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こぐまちゃん、ちょっといたいいたい

何かを書くこと。

前回の書いたものを読んでいただければわかる通り
正直な話、これをすることでお客さんが増えるとは思えません。
むしろ減るというか引く。
12年間、これをしなかったのは
お客さんの層、求めるもの、自然に感じるもの、腑に落ちるものと、
たぶん、絶対に違う。なのであえてしてこなかったことの一つです。

2012年?13年 忘れましたけど
こぐま屋珈琲店をオープンさせました。

一番よく聞かれる、こぐま屋の「こぐま」
なぜこぐまなのか?ですが、
本当に意味はありません。 語呂です。
近頃出没する熊への思いも特にはなく
浅草の方にある古民家カフェはとても素敵なお店ですが
それとも関係ありません。
ただ、あちらが先なので
後から気づいてちょっと申し訳ない気持ちはあります。
こぐま社のこぐまちゃんの絵本は大好きです。
有名なのは「しろくまちゃんのほっとけーき」ですが
僕が好きなのは「こぐまちゃんいたいいたい」と
「こぐまちゃんとぼーる」です。

いたいいたいは
僕は弱虫じゃないけど泣くときもあるよ から始まり
「そうだよね、そんなときもあるよね」って
みんなそれぞれ何か思い浮かべたりすると思うのですが
座布団を頭に抱えて階段を降りることで、転んでも痛くないとか
団子を串から抜いて皿に並べれば刺さらないから平気とか
落ちるの前提、刺さるの前提で対処していくこぐまちゃんの知恵のあり方に
なんかモヤっと、腑に落ちきらない何かを感じてしまう
言ってることは正しいんだけど、
なんか僕の求めてたものと微妙に違うというか。

まあ、たぶん
「弱虫じゃないけどなくときもあるよ」を読んだときに
乗っかってしまう僕の感情の問題
ちゃんと対象年齢を見て本を買いなさいということでしょう。

ぼーるは表紙の絵が好きなだけです。内容は覚えていない。


同じようにあの日の天気も季節も覚えていませんが
仕事から帰宅して弟の部屋を開けると
ベットの上でボリボリJリーグチップスを食べている。

ただいまの挨拶などしたこともありませんから
ちょっと唐突になるのですが
「なんでベットで食べるのよ?」と。
そしたら弟は
「夜中お腹が空いたら拾って食べられるから」と。
はあ。と気の抜けた返事しかできず
でも、まつわる思い出がふわふわふわと頭の上に浮かんで

たしかそういえば節分のとき
やたら福は内ばかりを連呼していたので
そんなに福が足りないのか聞いたら
「どちらかと言えば」と。
そのとき投げていた方向がベットだった!

パチンと音がなるように繋がって
ああ、そうだったのか。
でも、兄の威厳がかかっている。
僕は視線を宙に浮かせ、最善を探します。
そして、
弟のパリパリ音が途切れたほんの隙間、「なるほど〜」と
一連の弟の儚い罠に引っかかることのないように
感情を全て処分して、ただ深く頷きました。

そんな小さな鍔迫り合いなどどうでもよいのですが
僕の足の間から当時飼っていた犬
黒のラブラトール官兵衛が弟のベットに飛び込み
食べかすを全てさらった後
Jリーグチップスの袋ごと咥え出て行きました。

弟は「あ〜」と力のない馬鹿みたいな「あ〜」を言って
まさにあれは弱者の、奪われる者の「あ〜」だった気がする。
そして
「お店やらない?」と言いました。

なので僕は
弟の不安、諦め、救済願望、
もちろん自分も含め、誰しもが抱える人生の不安、諦めを
ガブッと飲み込んで、飲み込めるだけ飲み込んで
「なんのさ?」と答えましたが
もう笑っていました。

どうあれ飲み込んでひっくり返してしまえば、あとは希望。
棒切れに自信を巻いていくだけです。見ない、いい事しか言わない
あえて悪いことを言いづづけてみる。あえて見る。忘れる。覚える。
進む、止まる。自分を受け入れる。ダメでも良くても。

自動車整備工場にするか珈琲店にするかでほんの数分揉めましたが
ただ、男の仕事として格好いいと思ってるだけで
どちらも自動車をいじったことも興味もないので
珈琲店に決定。
〜屋さんと呼ばれてみたいという理由で
〜屋珈琲店
最初になんとなく「こぐま」と言ったら
かわいいオリジナルキャラクターを作ろうと。
そのキャラクターに「ぼくはくまだからコーヒー飲めないよ」
と言わせてみたら、
なんかよくわからないけどものすごく気に入っていしまいまして
これはグッツ販売だと。
一言書いてある日めくりカレンダーを作るのは僕の夢でもあったので
これで行こうと決まったわけです。

キャラクター制作は弟の嫁さんの妹に頼み
全く違うイメージのものが送られてきて採用


ただ、いくら頭のおかしな兄弟でも
そんな簡単に始められるものでもなく
何せ3年続かない店が70%の世界です。

どうあれ初めてしまえば
やることはどこでも同じ
あのこぐまちゃんのように、串を抜いて団子を食べるとか
落ちても痛くないように頭に座布団を巻いて階段を降りるとか
リスクを管理です。

正しいんだけど、でも、なんか腑に落ちない。
やっぱり刺さってる団子を食べるからよいのです。
たとえ転んでも美しく歩きたいのです。

だからそれが今のところ、マイナスにしかならないであろう
何かを書くということ。

本日は「こぐまちゃんいたいいたい」でした。
次回は「こぐまちゃんのひあそび」です。これはよくないです。
9日、10日は大掃除と通常営業準備のため「こぐまちゃんおやすみ」です。














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