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ちはるのファーストコンタクト(2017年)

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2017年に書かれたマガジン「ちはるのファーストコンタクト」の記事をすべて収録しました。300本以上あります。
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2017年3月の記事一覧

【連載】みんなの前で話す技術(第6回):原稿なしで話す。プロットは作る。

金曜日は「みんなの前で話す技術」講座を連載しています。 前回は「前置きなしに本題に入る」ということを言いました。今回は「原稿なしで話す」ということを言いたいと思います。 あらかじめ時間の決まった話を依頼されると、自分用の原稿を作って、それにしたがって話そうとする人もいると思います。話のための原稿を書くことそれ自体は問題はありません。しかし、話すときに原稿を読むのはダメです。 話し手が原稿を読み始めると、聴衆は寝ます。もし原稿そのままを読むのであれば、それを印刷して配れば

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大学の「大きな学位」からオンライン学習による「ナノディグリー=とても小さな学位」へ。

2017年3月31日 火曜日は「教えること/研究すること」のトピックで書いています。 「ナノディグリー Nanodegree」とは「大きな学位」に対する「とても小さな学位」という意味です。 現在の大学は単位制度によってシステム化されています。たとえば、124単位を集めれば学士号が授与され、15回分の授業を2単位に割り当て、1回分の授業は90分の対面授業とそれに関わる予習と復習からなるという具合に規定されます。その結果として学士号という「大きな学位」がもらえます。 これ

私たちは相手の性格を知りたいのです。なぜならそれが相手と付き合っていくために役に立つからです。(ライフスタイル論#01)

2017年3月31日 月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。 前回は「自分の関心をコントロールすること」ということで勇気づけの方法について書きました。 今回から、これもアドラー心理学の中心的なアイデアである「ライフスタイル」について書いていきたいと思います。 現代は普通の会話で「性格」「パーソナリティ」「キャラ(キャラクター)」といった単語を使っています。まわりの人をその性格や行動パターンでタイプ分けすることは、昔から行われてきました。おそらく、そうすること

【本】C. ファデル、M. ビアリック、B. トリリング『21世紀の学習者と教育の4つの次元』→これから何がどう教えられるべきかのビジョンを与えてくれる

2017年3月30日 木曜日はお勧めの本を紹介しています。 ■要約21世紀の子どもたちが学ぶべきものは次の4つである。 ・知識 (knowledge):何を知り、何を理解しているか ・スキル (skills):知識をどのように使うか【創造性、批判的思考、コミュニケーション、協働】 ・人間性 (character):どのようにふるまい、世界とどのように関わるか【動機づけ、レジリエンス、社会・情動的知性、シチズンシップ】 ・メタ学習 (meta-learning):どのよう

エゴサーチをするのは、鏡を見ているようなものだからです。

2017年3月29日 水曜日はフリーテーマで書いています。 エゴサーチを定期的にしています。エゴサーチというのは、自分の名前やニックネームなどをキーワードにして検索をかけることです。英語でも egosearching というようです(wikipedia)。つまり、インターネット上で自分のことがどのような評判になっているかを確認する作業です。 エゴサーチを頻繁にすることが、「ネット依存」の兆候として捉えられていたりします。また、思いがけない中傷や非難を見つけてしまうことに

日経ビジネスONLINEに私のインタビュー記事が載りました。

2017年3月28日 日経ビジネスONLINEに私のインタビュー記事が載りました。「アドラー心理学、「部下をほめてはダメ」の功罪」というタイトルで、以下のようなことを話しています。 ・日本アドラー心理学会からテレビ局への抗議 ・書籍の『嫌われる勇気』は、岸見さんとライターの「共著」 ・あえて人に嫌われる必要はない ・「課題の分離」を強調するのは、個人主義が根づいていないから ・心配するという行為自体は私の課題、心配を相手に押しつけない ・「対等の関係」ができていれば、ほめ

架空と現実をSNS経由で結びつけるドラマ「スカム」からのヒント

2017年3月28日 火曜日は「教えること」のトピックで書いています。 ノルウェーの高校生ドラマ「スカム(Skam, 恥)」が北欧で大ヒットしているそうです。 このドラマの作り方は、テレビドラマとSNSをつなげたところに特徴があります。公式サイト(http://skam.p3.no)を見てみると、そこにはドラマの登場人物の写真や彼らの間で交わされたチャットなどが載っています。そして、そこにつけられた視聴者からの膨大なコメント。 主にテレビで見る動画と、パソコンで見る(

