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法制審議会家族法制部会第37回会議議事録読む4~戒能委員・佐野幹事・石綿幹事・武田委員

居所指定は共同親権で

親子交流周知始まる?!

公開されているパブコメみてー

連れ去りもDV

被害者支援も頼ってみよう

両論併記は?

別姓父母の共同親権へ

要綱案賛成多数で採択されたところで各メンツがコメントするっていう続きから

議事録読もう

○戒能委員

 ありがとうございます。委員の戒能です。2点あります。
 第1点目は、特別法と民法の関係ということです。2001年にDV防止法が特別法として制定されて、20年余り運用が続いております。確認したい点です。DV防止法の制度設計は、民法の第752条には、同居協力扶助義務というのが規定されておりますが、生命身体の危険の防止、安全を守るということで、保護命令制度を作り、それから一時保護制度を作っているということは、逃げるということを制度設計の大前提としております。そのことによって被害者及びこどもの安全・安心を守るという制度設計になっていて、その考え方の下に20年間運用が続けられてきたわけです。
 今回の民法改正によって、急迫の事情のこともありますし、居所指定の問題が非常に大きくて、子連れ別居が違法であるという判断が行われないとは限らないということになります。ここは非常に重要な点で、なぜDV防止法を制定し、20年間運用が継続し、そのことによってようやくDV被害者の安全・安心、こどもも含めて守られてきたと、そこは今回の民法改正によっても揺るがないのだ、変わらないのだということの確認をきちんとすべきだと考えております。そうしなければ、これはDV防止法を議員立法として制定し、継続して運用してきたことの意味はどうなってしまうのかという、非常に大きな制度設計上の問題です。それが1点目です。
 それから、2点目は、既に御指摘もありましたように、審議のやり方の問題かもしれません。言うまでもなく、紛争解決の基準としての法の機能についての検討が十分であったかどうかということを考えるべきだと思っております。それで、今後も、紛争は現在でもあるわけですし、その紛争が激化する、深刻化するということが予測されます。そういうことを考えてあらかじめ、例えば何かの規定によってこういう状況が想定されるということが考えられるならば、どういうふうに対応するのかということを、市民生活に多大の影響を与え、子の福祉、子の利益を左右するような法規定になっておりますので、審議の過程では十分に審議をすべきであったと、今後こういう機会がありましたら、十分その辺りは留意して審議をしていただかないと、市民への影響が大きすぎるということを申し上げたいということです。
 以上、2点でございます。ありがとうございました。
○大村部会長 ありがとうございます。戒能委員から2点の御意見を頂戴いたしました。

