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法制審議会家族法制部会第27回会議議事録読む2~赤石委員・池田委員・小粥委員・棚村委員・原田委員

不当判決に対する控訴理由書公開

議事録読んでいきます

○赤石委員 

ありがとうございます。私が前回、婚姻時の共同親権と離婚後の共同親権では在り方が異なるはずである、なぜなら民法に定まっている婚姻時の同居義務及び協力義務がない場合にどのように規律するのか、違うはずであるという話をしたときに、いろいろな御意見を頂きました。その中で小粥委員が、何らかの規律が必要である、例えば相手の人格の尊重とか、共同親権に関わる部分での双方の協力義務というのを定めたらどうかということと、それが成り立たなくなったら、それは単独親権に戻すということになるとおっしゃったように思うのですが、私の理解で合っていますでしょうか。
 そのときに、すぐにはなかなか反応できなかったのですけれども、今やはり別居後のいろいろなアビューズがとても激しくなっていて、この共同親権を定めたときに、共同親権を求める側の方たちは熱心に言われている方が一部にいらして、この方たちの中にどうしてもDVの疑いがあるような方が共同親権を獲得する、紛れ込んでしまう可能性がこの法整備の中に絶対に出てきてしまう。でも、私たちはそれは望んでいないので、そこを何らかの規制をしなければいけないときに、小粥委員がおっしゃっていたようなことがうまく機能するのかなと思ったわけです。
 ポスト・セパレーション・アビューズというのは、各国でもいろいろな論文があるそうなのですけれども、別居後のいろいろな虐待ですね、やはり別れた後でのそういった虐待行為とかが増えるというのは、いろいろなところで研究がありますし、逃げようとしているときにも一番その暴力があるわけですので、何らかの御提案の規律というのがあることによってそこが切り離せるのであれば、あるべきなのではないかと思いました。
 私自身もネット上ではいろいろな誹謗中傷に毎日さらされておりますが、気の弱い私はやはり発言を自粛しようと思うこともある、毎日でございます。一人のこどもを抱えた孤立しているお母さんがこのようなアビューズに遭ったときに、主張し続けるというのは非常に難しいところでございますので、やはり何らかの規律というのを設けるべきなのではないかと思いました。真摯な合意がない、真摯な合意というところに更にその規律があるべきであると思った次第です。
○大村部会長 ありがとうございました。今、赤石委員の方から大きく分けて2点について御発言がありましたけれども、少しここまでのところを整理させていただきたいと思います。窪田委員のお答えに対応する赤石委員の最初の御発言については後にさせていただいて、池田委員の御発言、子の引渡しの判断基準の問題については、御意見をいただいたということで、後でそれを議論する場面でまた御発言いただくという受け止めでよろしいでしょうか。

夫婦関係調整諸規定のこと?

○池田委員

 この後、これに関する何か議論があり得ると。
○大村部会長 今日ここでということではなくて、子の引渡しについて、親権の所在ということだけで考えるべきではないという御意見を頂いたということで、それについては、子の引渡しが問題となる場面で、そのような意見があったということを踏まえて、更に御議論いただくということでよろしいでしょうか。
○池田委員 はい。
○大村部会長 それから、赤石委員からの2番目の点、小粥委員に対する御質問という形になっておりましたけれども、私の理解では小粥委員の前回の御発言は、婚姻中と離婚後で父母の間の関係についてどのような理念が存在するのかということについて、後者についてその理念を定める規定がないのだとしたら、これを書き込む必要があるのではないかという趣旨の御発言だったのかと思って伺いました。赤石委員の御質問は、そのこととは別に、共同行使に伴うデメリット、弊害があるだろうから、それについてきちんとした規律が必要だということだったと理解しました。そうだとすると、小粥委員の御発言と必ずしも両立しないわけではないように思って伺ったのですが、私の理解が適切でないかもしれませんので、小粥委員の方から何か補足があれば、御発言を頂きたいと思います。

