教える技術ヘッダ

大学の「大きな学位」からオンライン学習による「ナノディグリー=とても小さな学位」へ。

2017年3月31日

火曜日は「教えること/研究すること」のトピックで書いています。

「ナノディグリー Nanodegree」とは「大きな学位」に対する「とても小さな学位」という意味です。

現在の大学は単位制度によってシステム化されています。たとえば、124単位を集めれば学士号が授与され、15回分の授業を2単位に割り当て、1回分の授業は90分の対面授業とそれに関わる予習と復習からなるという具合に規定されます。その結果として学士号という「大きな学位」がもらえます。

これに対抗するシステムがナノディグリーです。「大きな学位」に対して「とても小さな学位」がナノディグリーです。ナノディグリーでは特定されたトピックについてのコース、たとえば「人工知能入門」「機械学習」「仮想現実」などのコースが提供されます。

無料のコースもありますが、ナノディグリーを得るためには参加費がかかります。たとえば「深層学習」のコースでは399ドルとなっています。これはナノディグリーを得て、就職するための自分への投資といえます。

オンライン学習とオンラインチューターを組み合わせた学習形態はこれから発展していくでしょう。オンライン学習の弱点は、途中でやめてしまうドロップアウトが多いということでしたが、そこに(有料ではありますが)チューターが入ることによって完了率を上げることができます。同時にナノディグリーという「証明書」を学習者が得られます。企業がこの証明書の価値を認めていけば、教育成果と就職が合致し、うまく回っていくことになります。

一方で学習者は、セット販売の大きな学位ではなく、小さくて特化したナノディグリーを自分の好きなように組み合わせて習得していく自由ができます。

大学に入学し、四年以上をかけて卒業し、学士号という「大きな学位」を獲得することは、金額的に大きすぎる投資ですが、自分が勉強したいと思うナノディグリーコースに入門することは数万円で可能です。そういう時代に入りつつあります。

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