名月、鶏天丼と希死念慮
気が付けば財布の金はあらかた姿を消していた。なけなしの残金もコンビニに売れ残っていた鶏天丼を買ったら消えた。心の中で貯金貯金と唱えながらアイスを我慢した三日前の自分になんと侘びようか。取り返しのつかないあれこれを考えながら自転車を漕ぐ。
見上げれば雲一つない夜空が広がっていて、その真ん中にはあたかも支配者然とした名月が居座っていた。何も努力しなくとも人々に見られて愛でられる月は、きっと俺を馬鹿にしている。みんなから必要とされ求められている月は、きっと俺を見下している。そう思