DV防止法が20年でDVが減っていない、失敗の法案だったていう評価もあるよね

○佐野幹事

 幹事の佐野です。弁護士委員、幹事3名を代表して申し上げます。
 今回、要綱が取りまとめられ、これが今後、条文の形にまとめられ、国会で審議されていくことになります。要綱の条文化の際、この部会の中で特に慎重に議論が重ねられた幾つかの論点、文言につきましては、ニュアンスも含め丁寧に反映していただきたいと思います。例えば、第2の2(1)キは、その前段で共同親権、単独親権いずれをも原則とすることなく総合的に判断するものとした上で、しかし、共同親権が不適切なケースにおいて、万が一にもそれが選択されないようにという趣旨で、①、②の場合には単独親権としなければならないという強い表現で記載されているものと理解しております。そして、こうした前段と後段の関係が誤解なく伝わるように、接続詞として、この場合においてという文言が選択されたという経緯があります。この条文化に当たりましては、こういった慎重な議論の結果をしっかり反映して形にしていただき、併せて正確に御説明いただきたいというのが1点です。
 次に、この要綱案に沿った立法がなされ、施行がされた場合には、法改正がもたらす社会の激変というものに仕事柄いや応なく巻き込まれる立場にある者として、この法改正を導入する国、社会の責任について述べさせていただきます。附帯決議にも表れておりますけれども、この部会で議論された理念の実現に当たっては、民法を改正すれば足りるものではなく、これを取り巻く環境整備が極めて重要であることは部会でも共通理解であったかと思います。要綱案に沿った立法が施行されれば、協議離婚時、父母は離婚後の親権、監護の在り方を様々な態様の中からこどもの利益に即して適切に選択していくことを余儀なくされることになります。それが適切でなければ、父母の高葛藤状態に長期間さらされて不利益を被るのは結局こどもです。そうさせないことが正に国、社会の責任ですので、立法までに離婚する父母に対する正確な情報提供や相談、合意形成支援などの体制整備について、各省庁の壁を越えて進められることを期待します。
 特に、第1の1(1)の子の人格の尊重に、子の意見等を考慮することも含まれるとするのであれば、親に意見を尊重してもらいたいと希望するこども自身に対する法的支援の充実も必要になってくると思います。そのために総合法律支援法の改正も含めた検討が必要になるものと思われます。
 また、親権の共同行使例外事由中、子の利益のため急迫の事情があるときの解釈について、部会では、DV、虐待があった後、一定の準備期間を経て子連れ別居を開始する場合も含まれ得るという理解が共有されたものの、この理解の周知が徹底されなければDV、虐待被害者の加害者からの逃避を萎縮させることにもつながりかねません。そのようなことがないよう、正確な解釈について、関係各省庁においては繰り返し周知、広報をしていただきたいと思います。さらに、改めて言うまでもなく、既に構築されている税制社会保障制度におけるひとり親支援については、離婚後共同親権・監護権の導入により、結果、こどもに不利益が生じるということは問題外ですので、この点も関係各省庁において調整いただく必要があります。
 最後に、これが我々にとって最も切実なのですが、今回の要綱案では離婚後共同親権下、共同行使すべき事項について父母間で協議が調わない際の決定は、全て家庭裁判所の判断に委ねられることになっています。子に関わる判断には迅速性が決定的に重要となりますけれども、裁判官が常駐していない支部が203裁判所支部中44支部あり、また、家裁調査官の増員も僅かにとどまっているため、本当にこの制度の運用ができるのかと不安、懸念が非常に強いところです。家庭裁判所の人的、物的体制の強化を行うとともに、そのための財源が確保されることが、この要綱案に基づく法改正、運用の必要条件であることは強く指摘しておきたいと思います。
 ここをゴールとするのではなくて、新しい制度に一歩踏み出すものとして、今後課題として残された点を含め、施行後の検証、見直しも視野に入れて、こどもにとってどういった社会が望ましいのか問い続けていくということが重要であり、国、社会の責任ではないかと思います。この部会に参加しておられた皆様に、この機会に感謝を申し上げます。
○大村部会長 ありがとうございます。佐野幹事からは、弁護士委員3人の代表ということで、3点ないし4点にわたって御意見を頂戴いたしました。

