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法制審議会家族法制部会第15会会議議事録2~棚村委員・大山委員・落合委員・小粥委員

 毎日が #共同親権day  ってことになった

昨日、記者会見報道

与党が頼もしい

議事録を読んでいこう

○棚村委員 


早稲田大学、棚村です。普通養子の縁組の成立要件のところでの家裁の許可ですけれども、前にもちょっとお話ししましたように、許可基準と考慮事項とはかなり連動してくる問題ではないかと思っています。つまり、具体的に家裁が何をどういうふうにチェックするかということで、子どもの利益とか福祉をどういうふうに守っていくかということにも関連してくるので、私も、基本的には未成年養子に対しては、家裁が何らかの形で関与するということは望ましいと思っています。
 ただ、考慮要素とか考慮事項で、一般的に、例えば縁組の動機とか目的、家庭状況とか、親としての適格性とか、具体的なファクターを挙げるということは重要だと思いますし、賛成ですけれども、家裁がどこまで何を見るかということも重要です。そのときに、家裁は積極的に未成年の子の福祉とか利益を増進するという観点からチェックをするのか、それとも消極的に養子縁組に子の利益に反する点がないかどうかを審査するのか。たとえば、特別養子縁組のときの審査や判断というのは、特別養子を認めることが積極的な子の福祉とか子の利益になるかどうかというチェックになると思います。そこで、もし普通未成年養子縁組というのを併存させておくとすると、その利用の実態も目的もかなり多様化しているので、私は、連れ子養子については、何らかのチェックをした方がいいのではないかと思っています。つまり、6万とか7万ある養子縁組で、成年養子が大体3分の2で、3分の1ぐらい未成年養子なんですけれども、未成年養子の3分の2か4分の3近くが、実は連れ子養子になっていると言われています。そういう数のことを考えると、養子縁組が積極的にというよりは、むしろ消極的に、子どもの利益にならないような事態が起こらないかどうかということをチェックするという考え方になると、多少件数は多くても、家裁の負担とかいろいろな形での対応は十分に可能ではないかと考えます。
 私が一番気になっているのは、孫養子なんですけれども、これも一定数あって、子の養育を目的としなかったり、節税みたいな場合もあれば、家やお墓を継がせるとか、非常に古い考え方で行われるようなものがあります。その辺りのところをどうやって具体的にチェックするのか、調査官の調査を入れるなどしても、どこまで実態や目的を客観的に把握できるか、家裁の方の対応としても、何をどうチェックするのが難しくないかが懸念されます。確かに、私としては、基本的には③に賛成なのですけれども、最終的には許可の基準みたいなものを、積極的な子供の利益を増進していくと考えるのか、それとも消極的に子どもの不利益にならないということをチェックするのかで、大分違ってこないかなということで、少し考えているところです。
 それから、共同縁組については、夫婦の共同にしていくのか、同意という関わりにしていくのかとか、そういう議論があるとは思いますけれども、実態やニーズの多様性を考えるとある意味では共同縁組という形も取れるし、それから他方の同意みたいな形で個別にもできるとかという選択は残しておいてよいのではないか。言い換えると、実態に応じて、ケースごとに柔軟に対応できるような規律にしてよいのではないか。子どもの養育ということが目的であれば、共同でするということが望ましい場合が多いように思いますが、他方で、子どもの年齢や意向、発達の程度や段階とかいろいろな事情によって、共同性の強さみたいなものが少し変わってくるのではないかとも思われます。
