【研究】04 研究のつまずき:ゴールが明示されない
水曜日は「研究すること」のトピックで書いています。しばらく「研究におけるつまずき」というテーマで書いています。
前回は、研究になにか正解のようなものがあると思っていることがつまずきになることを言いました。得られた結果が自分の考えとは違うときに、それを失敗やミスだと考えてしまうのです。もちろんデータの取り方の不備であるとか研究手続きがうまくないということは可能性としてはあるでしょう。しかしたとえデータが自分が期待した結果と異なっていても、それは残念なものでもなんでもなく、そこから研究が進展していくものなのです。
今回は、研究ではゴールが明示されないということをとりあげます。卒業論文や修士論文では提出の締切と提出論文が満たすべき条件が決まっていて、それにあわせて研究を進めていくことになります。しかし、学部や大学院に所属していない独立系研究者は、特にこうした締切や条件がありません。ですので、自分でゴールとそれに対する締切を決めなくてはなりません。
研究のゴールとはどういうものでしょうか。実際のところ、研究がゴールに達して終了するということはありません。ひとつの研究の結果は次の研究のタネを生むことになるので、次々とつながっていくからです。その意味で研究の最終ゴールはなく、ただその方向性だけがわかっているのです。
したがって自分の研究の方向性を見定めたら、自分で具体的な目標 (objectives) あるいはサブゴールを決める必要があります。まず最初のサブゴールとしては、大会や研究会で発表することを設定するといいと思います。大会や研究会はその日程が決まっているので、それを目指して研究を進めていくのに便利だからです。
そのようにしてデータを積み上げ、大会や研究会で発表してさまざまな批判やアドバイスやコメントをもらっていきます。そうして手応えを感じたらならば、次のサブゴールとして論文を投稿することを設定します。論文投稿はサブゴールの中でも大きなものとして位置づけることができます。
まとめると、ゴールが明示されないために研究がうまく進まないというつまずきは、自分で論文投稿することを目標とすることで解決できます。そして投稿するためには大会や研究会で発表して批判を受けておくというステップを踏んでいきます。逆に言えば、発表はそれで終わりということではなく論文投稿のステップなのです。
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