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法制審議会家族法制部会第21回会議議事録2~石綿幹事・北村参考人・水野委員・原田委員

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みんな集まれ~共同親権訴訟

議事録を読んでいこう!

○石綿幹事

 幹事の石綿でございます。貴重な御報告、どうもありがとうございました。本日の御報告ではチルドレン・ファーストという視点を提示してくださいまして、また、提出資料の4では、民間法制審の御提案の特徴として、条約との整合性や諸外国の家族法との親和性ということを挙げていらっしゃいますが、これらの観点から、大きくは二つのことに関して、そして、細かくは4点、質問、意見の提示をさせていただければと思います。
 まず、第1が、提出資料の4にもありますが、児童虐待事案等により親権が喪失、剥奪されたような場合においても、監視付きの面会交流を実施するという記載があるように思います。参考資料6ですと107から108ページがそのような考え方に基づいて記載されているように思います。例えば、諸外国の例、私は全ての国は分かりませんが、研究対象であるフランスなどでは、2019年、2020年にDV等に関する法改正が行われていて、両親の一方が他方に対する暴力を行っていて刑事訴追されていたり、有罪判決を受けている、あるいは虐待をしているというような場合には、親権の行使や面会交流を制限するという方向の改正も行われていたりもします。そのような視点から見ると、御提案にあるような、児童虐待がある、更に父母と子との交流で子の生命身体に重大な被害が発生するおそれがある場合にも監視付きの面会交流をするというのは、外国法と、少なくともフランス法とは親和性があるのだろうかという疑問を持ちました。
 御質問させていただきたいことは二つで、一つは、なぜこのような場合にも面会交流をする必要があるとお考えなのか、これが本当に子の利益になるのかということです。もう一つは、児童相談所における面会交流というのが、子の身体生命を保護するための十分な機能を有するということなのかということでございます。
 大きく分けて二つ目のことは、資料5の5ページ、御提案でいうと766条の10項に関してということになります。今日の御報告でも、共同監護計画というのが重要だということだったかと思いますが、現在の御提案ですと、共同監護計画の策定や遵守を拒んだときには親権喪失の審判の請求ができるとされています。この点に関して二つ質問でして、一つは。
○北村参考人 石綿幹事、すみません、1点ずつのやり取りでもよろしいですか。二つ目の御質問に移っておられるので。
○大村部会長 まず、一つ目の、監視下での面会交流の話についてお答えいただいて、それから、石綿幹事、二つ目は手短にお願いいたします。では、北村参考人、お願いいたします。

石綿幹事からまず質問 質疑応答によって理解が深まる

○北村参考人

 今の問題ですけれども、監視下の面会交流というのは、監視下にあってお子さんに暴行を振るうという、監視下にあってもそういうことを振るうおそれがあるケースが本当にあるのであれば、それはそれに対処するべきだと思います。しかしながら、一般的には、面会交流の監視システムというのは、正に子に危害を加えることを防止するための制度ですから、そのために機能することを前提に制度設計しています。しかし、それが機能しないというような場合がもしあるのであれば、おっしゃったとおり、その場合には更に制限すべきだと我々も考えています。
○石綿幹事 分かりました。ありがとうございます。
○大村部会長 では、2問目どうぞ。

面会交流監視システムって何よ、のための問題提起に思う

○石綿幹事

 2問目は、共同監護計画の策定や遵守を拒んだときに、そのことのみで直ちに親権喪失の事由になるという前提でいらっしゃるのか、あるいは、それは親権を有していることが子の利益に反するかどうかということを判断していく際の一考慮要素になるのにすぎないのかという点が気になりましたので、御教示いただければと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。それでは北村参考人、お願いいたします。
○北村参考人 監護計画に従ったことをしないというのは、これは基本的には子の利益を考えていない親ということになろうかと思います。ただ、もちろんそれについて正当な理由があるかどうかが当然、その判断の中に含まれるだろうと思います。なので、正当な理由がある、あるいは、やややむを得ない理由がある、様々なケースはあると思いますので、原則的には、全く守る意思がない、つまり、計画は作って離婚したけれども、それを守る意思が全くないというのは、子の利益に著しく反すると思いますので、その場合には基本的には、いろいろなケースがあるにしても、基本的には親権喪失の理由になると考えています。そのことが、親権を喪失したくない親にとって監護計画を守る大きな動機付けになるだろうと考えているというところでございます。
○石綿幹事 ありがとうございました。
○大村部会長 ありがとうございました。
 それでは、その他の方、もしいらっしゃれば、お願いを致します。

