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自己防衛本能と年齢の問題

脳には、自己防衛のための多くの認知の歪みが存在します。
「正当化のバイアス」や「努力の正当化」、「認知的不協和」と言ったものが有名だと思います。

認知的不協和理論

認知的不協和理論は、人々が自分の信念や行動の間に矛盾が生じたときに感じる不快感(認知的不協和)を解消しようとする心の動きを説明したものになります。

例えば、ある人が非常に多くの時間と努力を費やして何かを達成したとします。
しかし、その結果が期待外れであった場合、その人は大きな認知的不協和を感じます。この不協和を解消するために、脳は様々な方法を用いてその行動や結果を正当化しようとします。具体的には、以下のような方法が考えられます。

  • 結果の価値を高める
    苦労して手に入れたものが実際には価値がないと感じると、自己の行動が無意味だったと認識せざるを得ません。これを避けるために、脳はその結果の価値を過大評価し、「この結果は本当に価値がある」と思い込むようにします。

  • 自分の努力を正当化する
    たとえ結果が期待外れであっても、その努力自体が意味があったと自分に言い聞かせることで、認知的不協和を軽減します。「努力する過程で多くのことを学んだ」とか、「この経験は将来に役立つ」といった具合です。

  • 他の要因に責任を転嫁する
    結果が悪かった理由を外部の要因に求め、自分の努力や判断の正当性を保つことで、不協和を軽減します。例えば、「環境が悪かった」や「他の人が原因でうまくいかなかった」と考えることです。

努力の正当化

この認知の歪みは、特に「努力の正当化」として知られています。人間は、自分が多くのリソース(時間、エネルギー、感情)を投入したものに対して、その投資が無駄であったとは思いたくないため、結果がどうであれそれを正当化する傾向があります。これにより、自己の行動や選択を一貫性のあるものとし、精神的な安定を保つことができます。

年齢とこの関連

年齢というのは不可逆的なものであり、少なくとも現在では「過去に戻ってやり直す」といったことはできません。「今までの人生が意味のないものだった」と感じてしまった場合、その影響はどのように現れるのでしょうか。

  • 過去の評価と消化
    過去が少しでも良いものだったと思える観点があれば、その経験を消化することは容易です。しかし、過去が全て無意味だったと感じる場合、その感情を消化することは難しくなります。

  • 焦りと行動の変化
    過去の自己を否定し、未来に対する焦りから突拍子もない行動を起こす人もいます。例えば、定年退職後に急に大きな事業を始めるなど、これまでの人生とは全く異なる方向に進もうとすることがあります。

それだけならまだいいですが、「社会を変える!」と言ったり、事件を起こしてでも何か世界に影響を与えようとする人もいます。

こうして「目覚めた」といった老人ができるのかなと思った今日この頃です。
急に「がんばろう!」としても、急に思い立って何とかしようとしても、たいていの場合はなんともならないですし、一発逆転なんて絶対にできないので、日常から少しずつ何かをしていこうかなと思います。

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