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50代からでも遅くない!元自衛官が語る統計学の重要性と学び方

こんにちは。私は50代で自衛隊を退職し、EAP(従業員支援プログラム)の会社で心理統計を学び始めた元自衛官です。今回は、なぜ文系出身の私が統計学を学ぶことにしたのか、その重要性と効果的な学び方について、自身の経験を交えてお話しします。


1. 統計学との出会い:自衛隊退職後の転機

自衛隊での約30年のキャリアを終え、私はEAPの会社に転職しました。そこで初めて本格的に統計学、特に心理統計の重要性に気づかされたのです。

なぜEAPの仕事で統計学が必要だったのか

  1. 効果測定の必要性 従業員のメンタルヘルス改善プログラムの効果を客観的に示すには、統計的な分析が不可欠でした。例えば、プログラム実施前後でのストレス度の変化を数値化し、その差が偶然ではないことを証明する必要がありました。

  2. データに基づく提案の重要性 企業にプログラムを提案する際、「こうすれば良くなる」という感覚的な説明では通用しませんでした。数値やグラフを用いた説得力のある提案が求められ、そのためには統計的な裏付けが必要だったのです。

  3. 科学的アプローチの重要性 心理学の知識だけでなく、それを裏付ける統計的な証拠が必要だと実感しました。例えば、ある介入方法の効果を主張する際、単に「効果があった」と言うのではなく、その効果の大きさ(効果量)や信頼性(統計的有意性)を示す必要がありました。

2. 統計学の重要性:自衛隊での経験と比較して

自衛隊時代の経験と比較しながら、統計学の重要性について考えてみました。

自衛隊での意思決定との違い

  1. データに基づく意思決定 自衛隊では経験や直感に基づく判断も多かったのですが、ビジネスの世界では客観的なデータ分析が重視されることに驚きました。例えば、装備の選択や戦術の決定では、過去の経験則が重視されることが多かったのですが、EAPの仕事では全てのプログラム選択がデータに基づいて行われていました。

  2. 長期的な効果の予測 自衛隊では即時的な判断が求められることが多かったのですが、EAPの仕事では長期的な効果を統計的に予測することの重要性を学びました。例えば、ストレス管理プログラムの効果が3ヶ月後、6ヶ月後、1年後にどう変化するかを予測し、それに基づいてプログラムの改善を行うのです。

  3. 仮説検証の重要性 「こうすれば良くなるはず」という仮説を、実際にデータで検証する文化に新鮮さを感じました。自衛隊では「こうすべき」という規則や指針が重視されましたが、EAPの世界では全ての施策が仮説と検証のサイクルで改善されていくのです。

3. 50代からの統計学習:困難と克服法

50代になってから新しい分野を学ぶのは、決して楽ではありませんでした。しかし、以下のような方法で困難を克服しました。

学習の障壁とその克服法

  1. 数学的な基礎知識の不足

    • 困難点:高校数学の内容をほとんど忘れており、統計の基本概念の理解に苦労しました。

    • 対策:基礎から丁寧に学び直すことにしました。具体的には、高校数学の復習から始め、特に確率と関数の概念を重点的に学習しました。また、実際のEAPのデータを使って練習することで、抽象的な概念を具体的に理解できるよう工夫しました。

  2. 抽象的な概念の理解の難しさ

    • 困難点:「標準偏差」や「有意水準」といった統計用語の意味を掴むのに時間がかかりました。

    • 対策:自衛隊での経験に置き換えて考えるようにしました。例えば、弾道計算と回帰分析の類似性を見出したり、部隊の平均的な能力と標準偏差を関連づけたりすることで、概念の理解を深めました。

  3. パソコンスキルの不足

    • 困難点:統計ソフトの操作に不慣れで、データ入力や分析に時間がかかりました。

    • 対策:ExcelやRなどの統計ソフトの基本から学習しました。特に、オンラインの無料講座を活用し、毎日少しずつスキルを磨きました。

  4. 学習時間の確保

    • 困難点:仕事と家庭の両立で、まとまった学習時間の確保が難しかったです。

    • 対策:早朝や休日を利用し、計画的に学習時間を確保しました。具体的には、毎朝5時から7時までを学習時間とし、週末は4時間のまとまった時間を確保するようにしました。

