見出し画像

娘達にカミングアウトをする理由

ある日、家族で海外旅行に行くために新規のパスポートを申請すべく戸籍謄本をとった。そこには僕が戸籍の性別を変更した事(法律番号)が記載されていた。
パッと見はわからないが、これ何?と検索すれば、性同一性障害特例法とわかる。

数年後、長女がパスポート更新時に取り寄せた戸籍謄本見て検索したら?きっと長女はびっくりするだろう。しかしあの子は偏見はもたない。

ただ「気になって検索してごめんね」と、僕が知られたくない事を知ってしまった事の申し訳なさで長女は傷つくだろう。知った事を抱えてしまうかもしれない。

自分への偏見から言わないワガママを取るか、娘にいらぬ負担を持たせないために言うか。


この判断に迷い、20年も経った今トランス界隈に戻ってきた。娘達に話せるようになるために、僕の凝り固まった性の概念を崩して、トランスセクシャルな自分を受け入れる。その先に答えが出てくるはずだと信じて。

娘達に話し、僕は今まで通りの自分でいれる自信はない。基本、あまり目を見て話す事ができない僕は、ますます話せなくなるような気がしている。

これは僕自身の問題であり、トランスセクシャルな自分が恥で、後ろめたくて、それを娘達が大事だからこそ知られたくない気持ちが強い。
知られて「この子達は僕の過去を知っている」フィルターがかかる。

妻は「誰でも知られたくない過去はあるから話したくなければ話さなくていい事なんだけどね(戸籍謄本は無常にも書いてあるから)」と。

20年も不便なく生活してきた僕は、打たれ弱くなったのか、この悩みが出てから浮き沈みが激しい。

せめてデータは仕方がないけど戸籍謄本への記載だけでも外せるように(子供の謄本には見えないように)できないものなのか。僕が死んだ後は知られても構わないから。

次の更新時期までに答えを出す。

僕は妻に
「俺を受け入れて結婚した時に、俺の中で君は当事者だと思ってるからこうして話をする。しかし子供は子供の人生がある、知らなくていい事は知らなくていいと思う」と言った。

妻は僕に
「子供達に当事者意識を持ってもらう事も見識を広げる良い機会になるけど、これはあなたの気持ち次第」だと言った。

僕は今、妻の言葉を前向きに捉えている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?