見出し画像

シングルマザーの実像

早々に苦言の報道となりついていけない

官民一斉のタイミングで養育費の件が前進していて,何かあったのだろうか?きっと共同親権にもうなるからなんじゃないか,という気もしてきたところに,一挙に話題が進んでいる

こんな形で,ひとり親家庭のためになることをしていると思うなよ,と言いたくなる

底なしの困窮状況に溺れているのだ

藁にもすがりたいところに,藁だけ投げて,済むわけがないだろう

共同親権弁護士としては,わが子を思って必死に生きている親御さんたちにたくさん会ってきた

会えないわが子のためにできる子育てを模索し,愛するわが子の健やかな成長を願い,全力を尽くす形にとどまらない

わが子のために,自ら慣れもしない調停を本人で申立てをして,調停委員とその先にいる他方親,ついでに弁護士と1人やりあって,養育費を回収していこうとする母たちというのもまた多く見てきた

離婚事件に付随して養育費を協議する場合は,離婚事件を中心として弁護士に依頼することはあり,法テラスを利用することもありうるが,離婚後,養育費の問題だけを扱うときに果たして法テラスを利用するか,費用面が支障になり,結局弁護士に依頼することなく,自身で挑むことがあるのである

もっと大変なのは,未婚の場合だ

良い関係にあって,子を授かったはいいが,無事に生まれるまでの間に男女の別れとなり,婚姻に至らないことが決定したときは,離婚と同じように養育費が必要な状況は変わらないのに,いざ,養育費を回収するために,もうひと手間を要することがある

妊娠を知らずして別れてしまって行方もわからないとなれば,一層ハードルが高くなる

文字通りシングルマザーを意味する未婚の母の養育費受給率は1割にもとどかない

2割という表現が飛び交っているが,意味のない数字だということがわかる

調停を経て養育費を取り決めた場合の受給率は7割と言われているのである

養育費未払い問題の対策の第一は取り決めをすることにある

未婚の場合,その取り決めの機会の確保自体が難しくなる

妊娠期のどのタイミングで別れることになったかによるかもしれない

初期なら,自覚もなく,逃げ得を招きやすい・・・議論としては,堕胎の申し出があるかもしれないし,それが嫌で協議を回避してしまうことになれば,結局逃げ得を許すことになる

臨月期に協議ができるならば,堕胎の議論を封じ,これから生まれることの実感を伴うかもしれない・・・にしても,臨月の妊婦にとっては,そんなことより,無事に出産すること,出産後の暮らしにこそ関心を持つだろうから,結局,養育費の議論が後回しになることはある

無事生まれてみなければ,法的手段を何も取れないのだ

強制認知も胎児の頃にはない

万が一死産となれば,そもそも養育費は発生しない

いざ,無事に出産を乗り越えたとして,いよいよ養育費の問題が本格的になるものの,産褥期は安静に過ごしたい妊婦が新生児との新しい生活も始まる中で,どこで養育費の協議を開始できるというのだろうか

養育費の請求は,調停申立時までしか遡れない

調停申立には,子どもの戸籍が必要だから出生届の提出を待つことになる

そのとき,誕生後も認知がなければ子の戸籍の父欄は空欄のままである

この空欄を埋めなければ,養育費の請求ができないから,強制認知の手続きをまずしなければならなくなる

ここまで書きながら,いかに苛酷か改めて想像してしまった

だが,それをやってのける母は実在する

シングルマザー向け法律相談をすると,未婚の母の相談があり,もう男女として別れることは受け入れているし,夫婦ではなかったのに,財産分与のようなこともないので,論点は養育費だけになるからか,相談事項は養育費に絞られる

他方,離婚を考える子育て世代向けの講演などしたときの手応えは,いかに経済条件を整え,あわよくば,養育費に頼らない暮らしができるかに関心が偏っていたように感じられる

離婚後の手当の情報や,経済的自立のための仕事との両立計画だったり

養育費問題の実態が見えてくる

決して,養育費を払わない別居親の人格の問題にとどまらないということがわかる

想像するだけで苛酷な養育費請求手続を産後間もなく,乳児を抱えながらやってのける母はいる

弁護士の依頼も考えるにしても,それにしても法律相談を重ねて,依頼をして,調停に共に出頭してとなると,やはり苛酷なことには変わりがない

すでに離婚して,取り決めたはずの養育費が減額や支払いの停止になったという事情で,弁護士費用をたとえ法テラスを利用しても用意できないというとき,やはり自分で挑む母もいる

養育費は子どもの権利だから,子どものために,母は立ち上がるのである

一方で,子どもへの愛情よりも元夫への恐怖が上回るようなときは,そういう行動自体を躊躇してしまう

養育費は子どもの権利という言葉が呪いに聞こえるようになる

子どもの権利なのに,適切に行使できない自分は親として失格なのではないかと責めるのである

シングルマザーの実像はもっと語られなければならない

そこを置き去りにした養育費徴収強化策だけの先行は,結局,共同親権化策にすぎないということになる

今まで,連れ去りを目をつぶってきたのと同じように養育費支払いの逃げ得にも目をつぶってきた

そこを許さないということになれば,連れ去りも許されなくなっていく

いよいよ共同親権へと一層進んでいくのである

親子に優しい世界に向かって,日々発信しています☆ サポートいただけると励みになります!!いただいたサポートは,恩送りとして,さらに強化した知恵と工夫のお届けに役立たせていただきます!