4. 効果的な統計学の学習方法:元自衛官の視点から

自衛隊での訓練経験を活かし、以下のような学習方法を見出しました。

「実践先行型」学習法

  1. まず実践、そして理論 自衛隊での訓練のように、まず実際のデータ分析を行い、そこから必要な理論を学んでいきました。例えば、従業員満足度調査のデータを実際に分析してみて、そこで遭遇した問題(外れ値の処理や欠損値の扱いなど)から必要な統計理論を学んでいきました。

  2. チーム学習の活用 同僚と学習グループを作り、お互いの強みを活かして学び合いました。例えば、私は実務経験を活かしてデータの意味を解釈し、IT に強い同僚はデータの処理方法を教えてくれるといった具合です。

  3. 目的志向の学習 「なぜこの統計手法を学ぶのか」という目的を常に意識し、モチベーションを維持しました。例えば、t検定を学ぶ際は、「これを使えば、プログラムの前後での効果の有無を判断できる」という具体的な目的を設定しました。

5. 統計学を学んで得られたもの

統計学を学んだことで、私の仕事や人生観が大きく変わりました。

仕事面での変化

  1. 提案の説得力向上 データに基づいた提案ができるようになり、クライアントからの信頼が増しました。例えば、「このプログラムを実施すると、3ヶ月後には従業員のストレス度が平均20%低下します(p<0.01)」といった具体的な数値を示せるようになりました。

  2. 問題解決能力の向上 データ分析を通じて、問題の本質を見抜く力が身につきました。例えば、部署別の満足度データを分析することで、表面的には見えない組織の課題を発見できるようになりました。

  3. 新たな職域の開拓 統計スキルを活かし、社内でのポジションが向上しました。具体的には、データ分析チームのリーダーとしての役割を任されるようになりました。

個人的な成長

  1. 批判的思考力の向上 ニュースや情報を、より客観的に分析できるようになりました。例えば、「〇〇が△△に効く」といったニュースを見ても、サンプルサイズや統計的有意性を考慮して判断できるようになりました。

  2. 生涯学習の重要性の再認識 50代からでも新しいスキルを身につけられることを実感し、学ぶことの楽しさを再発見しました。これにより、他の新しい分野(例:データサイエンス、機械学習)にも挑戦する勇気が湧きました。

6. これから統計学を学ぼうと思う人へのアドバイス

最後に、私のような経歴を持つ方々や、これから統計学を学ぼうと考えている方々へのアドバイスをお伝えします。

  1. 年齢は関係ない 50代や60代からでも、統計学は十分に習得可能です。むしろ人生経験が学習の助けになります。例えば、過去の仕事での数値管理の経験が、統計概念の理解に役立つことがあります。

  2. 実践を重視する 理論だけでなく、実際のデータを使った分析を繰り返し行うことが重要です。自分の仕事や日常生活に関連するデータを使って練習すると、より理解が深まります。

  3. 日常生活に結びつける ニュースの数字の解釈や、家計の分析など、日常生活での活用を意識すると理解が深まります。例えば、家族の食費のデータを取って分析してみるのも良い練習になります。

  4. 仲間を作る 同じ目標を持つ仲間と学び合うことで、モチベーションが維持できます。オンライン上の学習コミュニティに参加するのも良い方法です。

  5. 小さな成功を積み重ねる 大きな目標を立てるのではなく、小さな目標を達成していく喜びを味わいましょう。例えば、「今週は平均値と中央値の違いを理解する」といった具体的で達成可能な目標を設定します。

統計学は、一見難しそうに見えますが、適切なアプローチで学べば、文系出身の50代以降の方でも十分にマスターできるスキルです。私自身、自衛隊という全く異なるバックグラウンドから、統計学を学び、新たなキャリアを築くことができました。

この記事を読んで、少しでも統計学に興味を持った方は、ぜひチャレンジしてみてください。新しい視点で世界を見る力が身につき、キャリアの可能性も大きく広がるはずです。年齢や経歴に関係なく、学ぶ意欲さえあれば、誰でも統計学のスキルを身につけ、それを活かすことができるのです。

自衛隊で培った規律と忍耐力、そして新しいことに挑戦する勇気が、私の統計学習を支えてくれました。皆さんも、自分の強みを活かしながら、統計学の世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。きっと新しい自分との出会いがあるはずです。

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