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アドバイスという名の自慰行為

私たちが安全圏から人にアドバイスを送るという行為について、少し考えてみたいと思います。

SNSでは自分が豊かで安定した生活を送っている人が、厳しい困難に直面している他の人に対してアドバイスを送る様子があります。
アドバイスは表面的には思いやりや親切さを示すものであり、受け取った人に有用な視点を提供する可能性があります。しかし、それらのアドバイスが実際に彼らの状況に適用可能で、実際の助けになるのでしょうか?ということについては疑問です。

このようなことはたびたび見られます。
外部からのアドバイスが岡目八目であればいいのですが
・囲碁でいう「え?そんなことに困っているんだったら2回指せばよくない?」
・サッカーでいう「手を使って持ったままゴールに飛び込めばいいじゃん」
・入学試験でいう「カンニングとか、もっとできる人に代わりにといてもらえばいいじゃん」
といったケースが本当に多いです。

この問題は、「安全圏」からのアドバイスにおいて特に顕著です。
「安全圏」は、特定のリスクや困難から遠ざかった状態を指します。
例えば、金銭的な安定を享受している人が、貧困に直面している人に対して「節約すれば大丈夫だ」とアドバイスする。
そもそも節約の前にお金がないって言ってる人にそんなことを言っても仕方がないですよね。
少し考えればこのアドバイスが全く無意味であることがわかるでしょう。

しかしSNS上ではこういったことが多く行われています。
そしてプロに対して素人がアドバイスをするという行為もたびたび見られます。

実際、私たちはなぜ他人にアドバイスをしたがるのでしょうか?特に自分より経験が豊富で成功している人たちに対して?
この疑問に対する答えの一つは、アドバイスが与える満足感や高揚感にあるのではないかと思います。それは自己認識の一部で、自分が達成感を感じ、自分の知識や能力をアピールする機会となります。

この現象は人間の心理に深く根ざしています。人間は他者の悩みに対して自分が解決策を持っていると感じることで自尊心を満たす傾向があります。しかし、本当にそのアドバイスが相手の状況に役立つのかどうかは、あまり考慮されていないように思います。

そして、そのアドバイスが無駄であることを自覚しているにも関わらず、それを続ける理由は一体何なのでしょうか?それはただの自己満足なのでしょうか?それとも他人を支援したいという真摯な動機からなのでしょうか?

考えてみれば、本当に他人を助けたいと思うなら、最初に自分の立場を反省し、相手の立場を理解しようとするはずです。それは相手が直面する現実を認識し、それに対処するための具体的な戦略を考えることです。だからこそ、アドバイスする前には深く考えることが大切です。

だからこそ、アドバイスという名の自慰行為を止めて、真に相手を理解しようとする努力をしましょう。それが真の意味での支援につながります。そしてそれは、私たちが他人に対して持つべき最高の敬意だと思います。なぜなら、私たちは他人の人生を生きていないからです。その人たちが直面する困難や問題を完全に理解することはできません。だからこそ、私たちができるのは、自分の経験や視点を押し付けるのではなく、他人の視点を尊重し、共感し、助けることです。

次回あなたがアドバイスをしようとするとき、その意図をもう一度考えてみてください。自分の自己満足のためでしょうか、それとも本当に相手のためでしょうか?それが自己満足であれば、それは無意味な行為なのでやめましょう。

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