【アドラー心理学の理論】#04 仮想論:プライベートな世界の見方
月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。4月12日(木)から早稲田大学エクステンションセンター中野校で「アドラー心理学入門」(全8回)が開講しました。この連載では、講座の内容を同時並行でお伝えしていこうと思います。講座に参加できない方にも、その雰囲気が伝わればいいなと思っています。
今回は5つの基本前提の1つである仮想論について取り上げます。
アドラー心理学が前提として採る「仮想論」とは、「私たちは自分の好きなように世界を見ている」ということです。このように言うと、「いや、私は世界を “正しく” 見ています」と反論する人がいるでしょう。その通り、その人にとっては「正しい」見方で世界を見ているのです。これが仮想論ということです。言い換えれば、「人はその人にとって正しいと思われるような方法で世界を見ている」ということになります。
その人にとって正しい見方は人の数だけありますので、世界の見方は世界の人数分あることになります。それらひとつひとつがその人にとっては「正しい」世界の見方なのです。ということであれば、私たちは、自分とは異なった、無数の「正しい」世界の見方があるということを認めなければなりません。
この仮想論は、ドイツの哲学者ハンス・ファイヒンガー(Hans Vaihinger, 1852-1933)の「かのように(as-if)の哲学」に基づいています。ファイヒンガーは、人は本当の世界を知るすべがないので、自分で構築した世界のモデルに従っている「かのように」世界が動いていると考えるとしました。これを「かのように理解(as-if understanding)」と呼びます。つまり、私たちは自分オリジナルの世界のモデルを持っていて、世界はそのモデルに従って動いているかのように見ているということです。
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