台本ストーリーはどのように書かれているのか(ライフスタイル論#05)

2017年3月27日 月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。 前回は「ライフスタイル論」の4回目として次のことを書きました。  1. 私たちは日々ライフタスクに直面するたびにライフスタイルを参照して、取りうる行動の選択範囲の中から決断して選んでいる。  2. その決断は自然に、そして瞬時になされるため意識されない。しかし長い目で見ると、それは自分が作り上げた自己理想に沿うようにされている。 さて、ライフスタイルとして書かれている台本ストーリーはどのように書か

甲府市の「アジアの文化を識る会」の招きでアドラー心理学の講演をしてきました。

2017年3月25日 甲府市の「アジアの文化を識る会」の招きでアドラー心理学の講演「自分のライフスタイルを知って人生をシンプルにする」をしてきました。90分間の短い時間でしたが、ワークを2つ入れることができて、参加のみなさんには楽しんでいただけました。 山梨で講演とワークショップをするのも、南アルプス市や忍野村、そして山梨県立大学とたくさんになりましたので、とても親近感を覚えています。全国から呼んでもらえて嬉しいです。また新年度になりましたら、新しいプログラムを作っていき

明日が晴れますように。

2017年3月25日 土曜日は昔のブログ記事を振り返って書いています。 雨の卒業式去年、一昨年は晴れだったが、今年の卒業式はあいにく、朝から雨。大隈講堂の前で写真が撮れなかったのは残念。でも、昼くらいから雨は上がった。 eスクールの一期生が卒業するので、今年から、eスクール代表のあいさつが加わった。eラーニングによる生涯教育の幕開けということを語っていて、説得力があり、とてもよかった。 ――2007-03-25のブログより 明日はいよいよ、人間科学部、人間科学研究科

【連載】みんなの前で話す技術(第5回):前置きなしに本題に入る「結論ファースト」

金曜日は「みんなの前で話す技術」講座を連載しています。 前回は、15分の話を一区切りとして、話の続きはあるとしても、そこで何か別の活動を聞いている人にしてもらうといいということを言いました。別の活動というのは、質問カードを書いてもらったり、隣の人と組んでペアトークをしてもらったりすることです。いずれの活動でも2、3分で十分です。長い時間を取る必要はありません。話を聞くということから別の活動をすることでリフレッシュして集中力が回復することを目的としているからです。 私の講演

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データだけでもダメですが、人間くささだけではもっとダメです。

2017年3月22日 水曜日はフリーテーマで書いています。 Netflixで「マネーボール」という映画を見たのですが、これがすごく面白かった。アメリカの球団アスレチックスのジェネラルマネジャー(GM)が主人公です。彼が予算のない球団で「野球統計学」を使って球団を20連勝させ、地区優勝まで導くという話です。 野球統計学は正式にはセイバーメトリクス(SABRmetrics)と呼ばれています。SABRとは「アメリカ野球学会」の略称です。そんな学会があるんですね。 セイバーメ

動機づけされたあとは「意志の力」が必要です。

2017年3月21日 火曜日は「教えること」のトピックで書いています。 前回は、教えたり指導する人が相手にやる気を持って欲しいときに、次のことをアピールするといいことを書きました。 A. 相手の知識とギャップのあることをデモンストレーションして好奇心を喚起する R. これから学ぶことが相手の個人的目標にも十分関係があることを説明する C. これから取り組んでいく課題は相手にも十分達成できるものであることをいう S. このコースが終えるとその後どのようないいことが起こるか

アドラー心理学公開研究会を開催しました。「またもっと良い本を書いていこう」という気持ちになりました。

2017年3月20日 早稲田大学アドラー心理学研究会主催で公開研究会を開きました。この研究会の公開の催しには夏の「アドラーフェスト」があります。今回は、こうした公開研究会を増やしていきたいという意図も込めて企画しました。 同時に私の近著である『幸せな劣等感』(小学館新書, 2017)の出版記念会の意味合いも込めてみました。これまでに何冊も本を出版してきましたけれども、よく考えたら出版記念パーティーのようなものは一度もやってきませんでした(書店でのトークライブはありましたが