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文章は自分そのもの

2020年の12月、フリーランス向けウェブメディア『Workship MAGAZINE』で始まった連載が今週最終回を迎えました。

デザイナーにとって避けては通れない、「デザインの言語化」をテーマにした記事。当初、3回までというお話しで開始したこの企画も、18回を数える長期連載となりました。途中、連載の更新頻度は下がりましたが、その間も書籍化に向け原稿を書いていたので、「デザインの言語化」という言葉で頭の中がいっぱいになる2年半でした。

連載中大変だったこと

「締め切り」が苦手と気づいたのは、連載継続が決まった第3回が公開された前後だったと思います。初めは無我夢中で書いていたから気づかなかったのでしょう。ぼくは兼業ライターなので記事の更新も月イチにさせてもらい、ひとつの記事にたっぷり時間をかけることができました。

でも、記事が公開され、編集者と相談し次回のテーマが決まった瞬間に新しい締め切りが生まれます。頭の片隅にいつも「締め切り」という言葉が漂っていました。まだひとつも夏休みの宿題をやっていない8月1日みたいな感覚です。まだ時間はあるし焦ることはない。でも、やり始めないといつ終わるのか見当もつかず落ち着かない、そんな感じです。

なので、ぼくはテーマが決まってから10日以内に原稿を書き上げることにしました。残りの20日間は推敲やデザイン画を描く時間に充てることにしたんです。そうすることで、月の2/3は落ち着いて時間を過ごせる。プレッシャーから解放される時間が必要だったのでしょう。だから、複数の締め切りを持ちながら執筆しているライターの方を見ると、自分には絶対にできないなぁ、と思ってしまいます。

連載をして良かったこと

色々ありますが、一番はプロの編集者に文章を添削してもらえたことです。ひとりで書いていると気づかないのですが、文章には癖があるもので。ぼくの場合は、主語と述語を離すクセがありました。完璧にはなおってないのですが、以前に比べるとだいぶ良くなった気がします。その他にも、読点の打ち方や漢字の開き方など、参考になることが多くとても勉強になりました。

あと、第一線で活躍しているデザイナーとの対談はとても大きな経験になりました。この連載がなければ、お二人と対面で話すチャンスはなかったと思います。記事本文は濃密に圧縮されてますが、実際の対談時間はとても長く、デザイナーとして学びの多い宝ものみたいな時間でした。こんな対談ができることを駆け出しデザイナーだった昔の自分が知ったら、飛び上がって驚くと思います。そもそも、書くことがキライだった自分がnoteに毎週投稿してることを知ったら、もっと驚くでしょうね。


文章は自分の中からしか出てこない

当たりまえのことですが、文章って自分の中からしか出てこないんですよね。自分の経験以上のことは伝えられない。120%、150%と盛られた言葉は読み手には届きません。しかも100%伝えきれたら、きっとそれは奇跡みたいなもの。普通は90%だったり80%が限界で、残りは文章からこぼれてしまいます。足しもしないし引きもしない、100%ありのままを伝える難しさと向き合った2年半だった気がします。

ようやくすべての締め切りから解放され、晴ればれとした気持ちになるのかと思いきや、そんなことはありませんでした。キラキラした夏休みが終わってしまった淋しさの方が強いです。宿題締め切りは気が重いけど、それ以上に素晴らしい時間を過ごせた夏休み連載期間。二度と来ないかもしれないまばゆい思い出を、大事にだいじにしまっておきたいと思います。



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