(038) オンライン研修・講演の3つのメリットがその定着を促進する。
前回の記事では、みんなが「ZoomでOK!」になったらオンライン研修・講演の市場が成立する! ということを書きました。
もしコロナの影響が短期的なものであるなら、元どおり対面の研修に戻るということもあるでしょう。しかし、「新型コロナの収束シナリオとその後の世界(3)収束まで「3年から5年」が現実か」という予測もあります。これが年単位で影響するのであれば、オンライン研修や講演は十分根付く可能性があります。
さらに言えば、オンライン研修・講演は、対面のそれに比較しても十分なメリットがあります。にもかかわらず、これまで定着しなかったのは、ただ体験する機会がなかったこと、そしてそれによって習慣になることがなかったからです。実際、私もZoomを日常的に使うようになったのは、コロナ以降のことです。使っていけば、もはや物珍しさというものはなくなり、日常的なツールとして定着します。それは実に素早いできごとでした。
オンライン研修やオンライン講演が定着すると予測する理由として、そのメリットについて書いてみます。
・オンライン研修・講演はスケーラブルになる
1つ目のメリットは、研修や講演をオンラインにすることでスケーラブルなイベントにすることができます。ここでいうスケーラブルとは、参加人数が少なくても多くても対応できるという意味で使っています。
これまでは研修や講演を企画するときにある程度まとまった参加人数をそろえる必要がありました。そしてその人数によって会場を押さえたり、日時を決めたりすることができました。それは一回決めると変更が難しい条件となります。
しかしオンラインではその条件が変わっても柔軟に対応することができます。最初は少人数で始めて、もし好評ならたくさんの参加者を集めて、大規模に開くことができます。もちろん大規模になれば、対応するスタッフを雇ったり、機材をアップグレードする必要はあります。しかし、それは人数に比例したリソースではなく、それよりもはるかに軽いリソースですみます。
また、規模の大きさによって参加者の活動を変えることもできます。たとえば、小規模な研修であれば、個別のフィードバックを厚くします。対して、中規模な研修であれば、ブレイクアウトルームを活用して、グループワーク中心でいきます。また、さらに大規模な講演であれば、質疑応答を中心にします。このように、コンテンツは大きく変更することなく、規模に合わせて参加者の活動をデザインしていくことで、スケーラブルに対応することが可能になります。
・参加した個人にとってのメリット
2つ目は、参加した個人にとってもメリットがあることです。それは参加した研修の記録がアーカイブされれば、いつでもそこに戻って見直すことができることです。対面の研修では、参加したあと、手元に残るのは配付資料と自分でとったノートくらいです。しかし、オンライン研修が配付資料とともに動画として残されていれば、何年か経ったあとにそこにアクセスして新たな学びを発見するかもしれません。
そのアーカイブに、参加証などの証明を入れておけば、個人的なキャリアアップのための証拠として使うことができます。それは単なる参加証ではなく、研修の内容とその中での学習活動が証明された参加証となります。
・主催した人にもメリットがある
3つ目は、主催した人にとってもメリットがあることです。オンライン研修で実施された内容は記録され、いつでも見返すことができます。これは、研修を改善するための最も良い材料になります。ある種のワークはうまくいき、別のワークはうまくいかなかったとすれば、それは参加者の反応や成果物といったパフォーマンスによって、即時に評価されます。そして、うまくいかなかったワークをどのように改善すればいいかということに注力することができます。
このようにして研修や講演を洗練することができます。レクチャーは何度も同じことを話すのではなく、収録しておいたものを事前に試聴してもらい、Zoomによるリアルタイムの研修では、実習やグループワークを中心にしてもらうこともできます。そうすると主催者はもっぱらワークのコントロールやフィードバックを中心に動くことになります。これは研修全体の質を上げることにつながるでしょう。
さらに、このような研修や講演を積み重ねていけば、それを元にして本を書くこともできるでしょう。これは自分の開発したコースを広く知ってもらう媒体となりますので、大きなメリットです。
以上の3点がオンライン研修・講演のメリットです。これらは実はこれらのメリットは以前からあったものです。それが今回の状況を経て、一気に認知される可能性があります。ですので、それを予測して準備するのがいいでしょう。
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