2-教える技術ヘッダ

【教える技術】ゼミ生の個人指導の欠点は依存的になること

火曜日は「教える技術/学ぶ技術」のトピックで書いています。

以前、ゼミ指導はグループセラピーのようでもあるということを書いた。

……したがってゼミで研究についての話をしていけば、いやおうなくその人の人生にまで届いてしまうというわけだ。それをある種のカウンセリングやセラピーのようだと言い換えられるだろう。ゼミの場合はグループでやることが多いので、グループセラピーとなる。

その一方で、伝えるべき知識とスキルはある。特にスキルとしての研究法は大学以外ではなかなか習得する機会がないので、きっちりと身につけてもらうことが必要だ。しかし、一人ひとりの研究テーマはさまざまなのでその指導は大変だ。そのためTAは2人いて、随時個別指導にあたってもらっている。

個別指導の欠点は手間と時間がかかることだけれども、一番の欠点は正解を求めるあまり指導者に依存的になることだ。本来研究法にスタンダードはあっても正解はない。自分のテーマとフィールドの特殊性、データを取るにあたっての条件や制約が異なるので、これが正解というのがない。そこは自分で工夫してもらうことが必要であるし、それこそが研究の一番おもしろい部分なのだ。

『教育工学を始めよう』という本の最初の方で、こんな研究はダメという例で「2要因分散分析という手法を習ったのですが、これにあてはまるような研究はありませんか」というのが出てくる。それは逆なのであって、まずテーマがあって、テーマに合わせて研究手法(道具)を選んだり、工夫したり、新しく開発したりすることが必要だ。

個別指導をすると指導者に依存的になるという欠点を防ぐ方法として、オープンカウンセリングのように一人の研究を例にあげて、それについてみんなで考えるというのはいいかなと思っている。そうすることで自分の研究にも当てはまる部分が見つかり、同時に当てはまらない部分を工夫しようとするきっかけになることが期待できるからだ。

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