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(125) 心理的安全性の高い職場にするためにどうすればいいか

2021年3月21日(日)

2020年度の「教える技術オンライン研究会(OGOK)」(全10回)から、研究トピックや研究スキルを紹介するシリーズの第2回目です。今回は「心理的安全性」を取り上げます。

「教える技術オンライン研究会(OGOK)」は2021年度も新シリーズで開催します。興味のある方は、2021年度新メンバーの募集を兼ねた公開研究会(参加無料)にご参加ください。下記の記事から参加登録できます。

・心理的安全性とは気兼ねなく発言できる雰囲気

ここで紹介している心理的安全性については、山口裕幸・オージス総研『組織と職場の社会心理学』(ちとせプレス, 2020)の第13章「優れたチームワークを育む」に基づいています。この本はコンパクトでとてもわかりやすく書かれています。

まず、心理的安全性の定義は「互いに関心のある考えや感情について気兼ねなく発言できる雰囲気」とされています。このような気兼ねなく発言できる雰囲気を職場に作り出すことによって、次のような良い影響がもたらされます。

(1) 率直に話すことが奨励される
(2) 考えが明晰になる
(3) 気兼ねなく意見を戦わせ、意義のある論争が奨励される
(4) 失敗をありのままに報告し、話し合える
(5) イノベーションが促進される
(6) 純粋にチーム目標の達成を目指せる
(7) 他者からの非難を恐れずに率直に話すことを支持し、そのことに責任を持つようになる

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・なぜ職場では気兼ねなく発言しにくいのか

しかし、このような雰囲気を持っている職場はそれほど多くありません。なぜ職場で心理的安全性を確保するのが難しいのでしょうか。

1つ目は、発言をすることによって周囲から無知だと思われるのではないかという不安があることです。簡単にいえば、「こんなことを言ったら(あるいは聞いたら)周りからバカにされるのではないか」という懸念です。自分が低く評価されることへの懸念と言えます。

2つ目は、周囲から無能だと思われるのではないかという不安です。1つ目は「あの人は何も知らない」と言われることへの不安で、2つ目は「あの人は何もできない」と言われることへの不安です。両方とも自分が低く評価されることへの懸念です。

このために多くの職場では「自分には知識があり、仕事をこなす能力がある」ということを常にアピールする必要があります。もし上司に、この人は知識もないし、能力もないという評価がされてしまったら、自分への不利な扱いとなるからです。また、同僚に対しても同様のアピールが必要です。そうしないとチーム内で足を引っ張る人として扱われてしまうからです。

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