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SNSと集団心理:同調圧力、エコーチェンバーや集団脱抑制など

SNSと集団心理:同調圧力、エコーチェンバーや集団脱抑制など

SNSの誹謗中傷が止みません。
先日芦原妃名子さんの件を理由に、今度はテレビ局の誹謗中傷が始まったり、編集者への誹謗中傷が始まったり、キリがありません。

実際にその業界の人は声を上げるのはわかります。例えば過去のガッシュの件とかで溜まっていたうっぷんを晴らしたい人もまだわかります。過去にそういった目にあっていた人もわかります。また、芦原妃名子さんのファンもわかります。そういった今まで縁があった人が声を上げて、業界をよくしていこうというのはわかりますし、大切な行動だと思います。

ただ、今回の件で今まで芦原妃名子さんの名前も知らず、別に業界にも関係なく、何が起きているのかもわからず、ただ、周りが騒いでいるから騒いでいる人が多い印象です。

現代の魔女裁判の様にしか見えず、人類全員いなくなるまで続くのでは?などと錯覚しそうになります。

少しSNSについて落ち着きましょうよ、みたいなことを書いてみます。

多くの人がやってるから、私が誰か知られないから攻撃していい

このような事は「同調圧力」や「集団脱抑制」と関連しています。

同調圧力

集団における同調圧力は、他のメンバーが特定の行動を取っている場合、個人もその行動を取る傾向があることを示しています。
この現象は「社会的証明の原理」とも呼ばれ、人々が他人の行動を見て自分も同じように行動することが正しいと判断する心理的メカニズムです。

「みんながやっていることを観察して自分もそう振る舞う」と言うのは集団で行動する際に必要な能力ではあります。

集団脱抑制

また、特定の状況下での集団による攻撃的行動や暴力行為は、「集団脱抑制」という現象によっても説明されることがあります。集団内での匿名性が高まると、個人は普段は受け入れられない行動に走りやすくなるとされています。集団内での個人の責任感が薄れ、通常は抑制される行動が解放されるのです。

攻撃が加速するSNS

SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は同調圧力、集団脱抑制のような現象を助長する傾向があります。
そもそもSNSの設計として助長するように作られている様に思います。これは、SNSが提供する環境が人々を特定の意見や行動パターンに引き込むためです。

エコーチェンバー効果

同調圧力はSNSの世界ではエコーチェンバー効果に発展します。
SNS上でのエコーチェンバー効果とは、ユーザーが自分の意見や信念を反映し、強化する情報に主に囲まれる状態を指します。
アルゴリズムがユーザーの過去の行動や好みに基づいてコンテンツをフィルタリングすることで、ユーザーは異なる意見や視点に触れる機会が減少します。

多くの人が意識していないようなのですが、あなたのタイムラインと私のタイムラインは全く異なります。

最近このような論文も発表されたりしました。

人はなぜワクチン反対派になるのか ―コロナ禍におけるワクチンツイートの分析―

この現象は、ユーザーが自分の信念をより正しいと感じさせ、異なる意見に対する寛容性が低下する可能性があります。

たかが1万いいね

X(Twitter)で1万いいねがつくと「みんなそう言っている」となる方もいらっしゃるようですが、たかが1万いいねです。
1万人(その中にはbotや複数アカウントでのいいねも含まれているので実際はもっと減るでしょう)しか賛同していないのです。

東京の福生市を知っている方はどれくらいいるでしょう。
福生市でも人口5万人以上います。
東京都ですと伊豆大島が人口1万人程度の様です。

日本全体から考えるとこれだけの人数しか賛同していないわけです。とても「みんな」と言える人数ではないでしょう。
それでもSNSのタイムラインは似たようなツイートを集約して「みんな」が言っている様に表現します。

集団脱抑制とSNS

SNSは匿名性や半匿名性を提供することが多く、これが集団脱抑制を促進します。
ユーザーはオフラインの状況よりも、自分の行動に対する直接的な社会的または法的な責任を感じにくいため、攻撃的または偏見に満ちたコメントを投稿しやすくなります。さらに、特定のグループやコミュニティ内でこのような行動が多数を占めると、新しい参加者も同様の行動を取りやすくなります。

この事自体は仕方がないでしょう。
ただ、先のエコーチェンバーを当てはめると、良くないことになります。
攻撃した人のタイムラインは攻撃した人のポストで埋まります。
「みんな」では無いですが、「観測範囲のみんな」が攻撃しているのだから、そもそもその人には「当たり前」になっている、もしくは「みんながやっているのだから自分もやらないといけないこと」になっているかも知れません。
自分の判断よりも“社会の多数である他人”の判断を信じ、それに従った行動をしてしまう心理を社会的証明の原理と言います。

社会的証明の原理とSNS

SNS上での「いいね」や「リツイート」、「フォロー」といった機能は、社会的証明の原理を強化します。多くの人がある投稿や意見に賛同しているように見えると、他のユーザーもそれに同調しやすくなります。これは、特に情報の真偽を判断するのが難しい場合に、人々が他人の行動をガイドとして使う傾向があるためです。

まとめのようなもの

SNSは、エコーチェンバー効果、集団脱抑制、社会的証明の原理を通じて、集団思考や同調圧力を助長する環境を作り出しています。これにより、極端な意見が強化されやすくなり、情報の偏りや分断が生じやすくなっています。

SNSを利用する際は、これらの心理的ダイナミクスを認識し、異なる視点に意識的に触れるよう努めることが重要です。
また、そのため、批判を受けても「本心で批判したい」わけでは無く、特に意見は無いけど「タイムラインのみんながしているから批判している」人が多くいる=そこまで意識する必要もないともいえると思います。

おまけ

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