池田委員に同調する赤石委員の構造

○小粥委員

 委員の小粥でございます。前回の私の発言は、部会長のおっしゃるような趣旨で申したわけで、何らかの規律を設けることを検討したらいいのではないかということでありました。仮に何らかの規定を設けたとして、サンクションとして私が例示したことはございますけれども、それは直ちに石綿幹事から、そうでないような規律も考えられるというような御発言もありました。ですので、赤石委員がおっしゃるようなことについて私の申し上げたことというのは、私がお返事できるようなことではないような気がいたします。
○大村部会長 赤石委員が小粥委員の御発言を踏まえておっしゃったことは、もっともな御意見だと思いますので、そういう御意見を承ったということにさせていただきたいと思っております。
 赤石委員の第1点、窪田委員とのやり取りについてですけれども、窪田委員からは、監護者を定めることの意味を明らかにしないと、この先、議論が進まないのではないかという御趣旨の御発言があったと思って伺いました。他方、赤石委員からは、一律指定ということがやはり必要なのではないかということで、幾つか必要だと思われる場合が挙げられていたかと思います。その中で一つは、これは2番目におっしゃっていたこととも関連するのかもしれませんが、共同行使がうまくいかなかったときに対処するためのルートとしてどういうものを考えておくのかということで、監護者を定めておくことが共同行使が解消された際の言わば受皿になるのではないかといった御指摘だったかと思います。これは、赤石委員御自身がおっしゃっていたように、変更の場合に付随する問題として考えなければいけない問題かと思って伺いました。その他、幾つか御指摘になった点は、それらの事項については誰が決定するのかということが決まっていないと困るだろうという御指摘だったかと思います。二つの御発言を併せて考えると、監護者を定めるという形で一律に何かを決める、決めるべき重要な事柄をパッケージにして一方に帰属させると考えるのか、あるいは重要な事柄についてはそれぞれに決め方の規律をはっきりさせておくと考えるのか、いろいろな考え方がありそうな感じがいたします。
 もう一言申し上げますと、赤石委員からも以前にも御要望があったかと思いますけれども、現在の単独親権の場合における親権と監護ないし監護権の切り分けについても、やはり同様な問題が生じているのではないかと思いますが、そこも、窪田委員がおっしゃったように、監護の内容を具体的に定めていかないと議論ができないところがあるのかと思って伺っておりました。御意見として伺って、単独親権の場合の親権と監護の切り分けについて御議論を頂いた上で、共同親権の場合、単独親権の場合、それぞれどのような制度にするのかということを御議論いただく、そんな手順だろうかと思って伺っておりました。取りあえず以上のように引き取らせていただこうと思いますけれども、更に関連して御発言があれば、この機会に頂きたいと思いますが、何かございますでしょうか。

看護者指定論~骨抜きかどうかにかかわるところ

○棚村委員

 赤石委員のおっしゃる、細かいいろいろな点で不都合が出たり支障が出ないかという御懸念はもっともだと思うのです。ただ、窪田委員が、前回も少し触れたのですけれども、そもそも親権あるいは監護、それから親権者、監護者になると何ができるのかという話と、個別のいろいろな細かい事項でトラブルが起きたときに誰がどういうふうに決めるのかという個別対応のルールと、二つの議論があると思うのです。窪田委員がおっしゃっていたのは、要するに親権者、監護者にしたからといって、個別のいろいろな細かいことのルールとか、父母の間での意見の不一致とかというのは、なかなか解消しないので、そういうことが起こったときに誰がどう決めればいいのかというルールを決めていけば、十分対応ができ、いろいろと争ったときにいちいち細かく決めるということにも限界があるであろうから、親権者とか監護者というまとまった地位にある人がかなりの事項を決められるという制度を置いた方がいいのではないかということなので、先ほどの協力義務の有無というのもそうなのですけれども、私たちとしては、規定がないということでトラブルが起こったり、起こったときの解決が非常に予測が付かないということも起こっているので、その辺りをルール化してはどうかというのは、民法をやっている者が通常を思いつく考え方だと思うのです。
 そこで、実際に制度を設けてみても不都合がないかどうかというのが、赤石委員とか、あるいは原田委員、戒能委員なんかがよくおっしゃっていることなので、その辺りの大枠として、親権者、監護者というのが一体どういうことができる地位にあるのだろうかということについてのルールがきちんとできているというのも必要です。それから、個々の細かい事項で、赤ちゃんの場合の予防接種とかいろいろなもの、健康診断をどうするかとか、何を食べさせるかという、そのレベルのことで意見の不一致やうまくいかないときに、それを誰がどう決めるのが一番望ましいかというルールみたいなものも必要です。さらに、誰が決めたらいいかということをそもそも話し合って決めたりすることも、それにも限界があると思います。その辺りは、大枠として親権者とか監護者とか、あるいは主たる監護者とか同居親というのがこういう事項については決められる立場にあるというようなことで、何らかのルールを設けていくということもあり得ると思います。
 他方で窪田委員が言いたかったのは、個別事項のことで、誰が決めるのだというルールを予め決めておくことで、最終的にはルールさえ決まっていれば、それを基準にして解決ができるのではないかとも思われます。アメリカでは、当事者たちが相当細かいことを話し合って決めているのですが、意見の不一致があってどうにもならないとき、いきなり裁判所とか、裁判所に全部お願いするというのも無理なので、インパスオーソリティー(Impasse Authority)という、行き詰まった場合の権限を誰が最終的に行使できるかを決めてしまうということで乗り切っている例もあります。だから、私はやはり赤石委員とかのおっしゃっている懸念とかも重要ですし、それから窪田委員が整理してくださったように、結局パッケージとして大枠として親権者とか監護者ということを決めて、その人たちに何ができるかという大枠のところで何かを決めるということもあり得ると思うのです。
 ただ、実際に起こっていることはかなり個別のことで、細かい対応で争いが起こるので、それについてやはりきちんとしたルール作りとか、誰がそういうときには決めたらいいのだということについては明確なルールが必要だと思います。また、子どものために重要な事項を日常とか重要だとか緊急とかという幾つかの指標を出してやっているわけです。その辺りのところが今、議論の焦点になっているところなので、部会長が整理していただいたように、部会資料27のところでも、正に居所指定権についての池田委員からの御発言があったものもかなり重要な問題ですので、一体そこで意見の不一致とかいろいろあったときに誰がどう決めるのがいいのか、その辺りのルールについて議論をしていくということが、親権の共同か単独かとか、監護者の定めを置くか置かないかというところでも非常に重要なところだと思います。
 すみません、整理のような形でお話をさせていただきました。
○大村部会長 ありがとうございます。改めて議論の状況と、この先の進め方についてまとめていただいたものと理解を致しました。