 それから、代諾のときの年齢についてですけれども、これも、15歳というものを下げるということについて、私たちの日本家族〈社会と法〉学会では、検討したときに12歳というような案が出ました。これについてもやはり賛否両論があって、かなり大きな効果を持つものなので、12歳という年齢で本当に、子ども自らきちっとした判断ができるのかという問題が出されたり、それから、遺言とか、氏の変更の許可とか、いろいろなことの年齢にも影響が出てくるので、この辺りは少し慎重に検討する必要があるのかなとも思われます。佐野幹事が今おっしゃったように、許可をする際にも、お子さんの意向とか心情というのは非常に重要なキーワードになってくるので、誰がどういうふうな形で子の意向・心情を聞き取ってくるか、確認するかという問題はもちろんあるんですけれども、やはりお子さんのための仕組みということを考えると、武田委員もおっしゃっていましたけれども、お子さんの思いや意思ができる限り尊重され反映されるということはとても大事なことだろうと思っています。
 次いで、父母の関与のところですけれども、これも、佐野幹事のご意見と同じでして、実質的な関与をして協力をしている人の意見を尊重したり、あるいはそのような親の関与なしに行われるというのは問題だと思うのですが、無関心であるとか関わりをほとんど持とうとしていない人についてまで、果たして養子縁組に関与させなければならないかは、かなり疑問です。交流もなく関心ももっていない親にも、何らかの形で対応しなければいけないということになると、嫌がらせ、不当な介入とか干渉みたいな可能性が出てくるので、この辺りも、子どもにとってどういう役割を果たしている父母なのかという中身を見る必要があって、特に子どもとの関係性について、一定の要件を求めることが妥当ではないかと思います。たとえば、ほかの国でも、子への関心・継続的な接触交流などを重視していますので、親であれば関与が当たり前だということよりは、親としてどういう関与をしている人について、あるいは親でなくても、第三者の方でも実質的に関与しておられる方については、意向とか御意見を聞くということは当然出てくる可能性あると思います。
 以上のように、現状では、特別養子と普通未成年養子という二頭立て、両制度の併存ということの中でいくと、許可というのは、できれば未成年養子についての子どもの利益を確保する上で家裁の関与が必要だと思っています。もっとも、家裁の負担の問題もあるし、考慮事項と許可の基準というものを具体的にどう捉えるかということによって、家裁が何をすべきかということの期待というのも変わってくると思いますので、この辺りは引き続き慎重に検討する必要があると思います。年齢についても、非常に悩ましいところなのですけれども、子どもの意向とか子どもの心情を重視すべきだというところでは基本的に賛成です。しかし、私自身、学界では比較的低い年齢の12歳ぐらいとか10歳でも子どもの意向は尊重すべきだということでは賛成したいのですけれども、ただ、制度として、同意を求めることになるのか、自分で決められるというところまで踏み込んで自己決定権まで認めるとなると、15歳という現行を維持すべきか、それとも、もっと下げるかということについては、子どもに拒否権を与えるみたいな形になる場合には、父母の間の板ばさみや忠誠葛藤にさせないような配慮も必要になるので、少し慎重に考える必要があるのかと思います。内閣府の世論調査なんかを見ましても、15歳ぐらいだと大体4割ぐらいが判断できるのではないかということで、12歳も15%ちょっとあるようです。このようなところや先進諸国での取り組みなどを少し参考にして、考慮すべき子どもの心情とかそういうものは広く取って、子どもが決められるという自己決定の年齢については、やはり少し慎重に考えた方がいいのかなという感じです。
○大村部会長 ありがとうございます。棚村委員からは、大きく分けて3点かと思って伺いました。一つは許可の要否について、基準と連動して考える必要があるということを御指摘になり、その場合の基準として、積極的に子の利益を図るという方向と消極的に子の不利益を除くという方向とがあるけれども、後者で考えるべきではないかという御指摘を頂きました。さらにパターンごとに、連れ子養子についてはどうか、孫養子はどうかといった点についての御意見も頂戴いたしました。
  それから2番目に、代諾縁組と7の父母の関与につきましては、基本的には佐野幹事と同方向の御意見を頂いたと理解をいたしました。
  最後に3番目に、3、4、5についてもそれぞれ留意点を御指摘いただいたと理解いたしました。ありがとうございます。

