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デザイン科OBインタビュー みなはむ先輩 後編

都立工芸高校デザイン科の進路学習の一環として行なうインタビュー企画。イラスト・絵画の制作や発表等で幅広く活動されているみなはむ先輩にお話を伺いました。
インタビュアー: OBインタビュー担当生徒3名

みなはむ (MINAHAMU)
1995年生まれ。東京都在住。武蔵野美術大学日本画学科卒業。
大学在学中からCOMITIAで同人誌を制作し発表したり、絵画を展示するなどの活動を続けている。
主に自然や日常の中に少年少女が佇む絵をデジタル・アナログ問わず描いている。
近年は装画を中心にイラスト・絵画の制作依頼を受ける。
作業環境…iPad pro 12inch, macbook
主な使用ソフト…procreate(描画), Illustrator CS6, Photoshop CS6

経歴は以下サイトより参照


前編では制作についてのお話を詳しく伺いました。

前編はこちら

続く後編では、SNSによる作品発表のお話や、今の活動に至る経緯などについてお話いただきます。

―みなはむ先輩はweb やSNS などで作品を紹介していますが、インターネットで作品を発表するときに気を付けていることは何でしょうか。

私はiPadで描いていますが、見る人はスマホで見ることが多いと思います。スマホとiPadで見え方が違うことが多いので、スマホで色合いの見やすさや構図を確認してから載せています。

iPadで描いた絵は色が沈んでいることが多くて、何度か「全然違うじゃん!」と思ったことがあったので、気にするようになりました。

あとは、アナログで描いた絵だと、周りの環境に印象が左右されると思います。大学生の頃は、絵の周りに余計な部分が写るのが嫌だったんですが、SNS で他の作家さんの作品を見ると、絵以外のものが写り込んでいる写真も自然に見られることに気づきました。それから机や画材を写真の画面に入れるようにしています。


―とても参考になります。みなはむ先輩は様々なメディアで発信していますが、それぞれのメディアにはどのような性質があると思いますか。

instagram は見ている層が海外の方が多いです、しかも、気軽に話しかけられることが多くてすごく怖い(笑)twitter とは違う層から見る人を増やせるので、始めてよかったなあと思います。

instagram を始めたのは一昨年ぐらいからです。twitter より遅くて、作品がある程度注目されてからになります。以前から「始めなよ」とは言われていたんですが、「始めてどうなるんだろう」と思っていたのでやっていませんでした。

でも、日常的なアカウントを作ってみたら面白い情報が流れてきて、人がたくさん見ていることを感じて。作品を投稿してみたら、何か繋がるかもしれないと思って始めました。


―みなはむ先輩は大学卒業後すぐに注目されている印象があります。在学中から、どのような経緯で今のお仕事に至ったのでしょうか。

大学の卒業前は、個展で絵が売れたことで楽天的に「これでいけるぞ!」と思って、絵描きとしてアナログで作品を作って売る活動を続けるつもりでした。ただ、軌道に乗ったのは作品が一定以上のクオリティを保てるようになり、お仕事の話が増えてからです。 

こうやって仕事をもらえるようになったのは去年、一昨年ぐらいからです。それより前は、絵の依頼がきたら面白いなーと思いながら、イラストを投稿し続けていました。

展示したいギャラリーに申し込んだことはあっても、仕事をしたいからという理由で売り込んだことはないです。よくないことなんですが、そういうことに怖さを感じてしまいます。

仕事としての依頼が来ても来なくても、展示をすれば見てくれる人がいるとわかったので、絵描きを続けていました。そうしたら徐々に仕事の依頼が来るようになって、嬉しく思います。


―プロとアマチュアの線引きは難しいですが、私の認識ではみなはむ先輩はその道の第一人者として活躍されている方だと思います。みなはむ先輩としてはアマチュアとプロの差は何だと思いますか。

私の主観では私はアマチュアですね。でも、お金が稼げるようになったらプロと言っていいと思います。客観的には私はプロかもしれませんが、主観的には好きな絵をいつまでも描くぞという思いがあるので、、その点ではアマチュア的な意識ですね。

やっぱりプロは頼まれたものをきっちり描く技術がある人だと思います。仕事で頼まれる絵は自分が描きたい絵じゃなくてもその技術があれば作り出せる。そういうことのできる人はプロだと思いますね。


―みなはむさんの主観で、高校生のうちから、これをやっておくといい思うことはありますか。

私がやっててよかったなと思うようなことは自分の好みを知ることです。自分がやりたいことや、自分自身のことを知れました。

私はインターネットで絵を見ることが好きだったので、特に気に入った絵をたくさん集めてそれをファイリングしました。自分がときめく共通点を探したり、それらを自分の作品に反映させたり。

あとは工芸高校の皆さんならすでにやっていることだとは思うんですが、美術館にたくさん行ったり図録をたくさん見たりして、知っていることを増やすことや、好きな作家を見つけて掘り下げたりすることで、自分の興味関心を広げていくと、より発展すると思います。


―好きなものを集めるファイルは、今でも作りますか。

作ります。過去のフォルダを見ていたら、急にやらなきゃいけないって気分になって、コンビニで70 枚ぐらい印刷してファイルに入れました。

ファイルでも作品のレイアウトは気にしています。作品同士の相性とかジャンルとかが違うと、見るときに脳が疲れるかなと。

やっぱり似たような作品でまとめたり、バランスのいい色にしたほうが、後から見返すときにその時感じていた良さが伝わりやすいと思って。そういうことをするのが好きなので、やってますね。

ー本日はどうもありがとうございました。


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