攻殻機動隊ARISEを見たのでその雑記

攻殻機動隊ARISE（と新劇場版）を見たのでその感想とか攻殻機動隊全体についてなんかアウトプットしようと思っての文章。

ARISEはまぁ視聴前から前評判があんまりよくなかったんで、そこから考えればまぁ悪くはないかなという程度。
キャストについては基本そういうものだと思っているので気にしていない。
政治的な部分はあんまり得意じゃないので事件の全貌みたいなところはあんまりわからないまま俺たちは雰囲気で攻殻機動隊を見ているところがあるので、そういうのもまぁいつも通りで。

気になった個所を数点あげるとするならばクルツにせよホヅミにせよヴィヴィにせよ基本的にARISEは女性が強すぎた感はあった気がする。
……なんて言い方はこのご時世あまり適切な表現じゃない風にも感じるけど、攻殻機動隊の塩梅としてはごつい男ばかりの9課の中でひときわ草薙素子の女傑ゴリラっぷりが目立つのがよい部分はあるので、まだ隙が目立つぱっつん素子に対して外部の組織の中枢が女性が強いという構造はあんまり、攻殻の見え方としては微妙に感じた部分はあったかもしれない。
ただ原作読んでないのでどこまでが原作のキャラかとかいうところもよくわかってはいないんだけど。

もう一つ気になったところとして事件がいちいちデカくないか……？
という点。
いや、もちろん過去のシリーズでもデカい事件はあったんだけど、ある程度未然に防がれたり、最悪の事態は防いでいたのに対して都心部の交通が完全にマヒしたり、都心部で民間人の大量虐殺が行われたり、首相が暗殺されたり。
なんというか発生してしまった事案として歴史に長く残りそうな大事件がポンポン発生している感じで、SACシリーズなどでの事件を秘密裏に解決……でもないけれどそう言った雰囲気はない（まぁまだ権限がない時代だから仕方がないのかもしれないけれど）
これがよいか悪いかって話になるとまた別口なんだけど、ことがデカくなるほどなんとなくチープ感が漂ってしまう感じも無くはない。

任務の失敗という意味では特にSACシリーズあたりの素子とバトーが顕著なのだけど、無茶苦茶なビックマウスのわりに個人的な感情や完全な不注意で割と任務を失敗するのが公安9課というイメージがあったりする。
正直あんまり好きじゃなかった攻殻機動隊の側面なので、今回あんまりそういう場面がなかったのは見やすかったかも。

あとはまぁ、わりとパズがすきなので、彼の出番が多めにあったのはうれしかったかな。
総じてエピソード0的な要素が多い感じで、話の内容としては9課の成立までの出来事とか、各キャラクターの参加の流れとかを描くことが重点で、SF的な要素や、現実の問題と絡めた問題提起などは弱めというか、キャラクターアニメ、キャラクタームービーという側面が強かった部分もあったかもしれない。
あとは個人的に好きだったもぐもぐ9課。
全体的にARISEシリーズはキャラクターがもぐもぐしているシーンが多くて、全体的にキャラクターも立っていて単純に好き。

音楽に関しては正直あまり印象には残っていないかもしれない。
SACのOrigaを代表として世界観を作るクセの強い耳に残る楽曲が攻殻には多かったので、OPなど含めて新しいアプローチは感じたのけれど、まぁ感じたというだけであまり印象には残っていないかな。
総じて薄味で低評価もやむなしな部分は感じる。

個人的に言ってしまえば攻殻は押井守のゴーストインザシェルが一番好きなので、そこと比べちゃうと評価軸もだいぶ根底から違うのかもしれませんが。
そんなゴーストインザシェルにしても扱っているのはシンギュラリティやAIの自我獲得、テセウスの船めいた自分はどこにあるのかといった問など、悪く言えば使い古された……当時でいえば非常に新鮮で普遍的なSFテーマ。
今になって言うと割とありきたりかなと感じてしまうのは、ゴーストインザシェルを皮切りに、多くそう言った作品が世の中に出て行ったからでしょうね。
何が言いたいかっていうと、最近ゴーストインザシェルを見ても、思ったほど歴史を変えるような大作、センセーショナル、時代をけん引するようなパワーは感じないかもしれないという話。

それでもゴーストインザシェルが一番好きなのは、その後のSACシリーズなどを含めて、様々なテーマ性を包括できる攻殻機動隊というフォーマットを代表する作品であり、最も美しい映像美と音楽との融合、そして使い古されているとはいえ時代を先取りして今もなお擦られ続けるおいしいテーマ性と押井守をこれでもかと盛り込んだ作品だからでしょうね。

そこと比べるとARISEはまぁ薄味だしキャラアニメだし致し方ないよなぁ、と個人的には思ってしまう部分はある。

残り見ていないのは問題作として話題のSAC2045
実のところ結構期待していて、シンギュラリティという好きなテーマが強く見え隠れしているのと評価がめちゃくちゃ二分しているというところ。
いつか余裕のある時にでもネトフリ契約してみて行こうと思います。