小原琉生(こはらるい)

作詞家。東京都在住。 Jpopアーティスト、YouTuber, ヴァーチャルシンガーへ…

小原琉生(こはらるい)

作詞家。東京都在住。 Jpopアーティスト、YouTuber, ヴァーチャルシンガーへの作詞提供多数。 趣味:映画鑑賞、読書、健康オタク料理。 ハイブランドの服を一大決心で買って着ること。都心散歩。 筑波大学人文・文化学群比較文化学類卒。

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【小説】 きみが好きな音楽を片手に 第1話

第1話 はじまりはそうこんな感じだった   車も人もどこから湧き出てくるのか。その流れは無限に続くように思われる。毎日がお祭り騒ぎのようなスクランブル交差点。  中国系やアジア系の外国人がほとんどだったのは昔の話で、今は欧米からの観光客なのか白人も目立つ。  駅から吐き出されてくる人が縦横無尽に行き交う。  多くのすれ違う人は誰一人と自分を知らない。    片瀬蓮は雑踏の喧騒に小気味良ささえ感じた。 「いつか此処にいる人たちがみんな俺を知る日が来る」  蓮の背中には相棒のギ

    • 【小説】 きみが好きな音楽を片手に 第6話

      第6話 バンドメンバー募集② 一番はじめから 第5話はこちら  桜の蕾はふっくらと膨らみ、咲きほころぶのを今か今かと待ち焦がれているようだ。晴れてこの大学に入学した蓮たち新入生も同じ気持ちであろう。親の敷いたレールを歩くしかなかった高校生までとは違い、大学生ともなれば自分の力で道を選び、切り拓くことができる。新しい世界に待ち受けている沢山の希望。自分の夢への飽くなき挑戦。  ただしまだ金銭的に生活力は無く大いに親に依存しているところが情けない限りではあるが。  全国でも

      • 【小説】 きみが好きな音楽を片手に 第5話

        第5話 バンドメンバー募集① 一番はじめから 第4話はこちら  明の息子への投資、いやギフトと言った方が良いであろう。ギター小僧なら誰もが一度は憧れるギブソンのレスポール。これまでの蓮の努力に免じてと明は30万以上もするものを快くプレゼントしてくれた。蓮はもう喜びのあまり飛び跳ねんばかりだった。 「父さん、マジでマジでありがとう!絶対に恩返しするし、本当にありがとう。俺、音楽本気だから。マジにプロになりたいから」  父は余計なことも言わず、渋谷のビル風が吹き荒ぶ歩道橋

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          第4話 ギターボーカル 片瀬蓮 vol.2  一番最初から 第3話はこちら  道枝はすぐにボイストレーニングの教室を探した。蓮が「やりたい」と言った気持ちを無碍にはしたくなかった。幸い此処は東京。ボイトレの教室は数多あった。ネットで評判が良い教室を見つけて早速体験レッスンに申し込んでみると男性の先生が待っていた。先生は言葉に沖縄の訛りがあり、どこか温かく安心する感じがした。レッスンもとても面白かったので即決した。 「蓮くんは小さいのにとてもしっかりしてるね。歌初めてなん

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        【小説】 きみが好きな音楽を片手に 第1話

          【小説】 きみが好きな音楽を片手に 第3話

          第3話 ギターボーカル 片瀬蓮 vol.1 第2話はこちら  蓮の音楽との邂逅はありふれたエピソードだった。    小学校低学年になった蓮が何気なくチョイスした映画はとても面白かった。  教会のシスターに扮するシンガーが、やる気のない高校生たちに歌を教えるという話だった。  不良とも呼べないような高校生たちが、音楽を通して活き活きとしはじめるストーリーに蓮は心を鷲掴みにされた。  クライマックス前の学校内で歌を披露するシーンで、男の子がソロを歌った高音のホイッスルボイスを

          【小説】 きみが好きな音楽を片手に 第3話

          【小説】 きみが好きな音楽を片手に 第2話

          第2話 渋谷のスタジオにて   第1話はこちら  蓮はスタジオの重たい防音ドアに触れる。扉を開けた瞬間、大音量の楽器の音が廊下に飛び出してきた。 「おーう、やってるかぁ」    音は静かな五月雨に変わり、三人の満面な笑みが蓮を見つめていた。  竜也がスティックで小さくカウントして蓮に応える。 「蓮、お前にしちゃ珍しく5分遅刻だなんて。大好きなスタジオ時間に間に合わないってどういうこっちゃ」 「そうそう、誰よりも一番に来る蓮様が居ないってんで今夜は嵐でも来るかと思ってた

          【小説】 きみが好きな音楽を片手に 第2話

          小原琉生について

          小原琉生(こはらるい) 子供の頃から本ばかり読んでいた。いつしか自分のストーリーに絵をつけるようになり、それはさながら漫画だった。 中学になるとうっかりバスケ部に入ってしまい、漫画を描く時間は無くなった。 己に何が向いているか熟考することをせず、高校でも、まさかの大学でもバスケをやってしまった。筋肉ばかり育っていった。 だが、時間がなくても活字を追うことは続けていた。 大学卒業後、音楽に詞をつける仕事があると知る。 人の心、生きることのど真ん中を見つめながら歌詞を書く。