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法制審議会家族法制部会第20回会議議事録3~落合委員・窪田委員・赤石委員・今津幹事

共同親権時代幕開けを感じる

議事録公開更新が続く

○大村部会長 ありがとうございます。沖野委員からは、基本的にはその前の石綿幹事と同方向の御意見を頂いたと思っておりますけれども、2点少し異なる点があったかと思って伺いました。一つは、部会資料20-1に赤石委員、戒能委員御指摘の点を書き込むというのには反対であるけれども、補足説明について一定程度書くということについては必ずしも反対しないということだったかと思います。それからもう1点は、審議の経緯についての御指摘があったと理解を致しました。前回の会合において出された案について、表現の手直しをするということで今日に至ったということからすると、表現の見直しが適切にできているということであればそれで取りまとめるというのが、従来の経緯からいって望ましいのではないかという御指摘だったかと思います。

取りまとめよう!モード

○落合委員

 京都大学の落合でございます。私もこの部会資料20-1の全体像につきましては、もうほぼ合意のできていたものなので、これで進めるのがよいであろうと考えております。分かりやすくするための加筆の部分も非常に適切で、これでお願いできたらと思います。
 ただ、それに加えまして、先ほどの赤石委員ほかの皆様から出された御意見というのは、非常に重要だと思っております。私は、それは部会資料20-1に書き込みたいと思うのです。ですから、その意見を申したいと思いました。
 法学の方から見ると、諮問された内容をはみ出ているとか、少し非常識な提案だと思われるのかもしれないですけれども、法学者だけで法制をどう変えるかということを今まで議論してきた、この体制がやはり不思議ではないかと思うのです。私は今回、法学者ではないのにここに入れていただいて、大変有り難く、うれしく思っております。しかし、それが何かすごく例外的な扱いで、感謝しなければいけないことなのかというと、率直に申しまして、どうしてこんな大事な法改正というようなことを法学、内在的な視点だけで今まで決めてきたのかということに、むしろ疑問を持ちます。
 法と社会ということがありますよね。法は社会の中にあり、社会を作る一部なわけです。ですから、今までもいろいろ、よいと思う法律を作ったけれども、それがうまく機能しなかった、それを作ったときにどういう効果があるかということの配慮が不十分だったのでしょうね。それを防ぐというような手立てがないまま、皆さんの善意を信じて、これはよいように使われると思って作った法律があったと思います。労働法などで少し例があると思いますけれども、特に申しませんけれども。私は、ここで考えていることが、理想的なことを打ち出そうとして、それが本当に皆さんの善意で、十分な配慮をもって実施されれば、よいことなのだけれども、それがうまくいかないためにとんでもない結果をもたらしてしまうということが起こりそうだと思って、危惧を持っております。
 ですから、法律を変えるということだけについても、それ以外の様々な配慮が必要だということを書き込むことが必要なのではないでしょうか。外側のことではなくて、この法律を作ることが影響していくことなのですよね。それがなければ、きちんとこの法改正の実というものは実現できないということだと思うのです。ですから、むしろこの中に書いてしまう、(前注3)というのを付けるというのが私もいいのではないかと思うのです、目立つところに、そういうふうな形ではっきり示したいと思います。
 今までの会議の中で、私も何度も社会保障制度との関係のことなどを申しましたけれども、重要ですよねということで大体収められてきたのです。それを誰が本当に配慮してくれるのでしょうか。やはりここに書いていなければ、どこでも扱われないのではないでしょうか。ですから、私はやはりここの中にしっかり書くべきだと思います。それは外在的なことを入れるというようなことではないと思います。
 もう一つあるのですけれども、この中間試案を出しまして、パブリック・コメントを頂きますよね。その後の進め方について伺っていないように思うのです。省庁横断的な協力体制が必要だということでしたら、例えばその辺りで何かそういう検討の機会ができるように段取りを考えていらっしゃいますでしょうか。例えば、こども家庭庁というようなものもできましたよね。あちらは横につなぐということがどうもお仕事のようですけれども、その辺りとこの法改正についてはどのような相談をされているのでしょうか。ほかの省庁とどのようなすり合わせをされているのか、それから、パブリック・コメントの後、ほかの省庁とどのように共同で検討を進めるような機会を作るのかというような辺りの計画を、法務省の方から伺いたいと思っております。
○大村部会長 ありがとうございます。2点あったかと思いますが、後の方の今後の審議のスケジュール等につきましては、また後で改めて事務当局の方から御説明を頂きたいと思っております。その中で可能な範囲で、今の落合委員の御質問にも応答を頂ければと思っております。それから、1点目については、結論としては赤石委員、戒能委員と同様に、(前注)を加えるべきだという御意見として承ることにさせていただきたいと思います。
 それから、法律家以外が法制審の部会に入っていなかったというのは、これは事実として少し正確ではありませんので、大変失礼ですけれども、この場で補足の説明をさせていただきたいと思います。これまでの法制審の部会にも法律家以外の委員、幹事が参加しているという例はございます。ただ、今回たくさんの方が参加しているというところが多少違うところであると申し上げておきたいと思います。
○落合委員 失礼しました。ありがとうございます。

