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妻の小言はコロンボがごとく

コロンボ、知ってます?

ピーターフォークの代表作、テレドラマ「古畑任三郎」シリーズにも影響を与えた倒叙ミステリーの名作です。

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画像引用元:https://www9.nhk.or.jp/kaigai/columbo/about

冒頭から犯人がわかっていて、コロンボが鋭い観察眼と粘り強い捜査で犯人を追いつめていく。コロンボが決定的な証拠を見つけ、どうやって犯人に自白させるかが一番の見どころ。

で、コロンボ警部の得意技の一つが “去りぎわの質問” です。例えば犯人が友人を殺害した話だとします。犯人も関係者への尋問に刑事が来るのは分かってるから心の準備はできてるんですね。最初は友が殺害されたやるせない友人を演じるわけです。ひととおりの質問が終わると、コロンボはいっけん事件に関係ないどうでもよい質問を何度も何度もするんです。

次第に犯人がイライラしてきて「約束があってそろそろ家出ないと…」と逃げにかかる。あぁ、お忙しいのにどうもスイマセンなんて言いながら犯人の部屋を出るコロンボ。犯人が、ふぅと息をついて安心した瞬間、ドアを開けてコロンボが戻ってきます。
「さっきあなたが言ったこと、ほかのお友だちから聞いたはなしと違うんですよね。不思議だなぁ…… お友だちが勘違いしてるのかなぁ」と頭をかきながら部屋を出る。オレはお前をうたがっているぞ、と暗に伝えてるんですね。

あと、相手のアポを取らず突然現れる “不意打ち” もコロンボの十八番。たとえば、犯人が映画俳優だったら、撮影現場に急に現れるんです。しかも、撮影直前にやって来て「1分で終わりますから」と犯人が嫌がる質問をする。そのあと、じゃ撮影がんばってくださいと言って、遠巻きに犯人の演技を見ている。犯人としては気が気じゃない。この真綿で首を締めるような尋問が犯人を追い詰めていくんです。

いや、なんで急にコロンボのはなしを始めたかというと、似てるなと思ったんですよ。妻の小言のいいかたが、コロンボに。

子供たちが寝てから自分が横になるまでの数時間、一日のなかで一番リラックスするときですよね。妻と二人でテレビを見たり、お互いがスマホいじりながら別のことしたり、仕事の愚痴を聞きあったり。過ごし方は様々ですがその日の疲れをリセットする大切な時間です。

日によるんですが、うちは妻が先に寝ることが多い。で、たまに11時くらいに「そろそろ寝よっかな」というときがある。「おっ、きょうは早いね」なんていいながら、ぼくは頭の中で一人時間の過ごしかたを考えはじめます。録画した番組見よっかな… note書こうかな…… ビールにポテチとキメちゃおっかな!?とかとか。多分、顔もにやけてる。階段をあがって寝室に向かう妻に「おやすみ~」といつもより優しく声をかけるわけです。

ふぅ、と息をつき、やっぱりポテチ&ビールだなとソファから立ち上がった瞬間……「そういえば今朝、茶碗が違う場所に入ってたよ。なんど言っても間違えるよね」リビングの戸を半分開けて寝室から舞い戻った妻が言うわけです。

それ、いま言う必要あるの??

さっきまで緩んでた顔が一気に硬直ですよ。出鼻をくじかれたというか、まさにコロンボに睨まれた犯人の気分。逆のパターンで、朝いちアポなし小言というのもあってですね。僕が先に起きていて、妻が寝室からリビングに降りてくる場面。戸を開けた瞬間「昨日ちくわ(ペットの犬)のトイレシート代えてなかったよ」とおはようより前に言うんです。

気持ちは分かりますよ(いや、分かってないかな…)。言おうと思って忘れてたことを寝る直前に思い出したとか、代えてないシートを見て朝イチに言わなきゃと前の晩に思う気持ちは分かる。でも、そのタイミイングじゃなくても良くない??と思うわけです。コロンボに追い詰められる犯人の気持ちを追体験なんてしたくない。

朝いち小言は、おはようを先に言おうねと話し合った結果なくなりました。けれど、妻の小言は相変わらず多い。ぼくが悪かったり、「あれ? まだご飯美味しいな、て聞いてないけど??」みたいな小言とはいえないものも多いけど。妻曰く「小言をいわれるうちが華だよ。いわれなくなったら淋しいよぉ」そんなこというけどホントですかね??
まぁ、そんな気もしないわけではないけれど…… コロンボのマネはしないで欲しいな。



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