イスラム教に対する誤解

イスラム教というとすぐ原理主義とか過激な宗教というイメージに飛びつく日本人が多いのですが、それは完全に間違ってます。



世界人口88億人の4人に1人がイスラム教徒(ムスリム)です。つまり22億人。22億人がイスラム原理主義という事はあり得ません。



イスラム教の戒律が厳しい国や地域もあれば、緩い国もあるわけです。例えばインドネシアではイスラム教徒が人口では最多を占めていますが、その他主なものでもヒンズー教、仏教、キリスト教、儒教が公的に(憲法で)認められています。しかもインドネシアには250以上の民族が暮らしており、正確には数えきれません。従ってインドネシアはそういう部族宗教も認めざるを得ないのです。インドネシア憲法は信仰の自由を認めていますが、「無宗教」だけは認められません。知り合いのインドネシア人(本人はムスリムでゲイ)に理由を聞いたら「無宗教の人は畏れを知らないから何をするか分からない」と考えられているそうです。



インドネシアでLGBTQは非常に苦しい立場にありますが、それは法律やイスラム教の戒律よりむしろ「モーレス」と呼ばれる慣習法によるものです。インドネシア刑法は成人同士の同性愛行為を禁止していませんが、社会的慣習でLGBTQは障害者と看做されます。



イスラム教を始めたムハンマドは商人でした。商人であるからには、無論交渉の余地を認めるのです。クルアーンは変わった聖典で、冒頭はまるで民法、刑法のような内容です。社会の決まりを説いています。それが最後の方になるにつれ、ムハンマドが神から直接啓示を受けた時の恍惚状態を反映するような文章になります。ふつう聖典って逆なんですけど、クルアーンはそうなっています。



クルアーンに基づいたシャーリア法も、「価値観が異なる人々は互いに交渉することでどうにか折り合えるのだ」という思想はきちんと持っています。そりゃ元々商人が考え出した宗教なんですから。イスラム教ってそう言うものです。だからこそ価値観が違う22億人もが世界中で受け入れているのです。

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