法律家以外のメンバーについて

○窪田委員

 神戸大学の窪田でございます。(前注3)に入れることについて、一つ、私自身の理解は、先ほど沖野委員から御発言があったのと全く同様のものということになります。法律家的なということになるのかもしれませんが、法律家というよりは制度の仕組みとして、諮問されたことに対して答えるということで考えました。
 その上で、(前注3)ということの議論が私自身にはよく分からないところがあります。一般論として、こうした家族法制の見直しについては様々な他の制度からの支援を必要とするものだし、そうしたものの連携が求められるという一般論は、よく分かります。また、非常に大事なことだとも思います。ただ、(前注3)で他の制度と関わりがあるというようなことを書くのだったら、これはもう補足説明のレベルにしかならないのかなと思います。
 一方で、以下の中間試案を実現するためにはこれこれのこういう仕組みが必要だというところまで書き込んだ場合には、この場で権限がないことについて、こういうふうな仕組みが必要だということを書き込むことになりますし、それを前提としてパブリック・コメントをするということ自体が、むしろ余り適当ではないのではないかという気がしています。
 ですから、先ほどから(前注3)に入れるという御発言がありましたが、(前注3)として具体的にどういうものをイメージされているのかというのを、少しお聞きできれば有り難いと思いました。
○大村部会長 ありがとうございます。窪田委員からは、現在の中間試案の案にあります(前注)の性質をどう考えるのかということについての御指摘があったと理解しました。試案の(前注)ということで現在のものが付いておりまして、(前注1)については、この後の審議の中で用語を見直すということがこの部会の中であり得るだろうということ、あるいは(前注2)では、配偶者間の暴力や虐待等の事案について適切に対応するような配慮をこの部会の中で考えていく必要があるのではないかということで、それぞれ(前注)1、2が付いています。これに対して、一方で希望を述べるだけであるとすると(前注)に書く意味はないし、他方で何を議論するべきかを具体的に書くというのは、この部会のミッションとの関係で適切ではないという御指摘だったのだろうと思いますけれども、もし赤石委員、戒能委員、あるいはほかの方々から、今の点につきまして何か御意見がありましたら、少し伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

法律家VS非法律家ってなってる?

