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読書録:「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考

読んだ本

「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考

なんで読んだのか

電車でこんな感じの広告を見て、「自分なりの答えが見つかる」というフレーズに惹かれた。

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印象に残ったところ

・「アート」という植物
 - 興味のタネ:自分の中に眠る興味・好奇心・疑問
 - 探求の根:自分の興味に従った探求の好奇心
 - 表現の花:そこから生まれた自分なりの答え

空間的にも時間的にもこの植物の大部分を占めるのは、目に見える「表現の花」ではなく、地表に顔を出さない「探求の根」の部分です。

・「絵を描く、ものをつくる、作品の知識を得る」は、"花"にしか焦点を当てていない
・アーティストと職人の違い
 - この植物を育てる人が「真のアーティスト」
  ・ 花は単なる結果でしかないことを知っている
  ・ 自分の好奇心や内発的な関心からスタートして「価値創出」している人
・タネや根のない”花だけ”を作る人=花職人
 - 他人から与えられたゴールに向かって「課題解決」をしている人
・アート思考
 - 興味のタネ~探求の根にあたる部分

自分の内側にある興味をもとに自分のものの見方で世界をとらえ、自分なりの探求をし続けること

・「アート思考」はアーティストだけに必要なものではない
 - 誰かに頼まれた「花」ばかり作っていないか?
 - 「探求の根」を伸ばすことを途中であきらめていないか?
 - 自分の内側にあったはずの「興味のタネ」を放置していないか?

じっと動かない一枚の絵画を前にしてすら「自分なりの答え」を作れない人が、激動する複雑な現実世界のなかで、果たしてなにかを生み出したりできるでしょうか?

・数学と美術
 - 数学は「正解」を"見つける"能力を養う
 - 美術は「自分なりの答え」を"つくる"能力を育む
 - 数学の答えは「変わらないこと」に価値がありますが、アートの答えはむしろ「変わること」にこそ意味がある

世界が変化するたびに、その都度「新たな世界」を見つけていくのは、もはや不可能ですし、無意味でもあるのです。

・マティス「緑のすじのあるマティス夫人の肖像」
 - 背景
  ・ カメラの登場により「目に映る通りに世界を描く」というルネサンス以降のゴールが崩れた時代
 - 問い
  ・ カメラが誕生したいま、アートの意義とは何なのか
  ・ 自分たちアーティストはいったい何をしていけばいいのか
  ・ アートでしか表現できないことはあるだろうか
 - 解
  ・「色」を、ただ「色」として使う
   →「目に映るとおりに世界を描く」という目的からアートを開放した
   →「表現の花」を咲かせるまでの「探求の根」の独自性
   
・ピカソ「アビニヨンの娘たち」
 - 背景
  ・ 「『1つの視点から人間の視覚だけを使ってみた世界』こそがリアル」だという遠近法の前提に疑問
 - 問い
  ・ 「リアルさ」とはなにか
 - 解
  ・ さまざまな視点から認識したものを1つの画面に再構成する
   →これまでの遠近法とは違う「新しいリアルさ」
   →「リアリティーは君がどのように物を見るかの中にある」byピカソ
   
・ワリシー・カンディンスキー「コンポジションⅦ」
 - 背景
  ・ モネの絵を見て、なにが描かれているのかわからないのに、無性に惹きつけられた
 - 問い
  ・ なにが描かれているかわからなかったからこそ、惹きつけられたのではないか
 - 解
  ・ クラシック音楽の音を色に置き換え、リズムを形で表現した
   →具象物が描かれていない絵「抽象画」
   →人の心に直接響き、見る人を惹きつけるような絵

   
・マルセル・デュシャン「泉」
 - 背景
  ・ これまでのアーティストは、探求の根にアートの核心があると考えつつも、表現の花にも重きを置いていた
 - 問い
  ・ 探求の過程は、あくまでも「視覚でめでることができる表現」に落とし込まれるべきだという前提
 - 解
  ・ 便器にサインをしただけの「表現の花」
   →「表現の花」を極限まで縮小し、反対に「探求の根」を極大化した
   →アートを「思考」の領域に移した


・ジャクソン・ポロック「ナンバー1A」
 - 問い
  ・ ほかのなににも依存しない『アートそのもの』があるとしたら、それはそんな姿をしているのか
 - 解
  ・なんの「イメージ」もない、「表面に絵の具が付着したキャンパス」
   →物質としての絵
   →アートを「なんらかのイメージを映し出すためのもの」という役割から解放


・アンディー・ウォーホル「ブリロ・ボックス」
 - 問い
  ・ 「アート」と「非アート」を隔てる「城壁」など、じつは存在しないのでは?
 - 解
  ・ どこにでもある台所洗剤の箱を大量に天井まで積み上げ、アート作品として展示
   →美術館とスーパーに同じ外見のものを存在させ、アートとそうではない物の住み分けの秩序をなくした

感じたこと

・アートが評価されている理由や背景を知ることは、「探求の根」を垣間見ることなのかもしれない
・ワークを通して、絵の楽しみ方を知ることができた
 -アウトプット鑑賞
  ・気付いたこと、感じたことを書きだす
  ・色・形・筆使い…
  ・どこからそう思う?/そこからどう思う?
 - 背景・作品とのやり取り
  ・背景とのやり取り:作者の考え、歴史的背景、評論家の分析、美術史における意義などを知る
  ・作品とのやり取り:背景を気にせず、鑑賞者の視点で感じ、考える

Photo by Ricardo Isotton on Unsplash

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