意見不一致時の調整問題じゃん!整理すると

○原田委員

 委員の原田です。今、議論の進め方をいろいろおっしゃっていただいたのですけれども、親権者や監護権者になると何ができるかということについて、従来、別居中の、あるいは離婚後でもいいのですけれども、親権者指定がされたり、親権者と監護権者、親権と監護権が分属した場合の監護権者が何ができるかということについて、従来はこうであるという一応の整理をされたときに、身上監護については監護者で、財産行為と身分行為の同意なり代理なりは親権者という形で今は整理されていて、ただ、その中でも、例えば民法で居所指定とか、それから職業選択に関する許可については、監護者が事実上やっているし、それで認められているというようなまとめ方がされていたのではないかと私は思っていたのですが、そういう分け方をもう一度ここで話し合うということですか。
 それと、今回それについて、日常行為とか、緊急行為とか、重要な行為とか、財産行為とかといろいろ分けられているものの中で、やはり私たちは法律相談を受けたとき、それがどれに当たるかをどうやって答えるかというのを考えるのですが、監護をしている人が親権者であれば、本来は全部できるはずなのだけれども、共同親権の場合は他の親権者と相談しないとできないというのは何なのかを定めた方が、整理がしやすいのではないかと私は思っています。今のご提案は、進め方としては、そこの議論をもう一度するという御提案なのですか、
○大村部会長 御質問の意味を十分に理解できていないところもあるのですけれども、まず、原田委員がおっしゃってくださった、現行法の下で単独親権になっている場合に、親権と監護権の間の切り分けがどうなるのかということについては、おそらく複数の理解があるのではないかと思います。原田委員も、こうなのだけれども、その上でこう解されているといったことをおっしゃっていたかと思いますけれども、こう解されているというところについては御異論もあるでしょうし、さらには前提とされているところについても違う考え方もあるのではないかと思っています。そこについては、従来の考え方はこうなのだということが確認できれば、それはそれでいいだろうと思いますけれども、いずれにしても単独親権の場合についても改めて検討した上で、共同親権の場合には監護者に何を認め、親権者に何を認めるのかということを最終的に考える必要があるのではないかということです。
 ですから、共同親権の場合については、現行法の下での単独親権の場合の考え方を全部白紙にして考えるということではなく、単独の場合を確認し、一定の認識を共有して、共同の場合にまた戻ってくるということになるのではないかと思います。その際に注意すべき事柄として、今御発言いただいたような諸点があるのではないか。御発言いただいた諸点というのは、窪田委員や棚村委員がおっしゃってくださいましたけれども、監護者の権限の中身をどのように考えるのかということと、双方が関与するとしたときに意見が一致しないとしたら、どうやって決めるのかということと、二つある。その関係について考えながら議論しなければいけないだろうと思います。他方で、赤石委員がおっしゃった幾つかの問題、早く決まってもらわないと困る、明確に決まっていないと困るという問題がある、それらはどういうものであって、窪田委員や棚村委員の整理との関係で、それらの問題はどう位置付けられるのかといったことを最終的に明らかにする必要があるのではないかと私自身は思っていますけれども、これで原田委員に対するお答えになったでしょうか。
○原田委員 すみません、追加して、原田です。最終的に親権と監護権の区別を明らかにしなければならないというところは分かりました。しかし、順番として、先に監護者を指定すべきかどうかを決めるのか、ここに挙がっているものを決めた上で最終的に決めるのかの問題があります。私たちが弁護士会でいろいろ議論したときも、その権限が何かというところが分かっていないのに、監護者を指定する必要があるかどうか決められないではないかという意見の方が強かったのです。なので、議論の順番としてどういう順番でされるのでしょうかという質問です。
○大村部会長 事務当局の方からも御発言を頂いた方がいいと思いますけれども、どれかをまず完全に固めて、それから次に進むというのは実際上は困難なことだろうと思っています。ですから、順次検討して、例えば部会資料26の1、2について、あるところまで議論をして、それを前提に次の問題を議論し、そしてまた今回議論していただいているところに戻るということなのではないかと私自身は捉えています。事務当局から何かあれば、お願いします。

今までが適当すぎて、おかげで、大混乱

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