連れ去り国賠判決を読んでみる!

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朝から気になる情報あり、

先週傍聴した件、判決が公開されたので読んでみる!


請求棄却との報道だけではピンとこなかった画期的な認定がなされているようだった!

10pの認定事実部分も重要な気がする。

(1)諸外国の法制度等
ア ドイツには、策略等によって18歳未満の者を親の一方から引き離した者に刑事罰を科するとの規定があり(同国警報235条1項1号)、かかる規定は、一方の親が他方の親の配慮権や面会交流権を侵害して子を引き離した場合にも適用されると解されている(甲A12)。
 同国には、親権の行使に係る父母の意見が一致しない場合、裁判所にその決定をゆだねるとの規定がある(甲A20)。
イ フランスには、尊属が親権者等から未成年の子を奪取したときは刑事罰を科するとの規定があり(同国刑法227-7条)、かかる規定は、共同親権者の一方が他方のもとから子を奪取した場合にも適用されることがある(甲A10,13,17)。
 同国には、ドイツと同様、親権の行使に係る父母の意見が一致しない場合、裁判所にその決定をゆだねるとの規定がある(甲A17,20)。
ウ イギリスには、16歳未満の児童と一定の関係性を有するものが、児童に対して権限を有する者全員の同意なくまたは裁判所の許可なく、児童をイギリス国外に連れ去ったときは、刑事罰を科するとの規定がある(同国児童奪取法1条。甲A14)。
エ カナダやアメリカには、両親が親権又は監護権を共同で有する場合において、一方の親が他方の親の同意を得ないで子を連れ去ったときは刑事罰を科するとの規定がある(甲A15)。

親権の行使に係る父母の意見が一致しない場合、裁判所にその決定をゆだねるとの規定が諸外国にはある=共同親権制の要という点の認定も実は大事

こうした規定が、日本には存在しないため、ゆえに、婚姻中共同親権の幻がここで明らかに!

日本の条約批准状況とか、国内での議論状況の認定なんかもいいね!

そうやって、連れ去り規制規定が刑事的にも民事的にも「ない」ことを認定していく

そして、注目したいのがここ

ウ 親権の行使に係る手続規定

 民法その他の民事法において、親権行使に係る父母の意見が一致しない場合の手続(子を連れ去られた場合における事後処理のための手続を含む。)を定める明文の規定はない。そして、子の監護者指定の調停・審判制度や子の引渡しの調停・審判制度が上記の手続規定に当たるとはいえない。
 そうすると、原告らが主張する親権行使に係る手続規定が存在するとはいえない。
 これに対し、被告は、親権行使に係る父母の意見が一致しない場合の手続規定の制定によって子の連れ去りを防ぎ得るわけではないから、かかる規定は、子の連れ去りを防ぐ手続規定に当たらないと主張する。しかし、諸外国の法制度には、子の連れ去りを違法とした上で、親権行使に係る父母の意見が一致しない場合の手続規定が設けられているものがあるところ(認定事実(1))、子の連れ去りが行われるケースには、親権行使に係る父母の意見が一致しないことを背景とするものも含まれているのであり、かかる手続規定の制定によって子の連れ去りを一切防ぎ得ないとまで断ずることはできない。

共同親権訴訟においても解明してきたことは、この要たる父母の意見が一致しない場合の手続規定がないゆえに、婚姻外の共同親権に限定している状況を解消できないという二段階問題があること

立法不作為は認めたが・・・

親権が憲法上保障されるか否かという検討を経て、「親権が、憲法上保障された基本的人権であると解することはできない」としている

その理由としてはこちら

親権は、本来的には、親権者に対して子の利益となる監護及び教育を行わせるという、いわば利他的な行為を要求し、その中で、監護及び教育の内容等について一定程度の裁量を与えたものにすぎないといえ、・・・その営みが親権者自身の自己実現にも資するものであって、単なる機械的な利他行為にとどまらないという点を考慮したとしても、憲法上の他の人権とは性質を異にするものといわざるを得ない。

「親権」を通すことで逃げ道を見つけた!!


親権が人権とは言わない


2023年の最初の国賠判決だが、今年は、春にもすでに判決期日が指定されている

自然的親子権

そして

養育権

父母の意見が一致しない場合の手続規定の欠損については、何も、連れ去り問題に集約されず、様々あることを含め、共同親権訴訟では問題提起されている

親権を人権と設定することを最初からしないことで、親権の土台となる親の権利にフォーカスすると、人権ではないとは言いにくくなるだろう

そして、注目したい点は、平等論

エ 原告らは、子を連れ去られた親は権利①~⑤を行使し得ず、子を連れ去った親のみが権利①~⑤を行使し得るから、本件立法不作為は憲法14条1項に違反することが明白であるとも主張するようである。
 しかし、憲法14条1項は、事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づくものでない限り、法的な差別的取り扱いをすることを禁止する趣旨と解すべきである(最高裁・・・)。子を連れ去られたとしても、その時点における法的地位には何ら影響がなく、権利①~⑤を法的に主張又は行使し得なくなるわけではないから、子を連れ去った親との間で法的な差別的取扱いがされているということはできない。
 そうすると、本件立法不作為が憲法14条1項に違反するということはできない。

20p 法的な差別的取り扱いでなければ平等原則違反にならない

ここの点も、すでに、共同親権訴訟では、被告国との議論においてさえ、踏み込んでいる

民法818条3項は、父母が婚姻しているか否かで、単独親権か共同親権かという法的な取り扱いを区別しているのである

夢が膨らんでいく、判決を読ませていただいた

2023年3月2日 結審予定


2023年!ついに!!共同親権!!!


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弁護士古賀礼子
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