共同監護計画策定遵守が大事

○水野委員

 委員の水野と申します。御報告どうもありがとうございました。お時間を取ってはいけないので、なるべく肝腎のところだけ絞ってお伺いしたいと思います。
 資料6の144ページでしたでしょうか、親権喪失でなければDVがあっても面会交流をと書いてあります。そして、共同監護契約を離婚のときには結ばせて、契約で縛るという御提案であるように伺いました。それから、民間法制審のメンバーなのですが、家族法学者が入っていらっしゃらないようにお見受けしました。そして、フランス人も入っていらっしゃるのですけれども、フランスとの対比はなさったのでしょうか。この制度を考えるときには、今の石綿幹事のお話にもありましたけれども、フランスと日本の背景になっている事情が大きく違っていることを考慮して考えなくてはならないと思います。例えば、親権喪失でなければと144ページには書いてありますけれども、日本の親権喪失はまだ年間2桁しかありません。親権停止がやっと3桁に入るぐらいです。婚姻中からこどもに対してよろしくない育て方をしている親はたくさんいるわけですが、フランスの場合ですと大体年間10万件近い親権制限判決が出ております。この割合ですと、人口比でいいますと、日本の場合では約20万件ぐらいに及ぶような親権制限判決が出ていてしかるべきということになります。しかし、日本ではそれが、先ほど申し上げたようなごく例外的なケースしか行われておりません。そういう前提で考えたときに親権喪失という除外は非常に危ないと私は危惧いたします。
 それから、御提案は共同監護契約という契約で縛るという御提案ですけれども。
○北村参考人 すみません、1点ずつ御質問とお答えにしていただいてもよろしいですか。
○大村部会長 それでは、まず今の質問について、お願いいたします。
○北村参考人 今おっしゃった、親権喪失制度自体が日本では余り機能していないのではないか、つまり、本来だったらもっとたくさんあってしかるべきではないかという御質問だと思います。我々も同じような認識を持っています。これは、こういう見方をしております。共同親権の制度になりますと、双方が相手が本当に親としてふさわしいかということに大変関心を強く持ちますので、離婚後の共同親権ということになりますと、恐らく実際に親権を持つにふさわしくない親がフランスのように多くいた場合には、双方の親がお互いを監視するということになりますので、親権喪失について申立てが増えるということが考えられます。そのようなことでもって、不適切な事例について正に親権喪失が現実に機能するような社会状況、あるいは裁判状況、運用状況になっていくのではないのかと理解をしております。今のところはそういうお答えでよろしいでしょうか。

単独親権制だから、親権喪失がうまく機能していないのよね

○水野委員

 ありがとうございました。もう一つの質問は、今のお答えと少し重なって、更に展開するように思うのですが、共同監護計画を立てると計画をしておられます。北村先生はもちろんよく御存じと思いますけれども、最高裁の平成29年12月5日判例がございまして、これは家庭裁判所で離婚時に父親を親権者にする合意をして離婚をしたのですが、すぐに母親が親権者の変更を家裁に申し立て、そして家裁で審理中に父親が親権者として母親に対して引渡し請求をしたという事例です。原審は家裁で審理中という理由で却下したのですが、最高裁はこの父親の請求を却下せずに、入れた上で、権利濫用だとして結果として封じた判決です。そして、この事件は、2歳で母親がこどもを連れて別れて、7歳になっているケースでしたけれども、離婚時に父親に親権を与え、かつ、そのことについて一切文句を言わないという契約をしております。実際に2歳の子を連れて逃げる母親がなぜそういう合意をしてしまったのかなのですが、やはりどうしても離婚をしたいと思っている当事者が当事者間で合意を作ることになりますと、そういうことも行ってしまいます。ですから、紛争性の高い当事者間で、かつ当事者の一人が必死で離婚を希望している状況下では。
○大村部会長 水野委員、少しかいつまんでお願いします。
○水野委員 はい。そういう場合に健全な共同監護契約が立てられるとは思えないのですが、その点についてはいかがでしょうか。
○北村参考人 おっしゃるとおりだと思います。そういった極端な高葛藤の事例において話合いが難しいことは、当然あると思います。そういった例外的なケースではADRの活用を、まず、考えております。そのADRの活用をするに際しても、自分が当事者として出ていくのは非常にはばかられるというようなケースもおありでしょうから、そういうケースでは正に例外的に、費用を払ってでも弁護士が関与して、かつADRを利用して、共同監護計画を作っていくということが想定されると理解しております。
○大村部会長 ありがとうございました。
 あと4人ほど手が挙がっていて、今、赤石委員から手が挙がったので、5人ということになります。質問される方は、手短にお聞きになりたいことをまとめておっしゃっていただきたいと思います。