養子制度の見直しは学界では答えが出ているのかもね


○大山委員


 経団連の大山でございます。ありがとうございます。今、棚村委員から出された御意見と近い意見を申し述べさせていただきます。
 未成年養子縁組の許可の要否につきましては、考慮要素や基準に直結する問題であると思っております。そういった中で、私もやはり、家裁が積極的に関与して判断をするというよりは、子の福祉や利益といったところに反する行為を防ぐ観点から、ネガティブチェックを行う程度の関与に抑えるのが妥当ではないかと思います。そう考えますと、家裁の関与を前提にする場合、家裁側の負担はもちろん、需要者側が手続を行う上での負担も抑えられるのではないかと思います。そのような手続を前提に、案③<何かしら家裁が関与する>が妥当ではないかと考えております。
 ただ、その中でも、配偶者の直系の連れ子養子の場合について、例えばDVの形跡があるとか、何か問題があるといったときに家裁の許可が下りなかった場合に、そもそもその新しい再婚が成立するのかといった問題をどう考えるか。また、家裁の許可が出なかったときに、その子どもはどうなってしまうのかなどについても考える必要があり、是非具体的な事例もございましたら、教えていただきたいと思った次第でございます。
 それから、孫養子のところについて、先ほど御指摘がございましたが、仮に、例えば家名の存続でしたりとか、それから相続税の問題といったようなことであったとしても、それはそれで、いろいろ家族の在り方に対する考え方も多様化しているということを前提に、仮に相続をして、その子どもの経済的なところの利益があるんであれば、それはいいのではないかと個人的には考えるわけで、そういったところを、何かすごくネガティブに捉える必要はないのではないかと思います。
 それから、少し飛びまして、父母の関与のところでございますけれども、やはりこれも、先ほど来お話が出ているとおり、それまで関係をきちんと維持してきたようなケースについては認めるべきとは思いますけれども、そうではない、今まで何のコミュニケーションも関心も示さなかったような場合などについてまで、こちらから積極的に何か通知なりを行うことにより、あえて新たな紛争を招くような可能性、寝た子を起こすようなことをするべきではないのかなと感じております。
 さらに、冒頭、武田委員からお話ございましたところについて、例えば、親講座みたいなものといったところですね、これも1巡目の議論のときもちょっとお話しさせていただいたと思いますけれども、そういった親講座的なものは大変重要と思っております。ただ、どのタイミングで行うのか、もちろん1回ではなくて、いろいろなタイミングでやるということでもいいのかもしれないんですが、やはり何か紛争といいますか、離婚なりが現実味を帯びてきた段階だけではなくて、その再婚をする段階とか、再婚届というか結婚届を出す段階とか、そういったときも、いい祝福されるべき局面ではあるものの、やはり冷静に今後想定され得る課題とか、そういったところも含めて、親となる者にはきちんと情報提供していくと、そして、きちんと今後想定される課題について、やはり親としての責任、そういったものを感じていただきながら、きちんと親としての責任を果たしていただくことについて、継続的に発信を行っていくことが重要と思います。
○大村部会長 ありがとうございます。大山委員から3点御指摘を頂いたかと思います。判断基準については、棚村委員のお考え方と基本的には同方向であるということを前提にして、連れ子の場合に許可しないとどうなるのかを考えておく必要があるだろう、孫養子は、それ自体は悪いわけではないという御意見を頂きました。
 2番目に、父母の関与については、これも佐野幹事や棚村委員と同様に、これまでの経緯に鑑みて、状況に応じて関与を考える必要がある、関与しようとしない人を無理に関与させる必要はないのではないかという御意見を頂きました。
 3番目に、冒頭で武田委員がおっしゃったことでもありますけれども、新たに養子縁組によって親になる人についても、いわゆる親講座のようなものが必要ではないかという御意見だったかと思います。

