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誰かに届かなくても、創作を続ける意味がある

───エッセイ

真夏の日差しが、車内空調を突き抜けて背中を刺す電車に乗りながら、スマホでnoteのスローガンを眺めていた。

つくる、つながる、とどける

そして「つながる」の四文字がいつにも増してこころに響く。

作る、造る、創る

世の中には、色んな “つくる” があって。みんな誰かのためにつくられたりしてる。

ご飯を作るのは食べてもらうため
家を造るのは住む人のため

でも、“創る” だけはちょっと特別で。誰かの為というよりも「とどけ!」という思いを込めてつくるもの。でもその日は、届かなくてもいいんじゃないの?  と思ってしまった。

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今週末、創作で繋がる仲間たちが集まる場があった。あぁ、懐かしいなと思う。初めて会うのに初めましてじゃない感覚。

ぼくはそのあと用事があって、僅か90分の滞在だったけど。最初の3分で来て良かったと思った。乾杯のあと、テーブルの一番端に座っていたぼくは、食べ物に手をつけずグラス片手にぼーと皆のことを見ていた。

遠くの人たちが、なにを話してるかは聞こえないけど、マスク越しにも分かる笑顔とハッピーな雰囲気が伝わってくる。

この光景を見てるだけでお酒が呑めますね、とぼくが言うと同じテーブルの人たちが頷いてくれた。

どうして創作を続けているのですか?

そんな質問をされたら、創作者の数だけ違う答えがあるのだけど。あの場所で聞かれたら、多分全員が声を揃えて答えた気がする。

「こんな瞬間があるから、創作をやめられないんです」

つながる為に創る ── じゃないな。創り続けてたからつながれる、かもしれない。「つくりつづける」とスマホで入力すると、「作り続ける」か「造り続ける」しか変換候補に出てこない。

たしかに、「創り続ける」という言葉は見慣れない字面だ。それだけ、創作を続けるということは難しいんだと思う。

でも、多少ブランクが開いたって、たとえ一年や二年ぶりだとしても。創作活動に戻れたら、「創り続けてきた」と言っていいと思うんだ。

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創作者である以上、つくったものが多くの人に届いて欲しいし、誰かの心に深く残って欲しいと願うもの。ただ、「とどく」だけじゃ創作は続けられなくて。だって、インターネットもない無人島で、黙々と書いた原稿と引き換えに月給50万円貰っても続かないでしょ?

でも、「つながる」があれば続けられる。創作する仲間がいるから続けられるんです、そんなセリフが自然と口から出てくるような、「創作していて良かったぁ」と思える幸せな週末だった。


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