第30球 オフのその先へ

 皆さま、こんにちは。選手会会長・埼玉ネオゼフィルスの砂山 理一朗(すなやま りいちろう)です。約1ヶ月にわたりお送りしてきたこのリレーエッセイも今回で最終回となります。ここまでお読み下さり、本当にありがとうございます。

 選手のみなさんやゲストの方々からエッセイの原稿が届き、僕がいつも一番最初に読ませていただいていたのですが、次第にこれはなんて贅沢なことなのだろうと感じるようになりました。

 エッセイの内容は、個性というか、みなさんそれぞれに味があって、どれも楽しめるものになっていたと思います。初めてエッセイに挑戦してくれた選手も多く、〆切があるなか、きちっと文字数を守って書いてくれてありがたかったです。手書きでFAXしてくれた選手もいて、しかも字がとてもきれいでそのままアップしたくなる原稿もありました。まぁ、ウチの氷口(ひぐち)なんですけどね。あいつ、昔習字でも習ってたのかな? もしかしたら、最初と最後を書いている僕が一番時間がかかっているかも知れません(苦笑)。

 エッセイを書いた人が次の執筆者を指名するという形にしたので、僕も知らない選手同士の繋がりもあって、そこも興味深かったです。全12球団から各2名ずつ、全24名(僕は選手会会長ということで別枠にしています)の選手のみなさんがバトンを渡してくださり、また、特別寄稿として、OBの藤森さん、漫画家の小路入留さん、アナウンサーの井藤一真さん、バンド・アネモスのみなさん、4組のゲストさまにもご協力いただきまして、全30球を投げきることができました。感謝申し上げます。
 ……本当に投げきるには僕がこのエッセイをきちんと書き上げてアップし終わらないとなので、そこまで気を抜かないよう努めます。


 シーズンは長いようで終わってしまうとあっという間だったなと、僕はいつも感じます。シーズン中は楽しかったり、悔しかったり、いろいろな感情が渦巻きます。ファンの皆さまも同じような気持ちでしょうか。
 僕個人としてはやはり、埼玉ネオゼフィルスがシーズン2位で終わってしまったことがとても悔しかったです。首位とのゲーム差も2でしたからね……あの試合で逆転されていなければ……あの試合に勝っていれば……あの試合が……と、今でも悔しさは消えません。143試合すべてが大事で、1つ勝つということの大事さを痛感しました。
 来季は今いるメンバーと、新たに加わった選手たちとともに頂点を目指していきたいと思っています。1年間戦う上で、ファンの皆さまの声援は本当に力になります。来季も球場でテレビでラジオで、応援していただけたらうれしいです。

 あのときああしていれば良かった、こうしていれば結果は違ったかも知れないのに。どうしてもそう思ってしまうことが多い僕ですが、でもその悔しさが来季以降への糧になるのも事実です。
 良くなかったところを改善して、より良くしていく。見てくださるファンの方々が、楽しかった・おもしろかった・また見たいと思ってもらえるような野球をし続けていきたい。それは、僕だけではなく、選手会、いや、プロ野球界すべての思いでしょう。

 それはシーズン中だけでなく、シーズンオフにも言えることだと思います。戦力外、引退、移籍、退団、トレードetc……あまり楽しいとは言えない話題がオフにもあります。
 ドラフト会議で新たに選手を指名するということは、その分だけチームを去る選手がどうしても出てきてしまいます。特に応援していた選手が戦力外となってしまったり、引退してしまったら……特別寄稿で小路先生がそのときの気持ちを書いて下さいましたが、僕も子供の頃、憧れていた選手が引退したときは涙してしまいました。そうしてプロになった僕も、いつどうなるかわかりません。今季は大きなケガなくプレーすることができましたが、来季、なにが起こるかは誰にもわかりません。
 FA宣言をするとは思わなかった選手がFA宣言して他球団に移籍してしまったり、驚きのトレードが成立したり、想像を絶する大型契約があったり……今オフも何もなかったとは言えないオフになりつつあります。

 そういったなかで、今回のリレーエッセイといった、寂しさを少しでも和らげるような楽しい企画を考えていけたらなと思っています。今回はイチから選手会が立案したものでしたが、ファンのみなさまの声を聞きたいので、やってほしい・見てみたい企画がありましたら、ぜひ、選手会ホームページの投稿フォームか、メール、はがきなどでご意見をお送りいただけたらと思います。もちろん、今回のエッセイ企画に関してのご意見ご感想もお待ちしております。


 来季も、ファンの皆さまと、すばらしい時間を共有できますように。
 僕たち選手もプロの誇りを胸に、恥じないプレーをお届けします。

 最終回までお読みくださったすべての皆さまへ。
 本当にありがとうございました。
 良いお年をお迎えください。

 選手会会長
 埼玉ネオゼフィルス 砂山理一朗

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