石巻市立病院問題

石巻市立病院が今抱えている問題を具体的に列挙します。

1.地域の開業医からの搬送依頼を断る。

当院が休日当番で70人以上発熱患者が押し寄せてきたとき腎結石発作の患者が来た。私一人で70人以上の発熱を捌いているときに腎結石発作の患者の対応には手が回らないから転送依頼したら「当院には泌尿器科がないから仙石病院(隣町東松島市にある私立の病院ですよ)に相談してくれ」。結局その患者は仙石病院が取ってくれた。

②平日午前中に「授業中突然胸が痛くなった」と言って高校生が連れレテ来られた。痩せ型だったし心電図には異常が無いし恋の病でもないようだったから気胸を疑ってレントゲンを撮ったが当院レントゲンでは異常が無かった。しかし痩せ型の高校生が突然胸痛を訴えるというのは必ず桔梗を完全に否定しなくてはならないから、私立に電話して「CT撮ってくれ」と頼んだ。その返事は「当院には呼吸器科がありません」。仕方が無く日赤に依頼し、こういうわけだからCTお願いしたいと頼み込み、日赤は二つ返事で承諾、CTの結果「気胸ではない」と確定診断を付けることが出来た。

2.地域高齢者医療も出来ない。

他院掛かりつけの高齢者が自宅で具合が悪そうだった。たまたまその人の奥さんに訪問診療した私が、旦那さんが具合が悪そうだったから診察し、かかりつけ医に連絡。かかりつけ医は市立病院に受診要請し、市立は受諾。市立病院はその高齢者を診察、検査し、「肺炎」と診断した。ところが成り行き上関わった私が市立病院がやって家族に渡した検査結果を見たら、その人は肺炎ではなく腎盂腎炎だった。急を要するので市立が肺炎という診断の元に出した抗生剤を飲むなと患者に言い、腎盂腎炎に有効な抗生物質を私が出したら、その患者は治った。

ところが市立病院はしれっとして「この患者は肺がんの可能性があるので精査の必要がある」と家族に告げた。患者本人は90を過ぎた人だ。家族はその時点でかなり市立病院のやり方に不信感を抱いていたので私の所に相談に来た。私はもともと老年内科だから高齢者医療の専門家として、90過ぎた人の肺がんを精査する必要はありません」と言った。家族は「私たちもそう思う」といい、市立病院に「今後はあゆみ野クリニックに掛かります。お宅には掛かりません」と告げた。

なおその後市立病院から悔しさ満点の診療情報提供書と共に肺のCTが送られてきたが、基本はたばこによる肺気腫、その上にいくつか小さな肺炎の痕や癌の可能性もある像が存在したが、それを見ても私は「この複数存在する肺炎の痕だったり癌の可能性もある所見のどれが癌かそうでないか、90過ぎの人について精査する臨床的意義はない」と判断し、今はその人も私が訪問診療している(元の主治医もこの経過を聞き、今後は貴院の訪問診療でお願いしたいと言ってきた)。

3.何やろうとしてるんだか分からない。

元々市立病院には3人循環器科医がおり、さらに一人「心臓血管外科専門医」がいて、心臓カテーテルをやっていた(新病院が出来てから)。ところがその心臓カテーテル検査件数は尻つぼみになり、ある時点から件数も発表されなくなった。心臓血管外科専門医の紹介欄に「地域訪問診療をやっている」と書かれていたので私が「それはどういうことか?」とFBで問いただしたら、市立病院のHPから常勤医紹介ページ自体が削除された。常勤医をHPで紹介しない病院なんかない。

医者として、また石巻の一人の開業医として、あの病院は訳が分かりません。

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