ネガティブチェックが大事


○落合委員


 京都大学の落合です。今まで御意見出たことと、かなり共通する点が多いんですけれども、特にはっきり意見を言いたいところということでは、代諾を許すかどうかということの、子どもの年齢の引下げというような話ですが、私は、基本的には引き下げた方がいいと思っています。12歳ぐらいというのが適当かもしれないと。ただ、本当に判断をさせていい年齢なのかという現実的な問題もあるわけですから、家裁の関与ということで、そこでよく意見を聞くということで、本人の意思を確認する役割を果たすということでもよいとは思います。
 先ほど、子どもが拒否権を持つのでよいのかというお話があったんですけれども、私は、子どもには拒否権を与えないといけないと思うんですよね。嫌だと思っている人の子どもにさせられるということは、やはり年齢が低くても嫌なのではないでしょうか。ですから、うまくそれを説明できないにしても、嫌だと思っているんだったら、あえて養子にしないという、そのぐらい尊重してもいいんではないかと思うんですね。親になられてしまうと大きな権限を持たれてしまいますので、子どもが直観ででも嫌だと意思表示をしたときには、しないというのはいかがでしょうか
 ただし、そうすると、養子にしなかった場合に、連れ子というか、新しい配偶者の連れ子に対して何の責任も生じないというのも、またおかしいのではないかと思っていまして、私、前にも何度か言ったんですけれども、養子にしない場合でも、配偶者の連れ子に対して養育責任があるとか、そういうことを別の場所で規定するべきではないかと思うんです。今ですと、養子になったかどうかで、新たに同居する大人との関係が随分と変わってしまいますね。でも、同居している場合はとか、あるいは結婚した相手に連れ子がいる場合は、そこにある程度の養育責任は生じるというようなことを、どこかに書き込むのが自然なのではないかなと考えております。
○大村部会長 ありがとうございます。落合委員から2点、関連する御指摘を頂きました。一つは代諾についてで、年齢を下げるという方向で考えたいけれども、しかし、それに問題があれば、家裁関与の中で処理するということでてもよいという2段構えの御意見。そして、子どもが最終的に養子になるのが嫌だということであれば、それを尊重する方向で考えるべきであって、その場合には、継親子の間の法的な効果を強化するということも考えるべきではないかという御指摘だったかと思います。ありがとうございます。

子どもの拒否権発動したら、かえって養育環境としてどうだろうか

○小粥委員

 委員の小粥でございます。申し上げたいこと、細かいことですが二つであります。
 一つ目は、代諾のことです。民法の先生方には、これは改めて申し上げる必要がないことかもしれませんけれども、代諾については、起草過程で梅謙次郎がこれに消極的な立場であったことから、明治民法の立法の時にも議論があったところで、今の落合先生の提起された問題に関しても、入口の段階で問題を解消するのではなくて、養子が一定の年齢になった後に解約をするというような考え方もあり得るということが、論じられていたかと思います。なので、選択肢を検討するに際しては、明治民法のかつての議論なども振り返ってみるに値するのではないかという気がいたします。それが第1点でございます。
 それから、二つ目ですけれども、私も方向性として、家庭裁判所の関与を養子縁組の成立に際しても広げていくというようなことは、必要なことではないかという感じもするわけですが、仮に家裁の関与を広げていくといった場合に、実質的な判断基準の構築が難しいとか、あるいは家裁の負担が増えるというような理由で、家裁の関与について消極的な方向に早めの段階で結論が出てしまうことを若干危惧して、以下のようなことを申し上げたいわけでございます。というのは、実質的に、ネガティブリストを挙げておいてやるとか、あるいは、もっと総合的に家裁が判断するということ、できればそれが望ましいと私も思いますけれども、そうでなくても、例えば養親になる者に対して、親になるというのはどういうことなのかということを、例えば宣誓のような形で手続の中で言ってもらうと。それに一定の法的効果を結び付けることができれば、更によいとは思いますけれども、でも、家裁の手続の中で、何らかの形で親になるというのはどういうことなのかということをしっかり理解してもらった上で、養親になってもらうということも考えられるので、家裁の関与の在り方というのは、いろいろな関与の在り方があり得るということを考慮しつつ、早い段階で選択肢から落とさないということを希望するというのが2点目でございます。
○大村部会長 ありがとうございます。小粥委員からは2点御指摘を頂きました。1点目は、代諾について、養子縁組が成立した後に、一定の年齢に達した子どもに解約権を認めるといった選択肢もあり得るのではないか、それも含めて検討すべきではないかという御指摘。2点目は、家裁の許可に方向性としては賛成であるけれども、様々な理由で難しいということであれば、養親に情報を与えた上で、親となるということについての一定の意思表示をしてもらうといったことも含めて考える必要があるのではないかという御指摘を頂きました。ありがとうございます。

例えば面会交流は遵守する、とかの宣言も効果的 実際の運用としては取り入れ可能

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