○赤石委員

 少しこなれていないかもしれないのですけれども、私どもの意見というのは二つの部分になっていたかと思います。最初の法律援助部分ですね、こちらにつきましては、いろいろな各場面で必要なところで、援助が必要な場合にはみたいな、ほかでも何かなかったですかね、なので、書き込める余地はないかなと思っております。これは法務省、民事局のところだけは少し難しいのだろうと思いますけれども、私は養育費の検討会、あれは法務大臣の諮問機関でよかったですかね、で話し合ったときには、確か法律援助のところの部門についても審議事項になっており、あそこの結果をもってこの法制審議会に議論が引き継がれたと認識しているのですが、よろしいでしょうか。だとすれば当然、その法律援助の部門については書いてよいのかなとは思っております。
 もう一つ、各省庁の横断的な部分について(前注)に書くというのはなかなか、私のような門外漢でも難しいのかもしれないというぐらいの想像力はございます。ですと、それはある程度、法務省の中、あるいは各省、今、厚生労働省と内閣府は御参加いただいているのだと思うのですけれども、そのほかの省庁とも御相談いただきながら、回答を頂けるようにした上で、補足資料に次に書き込むことを御検討いただけるとよいのかなというふうな気持ちがしておりますが、少し意見が違ったら、意見書を出した方、補足でお願いいたします。
○大村部会長 ありがとうございます。赤石委員の今の御発言の趣旨は、出されている資料のうち1と2という項目があって、1と2では今回のこの部会での中心的な審議事項との距離が少し違っているという御指摘だったのではないかと思います。2の方の取扱いが仮に難しいとしても、1についてはもう少し積極的な態度があり得るのではないかという御指摘として承りました。ありがとうございます。
 もしほかの方々も何かありましたら、適宜の機会に御発言を頂ければと思います。今津幹事から手が挙がっていますので、今津幹事にお願いをしたいと思います。

距離あるよー

○今津幹事

 幹事の今津でございます。2点ありまして、中間試案の内容に関しましては、私は今回お出しいただいた形で取りまとめることに賛成をしたいと思っております。一見すると甲、乙とかA、Bといろいろな案が出ていて、分かりにくいというような御指摘も従来あったかと思うのですけれども、ただ、いろいろな御意見をお持ちの方がいらっしゃる分野ですので、パブリック・コメントに付すという場面で、このような形で多様な意見をすくい上げることができるような形でお示しするということは、正に適切ではないかと思っております。今回取りまとめるという方向には賛成したいと思っております。
 もう1点、直前にお話があった点と関連しますけれども、社会保障等、あるいは税制に関する記述を置くかどうかという点については、私自身は中間試案の、つまり部会資料20-1の中に入れるという形では書くべきではないのかなと思っておりました。直前に窪田委員から御指摘がありましたように、仮に(前注3)というような形で置いてしまうと、その位置付けというか意味合いが曖昧になるのではないかというような感想を私も持っております。(前注)の1、2の場合は、そこで扱われている内容ですね、立案に関しての注意書きという、正にそういう趣旨のものだと思うのですけれども、この段階で、例えば税制について、あるいは社会保障についての変更というのを今後やっていかないといけないというような決意表明のような形で書いてしまうと、その税制なり社会保障体制が変わることが今回提案している内容にどういうふうに影響してくるのかというのがやや見えづらいと。例えば、社会保障を充実させるから養育費の支払確保の手段はもう講じなくていいと、そういうような御趣旨ではなく、恐らく反対の御趣旨だと思いますので、社会保障は社会保障できちんとやると、それとは別に法制の見直しもやるという意味であれば、目立つ位置に置きたいという御趣旨は非常に理解できるのですけれども、(前注)という形で置くのはやや適切ではないのかなという印象を持ちました。
 そうであれば、補足説明の一番最後の場所ということで、少しあれなのですけれども、「第8 その他所要の措置」というところに、そういった方向の改正も必要であるというような形で一言書くというような程度が適当かなという印象を持っております。
○大村部会長 ありがとうございます。今津幹事から御意見を頂きましたが、基本的な線は先ほどの沖野委員の御指摘と同じ線で、(前注)の扱いについては窪田委員の御意見を踏まえてということだったかと思います。

法律家のお立場から
こうやって、取りまとめに向かったんだねー

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