ADRで解決だね

○原田委員

 弁護士の原田です。今日はありがとうございました。今日の資料の改正案のところの民法752条についてですけれども、ここで規定されている類型の中で、夫婦の一方がこどもを置いて出ていったという場合が記載されていないのですが、その場合はどうなるのでしょうかというのが1点です。
○北村参考人 夫婦の一方がこどもを置いて出ていったケースですね。その場合には、まず暫定的な共同監護計画を作るべきだと考えています。つまり、そのケースはまだ離婚前ということになりますので、離婚前に別居が生じているわけなので、その場合には暫定的な共同監護計画を作ると。作るのが難しければ、先ほど申し上げたようにADRを活用するなどの方法を我々は考えています。
○原田委員 でも、その場合、その方はこどもと一緒にいたいとか、こどもと面会したいとかいう意思がなければ、それを作る意欲もないでしょうし、それで過料の制裁をされても、親権喪失されても、別に痛手はないと考えるのではないでしょうか。
○北村参考人 それは、こどもと接しなくても痛くもかゆくもないという極めて例外的な親のことをおっしゃっていますね。
○原田委員 それが例外的かどうかは、今までのいろいろ出てきた資料の中で、私は例外とは考えていないのですが、でも、どちらでも構いません。
○北村参考人 我々はそれは極めて例外的なケースだと思っていますが、確かにそういう親もいますね、子に関心がない、そういう方がおられると。そういうケースでは、実際上の実務では様々なことが考えられると思います。これは言うべきではないかもしれませんが、共同監護計画を形式的には作るが、片方は全く守らない、それを見て、片方はそのまま放置して、実際上は自分が一人で養育していくことになるケースもあるでしょうし、これはよくないということで、相手について親権喪失の審判の申立てをするというケースもあろうかと思います。
○原田委員 分かりました、ありがとうございます。
 それから、先ほどの親権喪失についてですけれども、今回の資料では、現在の民法の親権喪失の規定はそのまま残した上で、共同監護計画を作らないとか、それを実行しない人も更に親権喪失の要件に当てはまるようにするということで理解していいですか。
○北村参考人 はい、そのように理解しております。
○原田委員 そうすると、その二つはパラレルといいますか、監護計画を作らないとか、それを守らない人は、現在の民法で規定されている、子に虐待をしたりとか、不適切な養育をするような事例と同様に評価するということですか。
○北村参考人 同様に評価しております。
○原田委員 それにもかかわらず、例えば資料6の107ページでは、そのような人を監護者にすることを認めたりする規定があるのですが、それは少し危ないのではないですか。
○北村参考人 同等と申し上げたのは、親権喪失すべき者かどうかという意味では同等という意味です。共同監護計画を作らないとか、あるいはこれを守らないというのは、実は、言い方は悪いかもしれませんが、自分のエゴでもってこどもを囲い込もうとするなどのケースですから、それに対して親権喪失の制裁があれば、これはもう妥協せざるを得ないわけです、自分が子と接したい以上は。そうすると、共同監護計画を作ってこどもを双方で育てるという状況に行かざるを得ませんので、そういう方が結果として親権者として監護を分担するということは十分にあり得ることだと思っています。
○原田委員 すみません、最後にもう1点だけ。基本的にお父さん、お母さんはこどもが大好きで、こどももお父さん、お母さんが大好きという前提でお話が全部進んでいるのですけれども、そうでない、大嫌いな親に強制的に会わせられることもあるということや、この規定の中でも、親権を放棄するとかいう方がいるということを前提に、しかしそれは認めない、厳しい要件でやると書かれているのですが、そういう親権放棄が認められなかった親御さんが、面会交流でこどもに対して、僕は愛されているのだという感情とか自己肯定感を増すような面会ができるのでしょうか。
○北村参考人 どういうケースを想定されるか今一つ分からないのですが、仮に子に対する愛情が全然ない親のことを今おっしゃっていますか。
○原田委員 いえ、親権放棄をするという親がいることは認めていらっしゃるでしょう、この条文で。
○北村参考人 はい。
○原田委員 でも、それは認めないと、あるいは要件を厳格にすると書いてありますよね。
○北村参考人 はい。
○原田委員 でも、そういう親御さんがこどもと面会交流をしたとき、こどもに対して、ああ、私は親から愛されているのだとか、自分の自己肯定感を増すような面会交流ができるのでしょうかという質問です。
○大村部会長 すみません、今日は北村参考人と委員の方で議論をしていただくという場ではないので、原田委員の御意見は御意見として伺い、御質問はここまでということにさせていただきたいと思います。ほかにも質問の方はたくさんいらっしゃいますので、原田委員も北村参考人も、すみませんがそれで御了承いただきまして、先に進ませていただきたいと思います。
○原田委員 御回答がなかったのですが。
○大村部会長 今のやり取りでよろしいのではないかと思いますが、何か北村参考人の方でもし一言付け加えることがあれば、それを伺って先に進みたいと思います。よろしいですか、何かありますか。
○北村参考人 いや、結構です。
○原田委員 分かりました。

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