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(079) オーディオブックとネットラジオの時代がやってくる?

2020年9月28日(月)

すでにテレビを見るのをやめて、YouTubeに移行している人は多いでしょう。YouTubeでニュースを見ることもできますね。私もその一人です。それでも、画面を長い時間、見続けるのは苦痛です。ですので、動画では短いコンテンツが好まれます。

その一方で、オーディオブックやネットラジオのような音声メディアがじわじわと広がっているようです。

オーディオブックの市場はまだ小さいが拡大している

アメリカでは早くからオーディオブックが普通のことになっていました。これは通勤に自動車を使うので、その車の中で本を聞くという習慣が一般化したようです。日本だと、通勤・通学の時間に聞くコンテンツとしてオーディオブックやネットラジオが広まるかもしれません。

米オーディオブック売上が前年比25%増「10億ドル」市場に

AmazonはAudibleというサービスでオーディオブックを販売しています。

これを見ると、たとえば『嫌われる勇気』は7時間のナレーションになります。レビューを見ると、「スーッと頭に入ってくる」など高評価が多いです。この本は会話体で書かれた部分が多いので、オーディオブックに向いているのでしょう。

一方、『ファクトフルネス』は13時間のナレーションになりますが、それほど評価は高くないです。というのも、この本はグラフがたくさん使われていますので、それを見ることなしに、耳で聞いただけでは理解が難しいからでしょう。

このようにオーディオブックに向いている本(会話体が多い本)と向いていない本(図表が多い本)にわかれます。オーディオに向いている本は、最初から活字版とオーディオ版が同時に発売されるようになるかもしれません。

隙間を埋めるネットラジオは贅沢な偶然性を提供する

ネットラジオの市場もまだ小さいですけれども、じわじわと広がっています。PodCastやHimalayaといったサービスです。Himalayaでは、オーディオブックのサービスもしています。

ネットラジオは、ながら聴きできることで、隙間時間を埋めてくれるメディアになります。集中して聞くということではなく、なんとなく背景に流れている話ということです。特に聞く目的がはっきりしているわけでもありません。逆にそれがいいということです。

武田砂鉄『わかりやすさの罪』(朝日新聞出版, 2020)という本の中にこんなことが書いてあります。

「でも、ラジオって、別に聴かなくてもいい話が流れていることが多い。意味なんてなくてもいい。これって、とても贅沢なことだと思います。そして、そこには、抜群の偶然性があります。」

検索して、探し当てて、この話を聞く、というわけではなくて、なんとなく流れている話の中で偶然に自分にとって面白いことを発見するということです。それは確率的には低いし、決して効率の良いものではないのですが、それが逆に贅沢なんだということです。

いずれも、ながら聴きの台頭による

オーディオブックにしても、ネットラジオにしても、いずれもながら聴きという行動が広まっていることを土台にしています。ワイヤレスのイヤホンも広まり、いつでもイヤホンやヘッドホンをつけている姿が珍しくなくなりました。そうすると、お気に入りの音楽以外の、ながら聴きできるコンテンツの需要が高まります。そこにオーディオブックやネットラジオのコンテンツが入っていくでしょう。

オーディオブックを聞いてその内容がどこまで理解されるのかは、一人の研究者として興味のあるところです。おそらくオーディオブックも、ネットラジオのようにながら聴きされていくのでしょう。紙の本や電子ブックのようにマーカーを引くこともできませんから、ながら聴きをしていって、どこか一箇所でも記憶に残るフレーズが見つかったらラッキーということなのかもしれません。

実際にオーディオブックを愛聴している人に意見を聞いてみたいところです。

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