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ドクダミのこと①

こんにちは。
ここ数日一気に蒸し暑くなり、早くもへばりそうな今日この頃(笑)。
蒸し暑さと雨は、ついつい鬱々しがちですが、雨に濡れる植物たちはこの上もなく美しく、いきいきしているようにも感じます。
日本の植生の豊かさってこの梅雨(だけじゃ、もちろんないけど)あってこそなんだろうなあ、としみじみ。


さて、久々に「マガジン植物図鑑」に追加です。
今回は、言わずと知れたドクダミについて。

ドクダミ概要

ドクダミはドクダミ科ドクダミ属の多年草。北海道南部から九州、ヒマラヤから中国、朝鮮半島、東アジアなどに広く分布している植物です。
日陰から半日陰を好み、春から初夏にかけてハート型の葉を展開しながら、旺盛な繁殖力でどんどんあたりを覆いつくすこともしばしば。
5月終わりごろになると、清楚(だと私は思う)な白い花を次々と咲かせ、ちょうど蒸し暑さが増してくるころ、目に涼しい光景を見せてくれます。

ちなみに、便宜上「花」と書きましたが、花弁のように見える白い部分は花ではなく「苞」という葉の一種です。花は中心部の黄緑色の部分。

なぜ葉の一部をわざわざ白くして花弁のように見せるのか?
はじめ(と言っても大昔でしょうが…)黄緑色の花をつけたはいいものの、あまりに目立たなくて虫が来てくれなかったようです。虫媒花のため受粉に困ったドクダミは、花の近くの葉を白く変化させて花を目立たせ、虫にアピールをする戦略をとったのだとか・・・。(あくまでも一説です)
ここまで書くと、白いところも花じゃん!と言いたくなりますが、まあ植物学上の定義は花ではない、ということで。

あ、ちなみに同じドクダミ科でハンゲショウ属のハンゲショウも、名前の由来の通り葉が一枚白いですよね。あれも、このドクダミと同じで花を目立たせるために、わざわざ葉っぱを一枚白くしているんだそうです。(直接ハンゲショウに聞いたわけではないので、もちろん人間側の推測(笑))

多くの場合苞は4枚ですが、まれに5枚以上の八重咲のドクダミもあります。私はまだ、八重咲の実物にはお目にかかったことがありません。


におい成分はとても優秀

ドクダミ、と言えばあの独特のにおいを思い浮かべる方も多いかと思います。
あのにおいのもとは、「デカノイルアセトアルデヒド」と「ラウリンアルデヒド」、という舌を噛まずに言える自信のない名前(笑)の成分。

この成分が白癬菌やブドウ球菌に対して抗菌作用を持つとされています。
虫に刺されたときや切り傷などの他、ニキビ、湿疹、いんきん、たむし・・・などの皮膚病の患部に、生葉をもんで貼ったり、生葉汁を塗布するなどすると効果を発揮。
ただし、この成分は揮発性のため、乾燥させるとにおいとともに効能もなくなってしまうそうで、外用としては基本的に生の状態で用いるのがいいようです。


別名十薬

ドクダミは、昔から日本の生活の中で身近にあった植物の一つ。
薬効高く、庶民の間では重要な和薬植物でもありました。

平安時代の和薬辞典『本草和名』、江戸時代の『大和本草』にもそれぞれ「之布岐(しぶき)」、「十薬(じゅうやく)」として記載が残ります。
『大和本草』ではドクダミについて、「馬に用いると十の薬効がある」という内容の記述があり、そこから十薬という名が生まれたとのこと。
実際『日本薬局方』にも、便秘や吹き出物などに効く生薬として記載があります。

「ドクダミ」という名は、独特の臭気から「毒草なのでは(=毒をためている)?」ということで「毒溜み」、毒下しに用いられてきたから「毒矯み」という説の2説があるようです。
でも、昔から薬草として用いられてきたのだし、個人的には後者の説がせいかいでは??と思っているのですが。


と、今日はここまで。
次回に続きますー。


※薬用などとして用いる場合は、自己責任でお願いいたします。



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