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【教える技術】#12 単発のスキルではなくそれをどの文脈で使うのかを学ぶことが重要だ

火曜日は「教えること/学ぶこと」のトピックで書いています。早稲田大学エクステンションセンター中野校での「教える技術」講座の内容を連載しています。

前回までに、技能を運動技能、認知技能、態度技能に分類した上で、それぞれを教えるためには心理学理論の土台があることを説明しました。それは、運動技能には行動分析学、認知技能には認知心理学、態度技能には自己調整スキルと社会情動的スキルに関する心理学的研究(これには何か適切な名称がつけられるでしょう)です。以上が教える技術の領域としての全体像です。

21世紀には、とりわけ態度技能の研究が進んでいくでしょう。しかしその萌芽的な研究は20世紀後半にはすでに提示されていました。今回は、グレゴリー・ベイトソン(1904-1980)の「学習の型」という考え方を紹介します。

ベイトソンは学習の型として4つの段階を考えました。

ひとつ目は「ゼロ学習」です。特定の刺激(S)があるときに決まった反応(R)をすることです。特定のSに対して特定のRをするまでは学習が起こります。しかし、一度決まってしまって変化がなければ「ゼロ学習」であり学習は起こっていません。ルーチン化した作業は一定のものであり、そこでは学習は起こっていません。

それに対して、特定の刺激があるときに、ある反応をして、それに対するフィードバック(FB)があり、それによって反応が変わっていくときに学習が起こります。それを「学習1 (proto-learning)」と呼びます。たとえば、テニスのフォアハンドストロークを練習していて、打つたびにうまく打てたり、打てなかったりします。そのこと自身がフィードバックとなり、だんだんと打ち方が上達して行きます。そのとき「学習1」が起こっています。

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