見出し画像

開業3周年のご挨拶

「こはる心理カウンセリング室」は、2023年7月で開室して3年が経ちました。

いつもご来室いただいている皆様、共に臨床に向き合い学び続けている臨床の恩師や仲間の皆様、本当にありがとうございます。改めて感謝申し上げます。

ある方と話していて、自分の届けたいもののニュアンスが言葉になったように思うことがありました。開業4年生になる今の私の臨床姿勢に関わることなので、ここに書き留めておきたいと思います。

例えば本だとしたら、「珈琲の全てがわかる本」「珈琲歴史大全」とかは私には書くことができません。でも、読んだら美味しい珈琲が飲みたくなるような、珈琲を飲んでほっとする気もちを思い出すような、そんな本を書きたいと思います。

例えばこころの傷の回復に寄り添うとしたら、特別で珍しい心理療法を行なうことは私にはできません。でも、専門用語や自殺やトラウマという言葉を使わなくても、その方が自分のこころや身体を守ることを大切に思えたり、今の自分でいいんだと思えたりしたらいいなと思います。

「こんな話、カウンセリングでしていいのかな」「大したことじゃないんですけど」などと、相談者の方がおっしゃることがよくあります。お聞きすると、その方のこころにとって、とても大事な体験や気づきであることが結構あるように感じます。なので、カウンセリングの中でこそ、そういったお話を丁寧にお聴きしたいと思っています。

やなせたかしさんが「良い通俗性」という言葉を用いて、下記のように語っておられます。

「少数の知識人に分かるものよりも誰でも分かる通俗的なものの質を向上させた方がいい…美術館の奥深くにあるような絵も必要ですけど、…普通の人が日常接する絵の質、文章の質がいいことの方がぼくは大切だと思います」

(「わたしが正義について語るなら」 やなせたかし著 ポプラ社 2013 p90-91)


こころのケアをもっと身近に
そして
日常の場から治療の場まで
途切れのない支援を模索し続けて

小さな拠点ではありますが、引き続き「こはる心理カウンセリング室」での心理臨床を続けて参りたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?