【研究】教育研究が難しいのは学習者が能動的な存在だから
水曜日は「研究すること」のトピックで書いています。
先週は、論文「インストラクショナルデザイン研究の方法論」を紹介して、教育を対象として研究するための工夫について書きました。教育に関するデータの取り方やその分析の方法はどんどん進展しています。しかし、それにしても教育の研究には困難がつきまといます。
教育研究においては、学習者がどのようにした学んだのかということがデータ(従属変数)になります。学習者は人間です。人は受け身の存在ではいられません。教育研究の困難さはその一点にあります。
実験計画法では、研究対象への処遇 (Treatment) を操作して、その効果を見ようとします。たとえば、日照や肥料を変化させて、収穫量がどう変化するのかを検証します。研究対象がただ環境や条件を受けるだけの存在であれば、このような実験計画法が機能します。
しかし、学習者は受け身の存在ではありません。常に、個別の注意や関心を持って、与えられた環境を独自に解釈し、独自に反応します。つまり、同じ環境条件という処遇であっても、個別にはその環境条件と交互作用 (Interaction) しているのです。実験計画法はこれをとらえきれません。
トレーニングするときも相手を受け身の存在だと考えると間違えるでしょう。相手は常にアクティブな存在なのです。学習者がアクティブであり、学習環境と交互作用する存在だということが教育の前提条件です。
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