設、ドイツではインテルが工場新設してTSMCも新設を検討中との報道、日本ではTSMCの新設報道に加えて国産化のために新会社Rapidusを設立。23年の半導体業界は冷え込む市場とは裏腹に先を見据えた投資や政策が加熱していくであろう。

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