第12球 ユーティリティープレイヤー

 皆さま、こんにちは。福岡ファルコンズの中瀬 昴(なかせ こう)です。成崎(なりさき)くんのご指名で今回のエッセイを担当します。
 成崎くんとは中学校が一緒で、そのころは軟式をやっていたのですが、そのころからびゅんびゅんすごい球を投げていて、僕もプロ野球選手になりたいとは思っていましたが、多分、プロになれるのはこういう成崎くんみたいなすごい球を投げられる人なんだろうなぁとも思っていました。
 高校は別々のところへ行きましたが、彼の活躍が僕のモチベーションにもなって、苦しいときもありましたが、乗り越えることができました。
 なので、ドラフトで僕の名前が告げられたときは本当に、すごく嬉しかったです。

 さて、今回のエッセイですが、僕が今季一軍で守った6つの守備位置についてお話したいと思います。

【ファースト】
 キャッチングに始まり、キャッチングに終わると言ってもいいぐらい、いろんな送球を受ける守備位置(ポジション)ですね。すぐそこにセカンドさんがいるので、守備範囲はそれほど広くありませんが、神経は消耗します。しかも僕にとっては内野の中で一番不慣れなポジションなので、とにかく、打球でも送球でも僕のところに来た球はしっかりキャッチしよう、それだけはブレないよう意識しました。
 自分でいうのもなんですが、ショートバウンドの送球を捕るのはこの一年で上達したと思います!


【セカンド】
 僕が今季もっとも多く守った守備位置です。自分の家にいるような感覚といいますか、守っていて一番気持ち的に落ち着く場所です。でも、だからこそ気を抜かず、なにやってんだーと言われないような守備を心がけてます。
 あと、実はセカンドって案外奥の深い守備位置なんですよ。野球やってて、セカンドを主に守っている人ならきっと深くうなずいてくれると思うのですが……ですよね? 深いですよね?
 なぜなら……すみません、ガチで書き出したらものすごく長くなったので自重します。そうですね……ものは試しに、1試合でいいので、ただひたすらセカンドの動きを見てみるのはどうでしょうか。新たな発見が必ずあると思います!


【サード】
 めちゃくちゃ強い打球が飛んでくるときがあるんです。僕はグラブをはめる左手に守備用の手袋をしていますが、強烈なライナーを捕ったときなんか、手袋は気休めにもならず手がビリビリします。試合中はそういうときでも涼しい顔してますけど、本音はいてー! ってしかめっ面したいです。あと僕個人的に、バントシフトでサードがダダダッとホームへチャージかける守備が好きなので、そのサインが出たときも顔に出ないよう気をつけています。どうでもいい話でした。


【ショート】
 肩が強くないと守れない、というイメージが強いと思いますが、僕は肩の強さはショートを守る絶対条件ではないと思っています。めちゃくちゃ肩が強いわけではない僕が試合の終盤でも守らせてもらえているのがその証拠です! 書いててちょっと切なくなったけど! そりゃもちろん、弱いより強いに越したことはありませんが、ポジショニングや一歩目の早さでカバーできる部分もありますから……!
 とは言うものの、ショートの深い位置からノーバウンドでファーストに送球、というのは選手から見ても「ナイス!」と思うので……がんばります。


【レフト】
 僕は内野手登録ですが、外野でも15試合出場しました。
 一軍の公式戦で初めて守ったときはさすがに緊張しました。練習はしていても、実際の打球をキャッチするのは全然違いますから。
 センターに大先輩がいて、ずっと指示してもらっていました。とても心強かったです。センターが捕ったほうがいいような左中間のフライも僕が追いかけていったのを見ていてくれたのか、譲ってくれたときもありました。
 外野を守るのは経験の少なさから緊張はしますが、楽しいのも事実です。だって、試合に出られているのだから。そう、試合に出られるのなら、野球ができるのなら、守る位置は内野でも外野でもどこでもやります。


【ライト】
 内野が本職なので、相手チームは僕の肩の強さをそこまで把握しきれていなかったと思います。それもあって、ライトからのバックホーム送球で3回アウトをとることができました。逆に逸れて得点されたこともありましたが……その節はすみませんでした……。


 以上、僕が今季試合で守った守備位置についてのお話でした。いろんなポジションを守る選手をユーティリティプレイヤーと呼ぶことがあります。僕も、新聞やインターネットの記事で取り上げていただいたとき、そう言われることが今季は本当に多かったです。なので、エッセイのタイトルもユーティリティプレイヤーにしました。自分でいうのはちょっとこそばゆいですが、来季も、“困ったな、いや、中瀬がいる”と、思ってもらえるような、スーパー便利屋を目指していきます!

 それでは次回のエッセイもお楽しみに!
 福岡ファルコンズの中瀬昂でした。


◇中瀬昂プロフィール◇
内外野守れるユーティリティプレイヤーとして今季102試合に出場。ガッツあふれる守備と積極的な打撃でチームの優勝に貢献した。来季もフル回転の活躍が期待される。

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