【要求工学】なぜ人は誤解をするのか、そしてその対処 part.6【要求管理】
前回の続きになります。
今回は要求管理とまとめについて記載します。
要求管理
これまでに挙げた内容を適切に管理する必要があります。
この要求管理については例えば以下のような成熟度が挙げられています。
レベル1
要求が文章化されているレベル2
要求が定型化、版管理されているレベル3
要求が構造化されている。機能要求と非機能要求だけでなく、要求属性が管理されているレベル4
要求が追跡可能な形で管理されているレベル5
要求が設計、変更管理、試験、プロジェクト管理で利用できるように、要求管理が整理されている。
この段階以外にもさまざまな表現のされ方がされていますが、特に「要求が追跡可能な形で管理されている」まで達成できていることが望ましいと私個人としては思います。
大きなプロジェクトになればなるほど期間が長期化していきます。それに伴い人員の入れ替え等もあるでしょう。
「この要求ってなんで必要なんだっけ?」というタイミングが必ずあります。全体の優先度としてはどうなのか、そもそも何で抽出したのか。「社長が言った要求と一社員が言った要求なのか」「アンケートで大多数が望んでいる要求なのか、1人だけの要求なのか」「優先度として必須なのかできれば入れたい程度のものなのか」
こういったことをいつでも確認できるようにしておく必要があります。
「なぜこういった仕様になっているのか」というモノについても「どういった要求を実現するため」という事とすぐ関連付いて確認できるようにしておく必要があります。それが分かって「じゃあこのやり方のままいこう」なのか「であればこっちの方が良い方法なのではないか」という議論ができます。当時決定した議事録とも関連付けられてあると解りやすくていいですね。
まとめ
要求のずれは言うまでもなくプロジェクト全体を不幸にします。早いタイミングで発見できれば、修正コストも少なく済みます。
その際に、自分たちがどのフェーズに居て、いま何を決定しないといけないのかを全員で合意しながら進んでいくと、無駄なコミュニケーションロスが生まれずにプロジェクトを進めていくことができるでしょう。
要求抽出のタイミングで要求仕様化をするべきではありません。ほかの要求が上がり切る前に仕様化をしても矛盾が生まれたり、もっと優先するべき要求が出てきて仕様化したものが無駄になったりします。
要求抽出
要求分析
要求仕様化
要求確認
要求管理
それぞれを意識して、すれ違いコントの様にならないプロジェクト進行の一助になれば幸いです。
参考:
・要求工学知識体系(REBOK)概説
https://www.ipa.go.jp/files/000005375.pdf
・要求開発の基礎知識 要求プロセスと技法入門
https://nextpublishing.jp/book/10544.html
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