やっぱり、児童扶養手当利権なの?ってツッコミいれられかねない
裕福な親に育てられるのであれば、行政の手当の必要は後退する
親教育等に行政が力をいれてほしい

○石綿幹事

 幹事の石綿です。3点申し述べさせていただければと思います。
 1点目は、少し大きな話ですが、本日冒頭部分で落合委員が、親子関係の成立等々も含めて検討することが必要ではないかという御発言を受けてのものということになります。今回、第1の1(1)で、親の責務のようなことが明示されたということになります。従前の解釈、運用を明示したということではありますが、そのようなことが明示されるということに、社会の受け止めは大きいだろうという御指摘があったかと思います。この部会ではどちらかと申しますと、親であり続けたい、親権者であり続けたいという方々の間を念頭に置いた議論がなされていましたが、他方で困難な状況を抱えて、こどもを育てることが大変だといったような方もいらっしゃるので、そのような方を支援するというところはもちろんですが、法的に、例えば民法の方で、親であることをやめるという手段があるのか、あるいは、そもそも親子関係の成立の段階で親にならないという選択肢があり得るのか、あるいは、現状は親権の辞任という規定は入っておりますが、それほど運用されていないというような指摘もあるところでありますので、親権者であることをやめるというようなこともあり得るのかといったようなことも含めて、親子法あるいは親権法全体についての議論をする機会というのがあればよいと思いますし、一研究者としてその点、研究を進めていきたい、いく必要があろうと思っております。
 2点目は、法定養育費に関連してということですが、少し議論の中で、養子縁組をした際に法定養育費が消滅するのかどうなのかといったような話があったかと記憶をしております。ある者が扶養義務を負う、親である限り扶養義務は負うのだということが当然の前提としてこの部会では共有されていると思いますし、また従前からの理解だと思いますが、扶養義務があるということと、その者に対して請求権があるのか、特に監護費用分担として請求権が立つのかというのは、また別の話なのだと思います。この辺りは必ずしもこの部会で解釈を詰められていないところかと思いますが、今後、親子間の問題のみならず扶養の全体像も含めて、解釈を詰めていく必要があろうと考えております。
 3点目は、さすがにくどいと言われるかもしれませんが、父母が共同して親権を行使すべき場合に、しかし共同してしなかった、その際にその行為の効力がどうなるのかということ、あるいは、その行為を受けた第三者、例えば学校なり医療機関などが典型例だと思いますが、その第三者が何らかの責任を負うのかという問題についての検討というのは必要不可欠なのではないかと思います。現行第825条というものが一応は準備されておりますが、それで必ずしも全ての場面がカバーされるわけではないと思っておりますので、ここはこれも今後、検討を進めていきたいと思いますし、特に事務当局におかれては、通例であれば何らかの一問一答等の解釈指針を示すものを作られるかと思いますので、その中で御検討いただければと思います。なお、個人的には第825条で悪意というキーワードが出ておりますので、第三者の悪意というのは、これらのことを考えていく際の一つのキーワードになっていくのかなとは考えております。
○大村部会長 ありがとうございます。石綿幹事からは、3点にわたって御意見を頂戴いたしました。

研究者の立場から
あ、要は、戒能委員は反対派の立場から、だったのか

○武田委員

 親子ネット、武田でございます。長期にわたる御議論、本当にありがとうございました。1点は戒能委員へのお願いと、もう1点は、今後の施行に当たってという点に関して意見を述べさせていただければと思います。
 戒能委員からDV防止法の制定当時からのお話も触れていただきました。私は2022年、恐らく1月だったと記憶しておりますが、先般のDV防止法の改正に際して内閣府に参考人として呼んでいただきました。恐らく戒能委員も当日いらっしゃったと思うのですが、そのとき私が正に、戒能委員が触れていただきました「被害者が逃げることを前提としていること、被害者がなぜ逃げ続けなければいけないのか」、「加害者を近付けない形の運用にできないのか」という御提案を差し上げました。残念ながらこのような改定には今般のDV防止法改正では至らなかったと理解をしております。今後また、何年後か分かりませんけれども、DV防止法の改正の中で恐らく同様の議論が出てくるかと思います。この部会において、長くDV防止法に取り組んでこられた戒能委員には是非、逃げることを前提とすることを止め、被害者が逃げるのではなく加害者を近づけない制度にしていくための御意見をお願いしたいというのが1点、お願いでございます。
 2点目です。今後、法制審の総会を経て、国会での与党プロセス、閣議決定がなされれば、国会での審議に入っていくものと理解をしております。当然のことながら、法案の成立後という話になりますけれども、棚村委員も今日、運用支援が重要ということ、ほかの先生方もおっしゃっていただいたと思っています。私は今回の改正で裁判所の考え方が大きく変わる要素が含まれているものと理解をしております。つまり、何を申し上げたいかといいますと、是非法務省さんには今後、法案が通って施行までの間、この内容で即施行とか早々の施行というのはないだろうと個人的に思っておりますが、施行までの間、是非家庭裁判所の裁判官、書記官、調査官の皆様、調停委員の皆様含めて、今回の改正の趣旨、目的を踏まえ、大変な労力を掛ける話になるとは思いますが、きちんと改正の趣旨が正確に徹底されるように、是非引き続き御協力をお願いしたいということを最後に申し上げたいと思います。以上です。
○大村部会長 ありがとうございました。武田委員からは、2点にわたって御要望ないし御意見を頂戴いたしました。

裁判所、変わるかね~

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