12月18日　東京駅から【今日のものがたり】

　東京に住んでいた頃、よく使う駅の一つが東京駅だった。あのころは目的地へ向かう出発点というイメージで、そこにまた戻ってくるのが常だった。

　今日は今までとは逆で、東京駅が目的地の最寄り駅で、先ほど用事を終えて再び新幹線に乗ったところだ。逢坂おうさかさんは一泊してくればと言ってくれたけど、僕は日帰りを選んだ。そうしたいと思った。そしてそれは間違っていなかったと、新幹線に乗って実感した。安堵したからだ。でも、なぜ安堵したのかはうまく説明できない。でも、どこかそわそわふわふわしていた気持ちが薄らいだのは事実だ。

　……帰りたい。

　そう、なのか……？
　僕にも帰りたいと思える場所ができたということなのだろうか。

　思い浮かんだのは今の職場だ。山穂やまほ村の憩いの場でもある図書室。そこに来てくれる人たちの笑顔。そうだ、笑顔だ。彼らはみんな、僕に笑顔を向けてくれる。ひとりの僕に明日をくれた大切な人たち。

　家に、帰ろう。