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刑法的アプローチから学ぶ#親子 深町晋也教授の論稿から

#連れ去り問題  についても検討していきたい

刑法の問題になる

最新の論稿においても、親による未成年の子の奪い合い問題について検討されている。

当該論稿のテーマは、親による子の奪い合いという問題において、処罰範囲をいかに明確化すべきかを考えることにある。一連の最高裁判例における検討課題、拐取罪の構成要件該当性から保護法益を明らかにし、そして、違法性阻却の構造を検討することで処罰範囲を明確化するために必要な視点を示すという。その上で、注目したいのが次の点である。

別居連れ去り型以外の類型、特に、我が国では大きな問題とされている、両方の親権者及び子が共同生活をしている場から一方の親権者が子を連れて離脱する事案(共同生活離脱型)についても考察を加える

刑法の研究者が、「我が国では大きな問題とされている」と指摘する時点で大きな意義が感じられる。

さも、「違法な連れ去りなどない」とも語られがちな論点に切り込んでいくのである。

心強い言及もあるのである。

比較法的に見ると、特に共同生活離脱型についてのみ拐取罪の成立を否定するとの議論は一般的ではない。

拐取罪が成立しうるというのだ。

日本においても否定しきれないであろう。

共同生活離脱型の構成要件該当性を判断するに当たっては、「保護された環境からの引離し」の有無が重要となろう。

決して、親権制から導かれる問題ではなさそうである。

・・・「両方の監護権者により保護されている環境」から「一方の監護権者により保護されている環境」への移行は、他方の監護権者の監護権を侵害し得ることは否定し難い。・・・他方で、・・・少なくとも一方の監護権者による保護が継続している点を捉えて、なお「保護された環境からの引離し」とは評価しないという理解もあり得る・・・。


いずれの場合でも、国外への連れ去りでは、拐取該当性を否定することは困難という指摘にとどまり、国内の場合については、「場合による」のか、今後の議論を待つしかない。

とはいえ、子どもの権利条約違反の指摘を受け、改善を勧告されている日本への連れ去りは、それ自体が、拐取であるとの理解が国外において標準的理解になっているかもしれないことがよぎった。

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