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カップヌードルで乾杯した朝

────エッセイ

今週、仕事で昼夜逆転する状況になりSNSから遠ざかっていた。というか、スマホを触る時間もないくらい。起きているあいだは常に仕事仲間と一緒。

仕事が0時をまわり、仮眠レベルの睡眠をとって早朝に再び集合なんてこともあった。そうなると、朝昼晩の3食が一緒。仕事中はもちろん休憩時間も一緒。1日の中で20時間も一緒にいるなんて家族でもそうはない。そんな状況だと、小さなボタンの掛け違いが大きな衝突に変わることも多い。

極限に近い状況では、本音のブレーキが甘くなる。いつもより、ほんの少し踏み込んだ発言でケンカになったりするものだ。

ところが、今回のチームはそんなことはなくて。トラブル続きの状況でも衝突しなかった。初日に大きなアクシデントがあって、普通なら険悪な空気に包まれるところ。でも、いまのチームメンバーは、打開策を出し合い実行する力があって。一つひとつし課題をつぶして、スケジュールの遅れを挽回した。

ほんとにいいチームだと思う。問題を解決するたびに、デザインがよくなりゴールに近づいていく。それは、とても嬉しい反面淋しさもある。プロジェクトがゴールするときは、チームの解散日でもあるから。

記憶に残らない仕事もあれば、思い出に残る仕事もある。今回のプロジェクトは間違いなく後者だろう。

現場入り2日目。一段落したあと、空が白んでいく中で食べたカップヌードル。あぁ、うまいと漏れたひとことに、「CMみたいなシーンだね」とみんなで笑いあった。冷たい空気の中に広がる湯気をカメラで撮った。

ばえる写真とはいえない、なんだかよくわからないショット。ビアジョッキみたいにカップで乾杯した場面。いい写真だね、とスマホの画面をみんなで覗き込んだ。

お気に入りボタンを押してカメラロールに大事にしまっておこう。プロジェクトの打ち上げでみんなに見せれば、「あぁ、ありましたね」と大変だった1月の記憶がいい思い出に変わるはずだ。


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